ドル円、欧米株の堅調推移や対欧州通貨でのドル買い圧力を背景に続伸
〇ドル円欧米株の堅調や対欧州通貨でのドル買いを背景に106.31まで上昇
〇しかしその後は8月ADP雇用統計の不冴え、米長期金利低下で伸び悩む
〇ユーロドルは続落、一営業日で約200ポイント急落し、早朝は1.1838近辺で推移
〇ドル円、テクニカルに持ち直しの兆し、ただし、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオか
〇週末の米雇用統計を控えたポジション調整にも要注意
〇本日の予想レンジ:105.80ー106.50
海外時間の為替概況
2日(水)の外国為替市場でドル円は底堅い動き。@対欧州通貨でのドル買い圧力(ドルショートの巻き戻し→ドル全面高)や、A欧米株の堅調推移(リスク選好の円売り)、B自民総裁選において菅義偉官房長官の優勢が報じられたこと(市場では菅氏が次期首相になれば、アベノミクス継続との見方が根強い→金融緩和長期化観測→円売り)等が支援材料となり、米国時間朝方には、一時106.31まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、C米8月ADP雇用統計(結果42.8万人、予想95.0万人)の冴えない結果や、D米長期金利の低下が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、106.25近辺で伸び悩む動きとなっております。
2日(水)のユーロドル相場は急落。@前日海外時間に心理的節目1.20を突破し、約2年4ヵ月ぶり高値1.2012まで急伸したことに伴う達成感(利食い売りを誘発)や、A上記@を受けた俄かロングのロスカット(1.20台で定着できなかったことを嫌気した見切り売り→過去最高水準に膨らむユーロロングの解消)、Bドイツ7月小売売上高(結果▲0.9%、予想0.5%)の冴えない結果、C英国の欧州連合離脱を巡る英国・欧州間の交渉が暗礁に乗り上げていること(合意なき離脱リスク)、DECB当局者によるユーロ高牽制への警戒感が重石となり、米国時間には、一時1.1823まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1838近辺で推移しております(僅か1営業日で約200ポイントの急落)。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、8/13に記録した約3週間ぶり高値107.06をトップに反落に転じると、8/19には、一時105.10(7/31以来の安値)まで下落しました。しかし、足元では再び106.30近辺まで持ち直すなど、やや下値の堅さを印象付けるチャート形状となりつつあります(昨日は一目均衡表基準線や転換線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを突破)。目先は106.40近辺に位置する一目均衡表雲下限を上抜けられるか否かに注目が集まります。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策余力の違い(日本側は安倍晋三首相辞意表明を経てアベノミクス終了の思惑が広がる一方、米国側はジャクソンホールを経て大規模量的緩和の長期化期待)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(直近2回のイニシャルクレイム、昨日のADP雇用統計が共に冴えない結果となったことで、週末に発表される米雇用統計への警戒感が根強い)、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、D米政治を巡る先行き不透明感(11/3の米大統領選)、E安倍晋三首相の辞意表明(本邦の政局不透明感→政策の継続性が損なわれる恐れ)、F朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、G新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、H日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。米中対立に関するヘッドラインや、米主要経済指標の結果(米新規失業保険申請件数や米8月ISM製造業景況指数など)、欧米株及び米長期金利の動向(株高の流れが続くか否か)、本邦政治の続報(ポスト安倍の行方)、欧州通貨の動き(対欧州通貨でのドルショートの巻き戻しが続くか否か)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(一目均衡表雲をバックにドル円は伸び悩むと予想。週末の米雇用統計を控えたポジション調整にも要注意)。
本日の予想レンジ:105.80ー106.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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