トルコリラ円見通し 7月10日夜安値割れをひとまず回避して15.60円中心の持ち合い(20/7/20)

7月20日午前はドル円が戻したことで15.66円台へ反発した。

トルコリラ円見通し 7月10日夜安値割れをひとまず回避して15.60円中心の持ち合い(20/7/20)

トルコリラ円見通し 7月10日夜安値割れをひとまず回避して15.60円中心の持ち合い

〇トルコ円、18日早朝に15.53まで反落、20日午前ドル円が戻したことで15.66台へ反発
〇対ドルでのトルコリラ、6.85を中心とした膠着状態続く
〇23日のトルコ中銀の金融政策決定会合、政策金利が据え置かれるか注目
〇トルコの新型コロナ感染抑制続き、徐々に観光客受入開始
〇15.60を上回るうちは15.68前後への上昇を想定、15.65以上は反落警戒圏
〇15.60以下での推移が続くと一段安警戒、15.51割れからは15.50前後、15.40台中盤への下落を想定

【概況】

トルコリラ円はドル円と同調した動きが続いているが、7月15日夜にドル円の下落と同調して15.53円まで下げたものの7月10日深夜安値15.51円割れを回避し、ドル円の持ち直しと同調して17日未明に15.64円をつけて14日午前高値15.63円をわずかに上抜いた。しかし17日深夜にかけての円高により再び下落に転じ、18日早朝には15.53円まで反落した。
7月10日深夜安値15.51円から15日深夜安値15.53円、18日早朝安値15.53円と15.50円台序盤を下値支持線とし、7月10日深夜安値を回避して戻しているものの、15.65円手前では戻り売りにつかまるという状況が続いている。
7月20日午前はドル円が戻したことで15.66円台へ反発した。

【ドル円の持ち合い下放れ警戒、円高へ傾斜しやすい環境か】

対ドルでのトルコリラの動きが当局による取引規制や監視を背景に極めて小動きにとどまる中で、トルコリラ円はほぼドル円と同調した動きだ。
ドル円は7月10日安値で106.62円まで下げたものの6月23日深夜安値106.06円割れを回避し、7月15日の反落でも106.64円にとどまって底割れを回避している。戻り高値は7月14日の107.42円に対して17日未明高値107.40円でわずかに届かず失速したが、20日午前には107.50円台まで上昇して戻り高値を若干切り上げている。
現状は107円を中心とした持ち合い相場のため、107.50円前後を抵抗として伸び悩むうちは7月15日及び7月10日安値を割り込んで持ち合い下放れへ進みかねないが、107.50円以上での推移が続き始める場合は7月1日高値を試しにかかる可能性も出てくると思う。

ドル円の中勢を巡っては、@主要国の利下げ及び量的金融緩和拡大のなかで特に米連銀による金融緩和効果により米長期債利回りが低下傾向にあること、A利下げ余力や金融緩和拡大及び財政出動への拡大余地の比較からユーロ高基調にあること、B3月のコロナショックにより金融市場全体が動揺した後はドル資金需給ひっ迫が解消されていること、C世界的な経済活動停滞による本邦勢の海外投資の萎縮や海外旅行需要の激減による外貨需要低下により円高基調へ進みやすい環境となっていると思われるため、107.50円を超えても維持できない程度にとどまるうちは一段安警戒とし、ドル円の一段安発生とともにトルコリラ円の一段安も警戒するスタンスで見てゆきたい。

【対ドルでのトルコリラは膠着状態のまま、7月23日の中銀金融政策発表に注目】

対ドルでのトルコリラは6.85リラを中心とした膠着状態が続いている。7月3日にはトルコ消費者物価が予想以上に上昇したことで政策金利が物価上昇率を下回る実質マイナス金利状態が継続することへの懸念から一時的な急落に見舞われて6.989リラの安値を付けたが、フラッシュクラッシュ的な動きにとどまって早々に元の水準へ戻った。7月5日の週の高安は6.8リラから6.83リラ、7月12日の週は6.87リラから6.84リラの範囲で6.85リラで先週を終えている。
引き続き対ドルでのトルコリラは膠着状態での小動きが続くと思われるが、7月23日にはトルコ中銀の金融政策決定会合があり、政策金利が前月に続いて据え置かれるのかどうか注目される。

トルコリラにとってはトルコの外貨準備高の減少傾向への懸念も再び強まっている。7月17日に発表された週次の外貨準備高は7月10日時点で496億1000万ドルとなり500億ドルを割り込んだ。週次では5月17日の488億ドル以来の500億ドル割れだったが、5月17日の水準は2006年以来の低水準であり、2013年の1100億ドル超の水準から半減した状況にある。今後の発表でさらに外貨準備高が減少するようだと、トルコリラへの売り圧力も再燃して膠着状態から抜け出すか、再びフラッシュクラッシュ的な事象が発生する可能性もあると警戒される。

【トルコ株式市場は堅調、感染拡大は抑制される】

トルコ株は堅調さを維持している。イスタンブール100株価指数は6月14日からの週で前週比3.44%高、6月21日の週に0.93%高、6月28日の週に同0.94%高と3週連続で上昇し、7月5日の週は0.81%安と下げたが、7月12日からの先週は3.46%高と反騰している。経済活動再開への期待感と世界的な株高と同調している。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は続いているがトルコの感染拡大はうまく抑制されている。7月18日時点でのトルコにおける新規感染者数は前日から926人増えて21万7799人となたが、7月14日以降4日連続で千人を切っている。6月2日に786人増まで増加ペースが落ちた後、経済活動再開により6月15日に1592人増まで増えたが、その後は漸減傾向にある。
中東での感染は7月18日時点でイランが26.9万人で世界11位となり中東で最大の感染地となっている。サウジが世界13位の24.5万人でイランに次ぐ中東2位でありトルコは3位だ。イランやサウジは日々の増加ペースが2千人を超えているが、サウジは漸減傾向に入っているもののイランは高止まりの状況が続いている。感染抑制に比較的成功しているトルコが中東イスラム圏での発言権を強めることで地政学的なバランスにも影響が出てくる可能性もあるだろう。

週末にかけてはトルコとイギリス間でのフライトが再開されてトルコの観光都市アンタルヤ県にイギリス人観光客の一行が到着したと報じられた。ロシアとのフライト再開も報じられている。トルコは観光大国であり、7月1日からは徐々に観光客を受け入れ始めている。

経済活動再開の動きと共に、感染拡大期に停滞していたシリア国境での軍事的な小競り合いや小規模な軍事作戦に対する報道も出始めている。
トルコ国境に近いシリア北東部では7月16日に所属不明の無人航空機(ドローン)による爆撃があり、ロシア軍兵士1人と民間人3人が負傷したと報じられた。7月15日にはトルコの占領下にあるアレッポ県北部の「ユーフラテスの盾」地域の拠点都市であるバーブ市に対するロシア軍所属と思われる戦闘機の爆撃も発生している。
またトルコ国防省は「イラク北部のザプ地域で偵察監視機により発見された分離主義テロ組織PKKのテロリスト3人を空爆作戦により無力化した」と発表している。

【4か月サイクルにおける下落期続く】

【4か月サイクルにおける下落期続く】

トルコリラ円は概ね4か月周期の底打ちサイクルで推移している。2018年8月のトルコ通貨危機以降、主要な底値は2019年1月3日、2019年5月9日、2019年8月26日、2020年1月6日、2020年5月7日に付けてきた。すでに6月2日高値でこのサイクルにおけるリバウンドが一巡して下落期に入っている印象だ。
対ドルでトルコリラが小動きにあること、ドル円も6月5日高値から反落して以降は小動きにとどまっているためにトルコリラ円の日足も7月3日のフラッシュクラッシュによる長い下ヒゲを除けば7月1日以降はややジリ安程度で15.50円台にとどまっている。
しかし、対ドルでのトルコリラの動きが膠着状態のままでもドル円がもう一段安に入ればトルコリラ円も4か月サイクルにおける下落感が強まる可能性がある。その場合は次の底形成期となる9月序盤にかけて、ないしは8月後半の中銀金融政策発表前後期にかけて安値試しへ向かいやすくなる可能性があると考えておきたい。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月10日深夜安値15.51円を下値支持線、15.68円を上値抵抗線とする。
(2)15.60円を上回るうちは15.68円前後への上昇を想定するが、15.65円以上は反落警戒圏とする。
(3)15.60円以下での推移が続き始める場合は一段安警戒とし、7月10日深夜安値割れからは15.50円前後、次いで15.40円台中盤への下落を想定する。15.45円以下は反騰注意とするが、7月10日安値を割り込む場合は下落基調が暫く続きやすいと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

7月23日
16:00 7月消費者信頼感指数 (6月 62.6、予想 66.0)
20:00 トルコ中銀政策金利発表 (現行 8.25%、予想 8.25%)
7月27日
16:00 7月製造業景況感 (6月 92.6)
16:00 7月設備稼働率 (6月 66.0%)
7月29日
16:00 6月貿易収支 (5月 -34.2億ドル、予想 -34.2億ドル)
16:30 トルコ中銀インフレレポート
17:00 6月観光客数 前年比 (5月 -99.3%)
20:00 トルコ中銀MPC議事要旨
7月30日
16:00 7月経済信頼感指数 (6月 73.5)


注:ポイント要約は編集部

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