ドル円もみあいが続いているものの上値は重い(週報7月第3週)

先週のドル/円相場は、もみあいが続くものの週間を通して上値の重い状況でした。

ドル円もみあいが続いているものの上値は重い(週報7月第3週)

もみあいが続いているものの上値は重い

〇先週のドル円107円を挟み上下のもみあい、方向感出ず
〇EUサミットは週明けも協議継続と結果が出ないままの状況
〇米国ユナイテッド航空、全従業員の半数近くに解雇の可能性を通知
〇リスクは株安が円高の動きにつながる可能性
〇今週は106.70レベルをサポート、107.50レベルをレジスタンスとする流れを予想

今週の週間見通し

先週のドル円は107円を挟んで上下のもみあい、週間レンジも74銭に留まる方向感が出ないままの週となりました。国内外の材料とも目新しいものは無く日銀会合は無風通過、細かな材料で上下してもトレンドが出るほどのものは無かったという流れです。また日本に限らず世界的に新型コロナの新規感染者は増加傾向にあるものの、こちらも最近では材料視されていませんし、週明けのユーロに大きな影響を与えると思われたEUサミットは週明けも協議継続と結果が出ないままの状況となっています。

今週は本来ならば東京オリンピックということで東京市場が4連休となっていますし、材料的にも本日にも復興基金の可決か協議延期かが決まるEUサミットを除くと、あまり目立った材料はありません。しかし、新型コロナの新規感染者数が米国を中心に大きく増加していることを材料視していないのはどうなのかという疑問は今もあります。前々から週報でも取り上げていますが、当初は夏以降には感染者数も収まり経済はV字回復という見通しで一気に金融緩和と財政出動を行いましたが、経済活動の再開で経済指標は底打ちとなってきているものの、米国の新規感染者数は先週金曜には7.5万人超にまで増えています。

全世界でも土曜には26万人超と過去最高を記録していますので、一部を除いて国を超えての人の移動は制限が続くこととなるでしょうし、米国航空業界では9月に政府の支援プログラムが切れることから大量の解雇が発生することとなり、7月に入り米国ユナイテッド航空は全従業員の半数近くに解雇の可能性を通知しました。個人的には米国航空業界が復活しないと経済復活も難しいと考えていますので、航空業界の株価を見ることで現状経済の実力を考えています。

どの会社もほぼ同じ株価の状況となっていますので、ここでは上述ユナイテッド航空の株価を日足チャートで見てみましょう。

今週の週間見通し

多くの業種の中でも最も苦しい業界であるとはいえ、年初来高値と年初来安値の半値も戻していない状況です。航空会社が苦しければ当然のように周辺産業へ与える影響も大きく、ナスダックが史上最高値となっていても、平均的な米国経済はとても楽観的ではいられないと思います。今のところ代表的な株価指数は高値圏にありますが、今後の展開次第では楽観的な思惑が先行した分、反動も大きくなる可能性については考えておく必要がありそうです。

話を円相場に戻しますが、現状はもみあいで方向感は出ていません。しかし、リスクとしては株安とともに円高の動きにつながる可能性が常に隠れているという見方で良いでしょう。そうしたことも踏まえてチャートをご覧ください。

いったん、多くの線を消して今週は年初来高値(112.19)と安値(101.19)の半値(106.69)を赤のラインで、6月安値(106.07)と7月高値(108.17)の半値(107.12)を青のラインで示しました。前者の106.69は長期的にニュートラルな水準、後者の107.12は短期的にニュートラルな水準と考えることができ、最近の107円を挟んで上がったら売り、下がったら買いという動きも納得できるところです。

上記の仮定が正しいとすれば、今後の落ち着きどころとしては106円台半ばをターゲットとしやすいのではないか、きっかけは米国の感染者増をきっかけとする株価調整ではないか、そのようなことをテクニカルな見方も含めて考えています。今週は東京が4連休となることもあって、ドル円は短期の落ち着きどころを中心とした流れになりそうですから、106.70レベルをサポートに、先週木曜に上値が重かった107.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきたいと思います。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

7月20日(月)
**:** EUサミット(継続中)
08:50 日銀会合(6月)議事要旨公表
15:00 ドイツ6月PPI
17:00 ユーロ圏5月経常収支

7月21日(火)
08:30 本邦6月CPI
10:30 豪中銀会合(7月)議事要旨公表
11:30 豪中銀総裁講演

7月22日(水)
20:00 南ア4月小売売上高
22:00 米国5月住宅価格指数
23:00 米国6月中古住宅販売件数
23:30 週間原油在庫統計

7月23日(木)
**:** 東京市場休場
15:00 ドイツ8月GFK消費者信頼感
15:45 フランス7月企業景況感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 米国6月景気先行指数
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感速報値

7月24日(金)
**:** 東京市場休場
07:45 NZ6月貿易収支
08:01 英国7月GFK消費者信頼感
15:00 英国6月小売売上高
16:15 フランス7月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ7月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国7月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国7月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国6月新築住宅販売件数

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月13日(月)
 週明けのドル円は前場には株安とともにドル売りが先行したものの下げきれず、後場以降は買い戻しが目立っていました。欧州市場に入り金曜NY高値を抜けるとストップオーダーも巻き込みながら一段高、NY市場では株高とともに高値を若干伸ばし107.32レベルの高値をつけた後は高値圏でもみあいのまま引けました。

7月14日(火)
 ドル円は上値が重たいながらも方向感がはっきりしないもみあいが続きました。107.30レベルを中心に終日のレンジも32銭に留まり、新規材料待ちという展開のまま終わりました。

7月15日(水)
 ドル円は上値の重たい流れが続いていましたが、東京後場から欧州市場序盤にかけてユーロドルに遅れてドル売りの動きが強まることとなりました。前日安値を下抜けたことで月曜から水曜にかけてのザラ場ベースでヘッド&ショルダー状の反転パターンを完成したこともドル円の売りを加速させました。NY昼前には106.67レベルまで水準を下げましたが、下げたところでは買いも控えていたことから、引けにかけては107円に近づいての引けとなりました。

7月16日(木)
 ドル円は東京市場では動かず、欧州市場に入り東京前場高値を上抜けたことから買い戻しが入りました。その後いったん動きは止まったもののNY市場に入り全般的なドル買いの動きとともに前日高値を上抜け底堅い地合いでの引けとなりました。

7月17日(金)
 ドル円は東京市場では株安の動きとともに円がじり高の動きとなりました。欧州市場に入りユーロが対ドル、対円で買われる動きとともに一時的な戻しも見られましたが続かず、NY市場ではドル売りの動きが再開、ユーロドルでのユーロ買いの動きの影響を受けたものでしたが、106.94レベルをつけ安値引けの週末クローズとなりました。

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