ドル円コロナ警戒根強いなか、レンジ脱却うかがう(週報7月第3週)

先週のドル/円相場は、レンジ取引。一週間を通した値幅は80ポイントにも満たず、明確な方向性は極めて乏しかった。

ドル円コロナ警戒根強いなか、レンジ脱却うかがう(週報7月第3週)

コロナ警戒根強いなか、レンジ脱却うかがう

〇先週のドル円変動幅106.67-107.42円、一週間を通し1円も動かず
〇7/18世界の新規感染者過去24時間で約26万人増。WHO「一日当たり過去最多を更新」と発表
〇7/18に終了予定だったEU臨時首脳会議にて「EU復興基金」設立の合意できず会議は延長
〇足もとレンジ脱却が最大の注目点
〇今週のドル円予想レンジ106.00-107.80円

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、レンジ取引。一週間を通した値幅は80ポイントにも満たず、明確な方向性は極めて乏しかった。

先週末は、「スペイン、カタルーニャで周辺住民20万人に外出禁止措置」といった報道が観測されるなど新型コロナの第2波懸念が引き続き話題となるなか、治療薬についての光明も一部で取り沙汰されていた。
そうした状況を踏まえ取引が開始されたドル/円は前週末のNYクローズよりも若干ドル安・円高の106.80-85円でオープン。しかし、上下動こそそれなりに観測されたが、結局106.67-107.42円といったレンジ内での往来相場で方向性はうかがえなかった。新型コロナの状況、とくに第2波についての警戒感が強いものの、それが為替市場に直接的な影響を及ぼす局面はほぼ観測されていない。週末NYは形成レンジのほぼ中間地点である107.00-05円で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナの第2波懸念」と「米中の対立」について。
前者は、この週末18日、WHOが新規感染者は過去24時間で約26万人増え、「一日当たりとしては過去最多を更新した」と発表するなど、いまだ爆発的な感染が続いている。そんな感染者増は中南米やアフリカなどが主だが、経済活動を再開している日米などでも「第2波」と目される感染増が目につく。実際、東京についても、19日にようやく200人を下回ったがそれでも180人超と高水準の状況がいまだ継続中。また、米国もジョンズ・ホプキンス大学の集計で、16日に全米の一日あたりの感染者数が7万7255人となり初めて7万人超え、過去最多になったことが明らかとなった。ただ、そうしたなか、米バイオ医薬品メーカーのギリアドが、治療薬として期待されているレムデシビルについて、「コロナ死亡率を62%下げる可能性」と発表したことが話題となるなど、「感染増vs治療薬」という構図で、綱引き商状を呈している感を否めない。

対して後者は、中国の王外相から「米中関係は最悪だが、難題を棚上げし対話を」との発言が聞かれたうえ、ブルームバーグによると「米政権のチームが香港高官の追加制裁リストを作成したが、トランプ氏が実施の見送りを決めた」とされるなど、双方ともに関係改善への意識はうかがえるが道のりはなかなか険しいようだ。事実、そうしたなかポンペオ米国務長官から「中国の南シナ海領有権主張は完全に違法」とするコメントが初めて発せられたほか、トランプ米大統領が署名したことで「香港自治法」が正式に成立するなど対中圧力は引き続き継続。対して、中国外務省の報道官からは「南シナ海問題めぐり、米国がいかなる制裁を科そうとも恐れない」との発言が聞かれていた。

<< 今週の見通し >>

先でも取り上げた東京の新型コロナ感染者は、当初東京オリンピックが開催される予定だったため今週末にかけ4連休を迎えることにあわせて、懸念する向きが多い。長期の休みということで観光地などに訪問客が殺到すれば、それこそ本格的な「感染第2波」が到来しても不思議はないだろう。そんな日本と同じような環境で、米国や豪州、インドなども苦しんでいる一方で、コロナ治療薬への期待感も根強い。為替市場は株式市場の動き次第といった側面もあり、感染者増を治療薬期待が上回り、好感した米株などが堅調に推移すれば、ややドル買い優勢といった展開をたどる可能性もある。

材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「米ファンダメンタルズ」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。それらを中心に米国そして中国ファクターがやはり要注意だが、意外に侮れないのが英国と欧州ファクター。とくに後者は、先週末18日に終了する予定だったEU臨時首脳会議において「EU復興基金」設立で合意できず会議は延長、本稿執筆段階でも先行き不透明となっている。ユーロ相場への影響にも要注意だ。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円変動は106.67-107.42円にとどまっており、一週間を通して1円も動かなかった。これは、6月15-19日以来のことになる。
いずれにしても、方向性の乏しいことは改めて指摘するまでもなく、まずは足もとのレンジ脱却が最大の注目点。上放れた場合には108円台回復を目指す反面、底割れした際には前回の106.08円がターゲットとなりそうだ。

一方、今週は7月のカンザスシティ連銀製造業活動指数や、同マークイット製造業PMI速報値といった米経済指標発表が相次ぐ予定となっており、取り敢えずそれらに注目。また、米企業による決算発表や、米財務省による20年債の入札などにも一応の注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.00-107.80円。ドル高・円安については、先週高値の107.42円が最初の抵抗か。上抜ければ107.80円レベル、あるいは108.16円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値を含めた106.65円前後をめぐる攻防を注視。しっかり割り込めば、先月のドル安値106.08円がターゲットに。

注:ポイント要約は編集部

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