目先の安値を見て調整局面入り(週報8月第1週)

先週のドル円は、金曜に一時104.19レベルと3月12日以来のドル安値をつけた後、海外市場では2円近いドル反発を見ての月末クローズとなりました。

目先の安値を見て調整局面入り(週報8月第1週)

目先の安値を見て調整局面入り

〇先週のドル円、一時3/12以来のドル安値104.19レベルも金曜海外市場で2円近くドル反発
〇ドル建て金史上最高値、ビットコインも対ドルで大幅高と、他金融市場もドル離れの動き
〇今週水曜ADP全国雇用者数、木曜失業保険申請数、金曜失業率とNFP発表でドル売りの動き再開予想
〇今週は105.50レベルをサポート、106.75レベルをレジスタンスとする流れを予想

今週の週間見通し

先週のドル円はドルが全般に弱い動きの中でユーロに遅れてドル円でもドル売りの動きが先行してのスタートとなりました。それでもユーロ円の動きを見るとユーロ高ですから対円でのドル売りの動きの勢いは速いとは言えないものの、金曜には一時104.19レベルと3月12日以来のドル安値をつけ、さすがに月末と重なる週末を前にやり過ぎたかなという感じがありました。金曜海外市場では月末実需のドル買いがストップオーダーを巻き込んで2円近いドル反発を見ての月末クローズとなりました。

先週まではEU復興基金とEUしての中期予算合意をきっかけとしてのユーロ買いを中心としたドル売りとなっていましたが、他の金融市場を見てもドル建て金は史上最高値、ビットコインも対ドルで大幅高と、明らかにドル離れと見られる動きが続いてきました。これまでも経済活動再開後の新型コロナ感染者急増を懸念してはいたものの、一部のハイテク株がリードしての株高が大きな懸念には繋がってこなかった面があります。しかし、先々週から新規失業保険申請件数が増加に転じ、7月末で失業給付加算も失効することもあってドル安が進んできたと言えます。

しかし、ユーロは材料があるとはいえユーロ買いポジションが急速に膨らみ、先週火曜時点ではシカゴ通貨先物のユーロ買いポジションも15万枚を超え過去最高レベルの買い(2000年以降で最大、ユーロ週報参照)となっていたことが金曜にはわかりましたが、そうした買いの増加も最終的に金曜のドル買い戻しにつながったと考えられます。ドル円の場合、それほど円買いは増えていませんでしたが、逆に金やユーロに連れ高となっていたものの、材料的にはそこまで円を買う材料があったわけではなかったことが、大きなドル円の反発を招いたと考えられます。

ただ、広い意味でドルを取り囲む材料には何も変化はありませんし、今週は月初の雇用統計ウィークでもあることから、まずは水曜のADP全国雇用者数、そして木曜に発表される失業保険申請数が今回も増加するかどうか、そして金曜の失業率にNFPとどちらかと言えば雇用の悪化思惑が週後半に向けて広がりそうな感じです。そうなると、金曜海外市場から始まったドル買い戻しの動きもどこかでいったん止まって、改めてドル売りの動きが再開すると考えた方がよさそうです。

テクニカルにも見てみましょう。

先週も示した6月高値109.85を起点に6月安値106.08までの下げと、その後の7月高値108.17への戻しを3点とした逆N波動(ピンク)の下げからフィボナッチ・エクスパンションの100%エクスパンション(均衡表の値幅観測でN値と同じ)となる104.39(ピンクのターゲット)を達成したことで短期的にはいったんドルの安値を見た可能性が高まってきました。

中長期的には依然としてドル安の流れは変わらないものの、目先はどこまで買い戻しが続くのかを考えなくてはなりません。すると、上記逆N波動の戻し高値となった7月高値(108.17)と先週金曜安値(104.19)からのフィボナッチ・リトレースメントを考えることとなりますが、61.8%戻しが106.65(青のターゲット)となっていて、7月下旬にドルが売られる前の安値圏とも一致していることがわかります。

今週はこの水準を超えても大きくは超えないであろうこと、また金曜の動きを見ていると105円台半ばでは買い切れなかった実需やドル売りポジションの解消も出てくるであろうことを考え、105.50レベルをサポートに、106.75レベルをレジスタンスとする流れを見ておきたいと思います。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

8月3日(月)
**:** トルコ市場休場
08:50 本邦1〜3月期GDP改定値
10:45 中国7月MarkIt製造業PMI
16:50 フランス7月製造業PMI
16:55 ドイツ7月製造業PMI
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI
17:30 英国7月製造業PMI
18:30 南ア6月企業信頼感
22:45 米国7月製造業PMI
23:00 米国7月ISM7月製造業景況指数
23:00 米国6月建設支出
25:30 (セントルイス連銀総裁講演)
27:00 (シカゴ連銀総裁講演)

8月4日(火)
08:30 本邦7月東京区部CPI
10:30 豪州6月貿易収支、小売売上高
13:30 豪中銀政策金利発表
16:00 トルコ7月製造業PMI、CPI
18:00 ユーロ圏6月PPI
23:00 米国6月製造業新規受注

8月5日(水)
07:45 NZ4〜6月期失業率
10:45 中国7月MarkItサービス業PMI
16:50 フランス7月サービス業PMI
16:55 ドイツ7月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI
17:30 英国7月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏6月小売売上高
21:15 米国7月ADP全国雇用者数
21:30 米国6月貿易収支
22:45 米国7月サービス業PMI
23:00 米国7月ISM非製造業景況指数
23:30 週間原油在庫統計
**:** 英中銀MPC(〜6日)

8月6日(木)
06:00 クリーブランド連銀総裁講演
15:00 ドイツ6月製造業新規受注
15:00 英中銀MPC結果公表
15:00 英中銀総裁会見
17:30 英国7月建設業PMI
20:30 米国7月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 ダラス連銀総裁講演

8月7日(金)
10:30 豪中銀金融政策報告公表
**:** 中国7月貿易収支
15:00 ドイツ6月貿易収支、鉱工業生産
15:45 フランス6月貿易収支、鉱工業生産
21:30 米国7月雇用統計
23:00 米国6月卸売売上高・在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月27日(月)
 週明けの東京市場では前週末の流れを受けて朝からドル売りの動きが目立ち、前場の段階でユーロドルは1.17台乗せ、ドル円も金曜安値を割り込むこととなりました。その後もドル円は上値の重たい流れを続け、NY前場には105.12レベルの安値をつけ、引けにかけてはやや戻しました。

7月28日(火)
 東京市場ではこれまでの下げに対する調整が先行したものの105.69止まり。欧州市場以降は上値の重たい株価の影響もあって円高の動きを再開しました。ユーロ円の売りが強まったこともあり、NY市場前場には104.96レベルと105円の大台を割り込み引けにかけては若干戻しました。

7月29日(水)
 東京市場ではFOMCを前にして小動き、欧州市場に入り前日安値を割り込む動きから一時104.80レベルの安値をつけたもののすぐに戻しと方向感がはっきりしない流れが続きました。FOMCでは現在の緩和を継続し、新型コロナの不透明感に言及したものの想定内の内容で直後に104.77レベルと安値をつけたものの105円近くに戻しての引けとなりました。

7月30日(木)
 ドル円はユーロドルの動きに追随して東京市場ではドル買いが先行したものの105.30レベルで止められ、その後はNY市場までもみあいを続けました。米国4〜6月期GDP速報値が予想よりは若干良かったもののマイナス32.9%となったことをきっかけに改めてユーロドルが買われドル円も104.68レベルの安値をつけ安値圏での引けとなりました。

7月31日(金)
 ドル円はNY市場で前日安値を下回った動きを受けて続落、東京昼前には株安の動きとともに104.19レベルの安値をつけ、東京市場では安値圏でのもみあいを続けました。欧州市場に入り月末実需のユーロ売りの影響もあり、ドル円でもドル買い戻しが強まりました。NY市場では週末前のポジション調整がストップオーダーを巻き込みながら106円台に乗せ、引けにかけてはやや押しての引けとなりました。

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