ドル上値重く、上げ渋るとの見方も(週報8月第1週)

先週のドル/円相場は、「行ってこい」。一時104.19円、3月12日以来の安値を示現したものの、週末に大きく買い進められると2円近い戻りを見せている。

ドル上値重く、上げ渋るとの見方も(週報8月第1週)

ドル上値重く、上げ渋るとの見方も

〇先週のドル円、一時3/12以来の安値104.19を示現も、週末に2円近く戻り「行ってこい」に
〇ユーロは週間を通し堅調裡、対ドル対円とも強く、一時年初来高値を更新
〇新型コロナ、ワクチンに対するポジティブ報道あるも、週間を通しては第2波への警戒感が上回る
〇米中対立、日本の尖閣諸島やTikTokなど両国の軋轢は多方面へと広がる
〇今週、ISM製造業景況指数や同雇用統計発表、悪化の様相なら再びドル安へ傾斜の可能性
〇今週のドル円予想レンジ104.80-107.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、「行ってこい」。一時104.19円、3月12日以来の安値を示現したものの、週末に大きく買い進められると2円近い戻りを見せている。

前週末には、「米政府による中国領事館の閉鎖通告」に関連する報道や発言が相次いだほか、中国サイドからの報復行為も話題に。また、それとは別に、朝鮮中央通信が「北朝鮮が初めて公式に新型コロナの感染を事実上認めた」と報じたことも物議を醸していた感を否めない。

そうした状況を踏まえて取引が開始されたドル/円は、寄り付いた106.10-15円が週間高値に。そののち、緩やかな下降をたどる展開で、途中、財務省幹部から「口先介入」なども聞かれたが下げ止まらず、およそ4ヵ月半ぶりとなる安値104.19までドルは下落した。しかし週末、104円は割れずに反発へと転じると、上方向のストップロスを巻き込みつつ、一転してドルは逆行高に。寄り付きに近い106.05円レベルまで戻した「行って来い」をたどっている。週末NYも引き続きドルの高値圏である105.80-85円で取引を終え、越週となった。
なお、そうしたなかユーロは週間を通して堅調裡。対ドルを中心に対円などでも強く、一時年初来高値を更新する局面も。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「米中の対立」について。
前者は、米バイオ医薬大手モデルナが「米政府の支援を受け、3万人を対象とした後期治験を開始」と発表。トランプ米大統領は、富士フイルムの米国工場を視察したうえで、ワクチン開発に楽観的見方を示すなど、ワクチンに対するポジティブな報道も観測されたが、週間を通しては、いわゆる「感染第2波」への警戒感がそれを上回る格好となった。米国を中心とした懸念ではあるが、日本も感染者が2日まで5日連続で1000人超を記録など、かなりの警戒を要する状況となっている。今週も関連情報には要注意だ。

対して後者は、「香港」や「台湾」、「ウイグル」、「南シナ海」などをめぐり拡大した両国の軋轢は、さらに多方面へと広がってきた。とくに、先週興味深かったのは、日本の尖閣諸島をめぐり、両国でバチバチとやりあったものになろう。また、それ以外では中国発アプリ、とくに「TikTok」をやり玉に挙げての対立が激しさを増していた感を否めない。なお、その「TikTok」について、トランプ米大統領が「米国での利用を禁止する意向」を示しており、中国サイドのさらなる反発も懸念されている。

<< 今週の見通し >>

中南米やアフリカを中心とした新型コロナの感染拡大が止まらない。米ジョンズ・ホプキンス大学のまとめでは、本日未明段階の感染者は1795万人とされ、これは1週間前との比較で実に200万人近い増加となる。米国に対して、そんな「感染第2波」懸念が依然として強く、今週もドルのさらなる上昇を阻むと予想する市場参加者は少なくない。ただし、名実ともに8月入りしたことで需給要因が一旦リセットされることや、シカゴIMM通貨先物のポジションにおいて「ドル売り越しが9年ぶり高水準に達した」ことなどが、逆にさらなるドル買戻しを支援するとの指摘も聞かれていた。

材料的に見た場合、「多方面にわたる米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、今週も「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。また、今週は週末の雇用統計をはじめ、重要な米経済指標の発表が相次ぐだけに、その内容にも注意を払いたい。ただでさえ、米国経済の早期回復に懸念を抱く向きが増えているだけに、米指標が悪化そして米株伸び悩みといった様相を呈すれば、為替市場は再びドル安へと傾斜する可能性もある。

テクニカルに見た場合、先週一時104.19円まで下落したことで下値余地が拡大。リスクはドル安方向と考えていたが、週末の打ち返しで、下値トライの機運も一旦仕切り直しとなった。6月半ば以降、1ヵ月以上も推移していた106-108円のレンジへと回帰する展開を予想する声も聞かれている。移動平均においては、週初の段階で106円半ばに位置する21日線をまずはしっかりと越えられるか否かが注視されているようだ。

一方、今週は、7月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標の発表が相次ぐ予定となっており、取り敢えずそれらに注目。先週発表された4-6月期の米GDP速報値は予想を上回ったものの、数字そのものは記録的な悪数字で、マーケットでは「コロナ感染第2波」とあわせ、米経済の先行きに警戒感を抱く向きも少なくない。今週も発表される米経済指標には引き続き要注意。
また、トランプ政権の追加支援策に関する与野党間協議の行方や、米地区連銀総裁による講演なども注視されているようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.80-107.20円。ドル高・円安については、週初に21日線が位置する106円半ばが最初の抵抗に。上抜ければ、同90日線が位置する107.30-40円レベルなどが意識される展開か。
対するドル安・円高方向は、105.30円や105円などがサポートとして意識されている。しっかり割り込めば、先週記録した104.19円が再び視界内に。

注:ポイント要約は編集部

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