トルコリラ週報:『EUとの関係悪化や外貨準備減少がリラの重石。政策金利は据置予想』(7/18朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。

トルコリラ週報:『EUとの関係悪化や外貨準備減少がリラの重石。政策金利は据置予想』(7/18朝)

EUとの関係悪化や外貨準備減少がリラの重石。政策金利は据置予想

〇トルコリラ円、週明け早々高値15.67まで上昇後トルコとEUの関係悪化等で週央にかけ15.53まで反落
〇週末にかけて持ち直すも上値は重く15.60での越週
〇テクニカルには来週一目均衡表雲下限割れ→強い売りシグナルを表す三役逆転再点灯に要警戒
〇ファンダメンタルズはトルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積み
〇来週は7/23にトルコ中銀の政策金利発表注視、声明文に注目
〇来週の予想レンジ 15.30ー15.70

今週のレビュー(7/13−7/17)

今週のトルコリラ円相場は、週初15.57円で寄り付いた後、@リスク選好ムードの高まり(新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感→株高)や、Aトルコ5月鉱工業生産(結果17.4%、予想10.6%)の良好な結果、Bトルコ中銀によるリラ買い為替介入が支援材料となり、週明け早々(月曜日の海外時間)に、高値15.67円まで上昇しました。しかし、ボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、Cトルコと欧州連合(EU)を巡る関係悪化懸念の高まり(ボレルEU外務・安全保障政策上級代表は東地中海におけるトルコの資源開発を非難)や、Dエルドアン大統領による世界遺産アヤソフィアをモスク化するとの発言(7/10)が重石となり、週央にかけては、安値15.53円まで反落する場面も見られました。週末にかけて持ち直すも上値は重く(財政赤字拡大や外貨準備減少、欧州連合がトルコへの渡航制限を解除しなかったこと等もリラの重石)、結局15.60円での越週となっております。

来週の見通し(7/20−7/24)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、6/23には一時15.47円(5/15以来)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象づけるチャート形状となっております(来週は一目均衡表雲下限割れ→強い売りシグナルを表す三役逆転再点灯に要警戒)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(7/17に公表された7/10時点の外貨準備高は、496億ドルと前週比▲3.38%減、年初来▲38.9%減を記録)、B対外収支の悪化懸念、C財政赤字の拡大、D実質金利のマイナス幅拡大(インフレ圧力の上昇を受けて実質金利は一段とマイナス)、E経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き不透明感、F中東を巡る地政学的リスク、G米国・ロシア・フランス・NATO同盟国との関係悪化懸念、H世界的な貿易戦争再開リスク、I新型コロナ第2波懸念(トルコ国内の感染者数拡大リスク。欧州連合は今週、他国への移動制限について見直しを図ったものの、トルコへの渡航制限は解除せず)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクへの警戒感や、国内から国外への資本流出リスクの高まり(対外収支の悪化懸念)、物価上昇を背景とした実質金利のマイナス幅拡大、トルコ経済を巡る先行き不透明感が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(一目均衡表雲下限を割り込み、下げ幅を拡大させる展開を想定)。尚、来週は7/23にトルコ中銀の政策金利発表が予定されております。前回発表されたトルコ6月消費者物価指数が上昇した為(実質金利のマイナス幅拡大)、今回は前回同様、政策金利を据え置く(8.25%→8.25%)可能性が高いと考えられます(声明文を通じて金融政策の先行きを探る展開)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):15.30ー15.70

注:ポイント要約は編集部

EUとの関係悪化や外貨準備減少がリラの重石。政策金利は据置予想

トルコ円日足

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