『新型コロナと米中対立激化が相場の2大懸念材料』
〇ドル円は今週、週間値幅僅か77銭の方向感を見出し辛い1週間
〇7/14に一時107.44まで上昇するも日銀緩和期待後退等でその後一時106.67まで下げ幅を広げる
〇引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局107.00近辺で越週
〇ユーロドルは復興基金期待、スイス中銀為替介入発言に週央にかけ4ヵ月ぶり高値となる1.1452まで急伸
〇ECB理事会では現行の金融政策が維持、ラガルド総裁からも特段真新しい発言が見られず
〇ドル円、欧米株や原油先物価格の動向、コロナ第2波、米中報復合戦、米経済指標睨みながら下落予想
〇来週の予想レンジ ドル円105.75ー107.75、ユーロドル1.1250−1.1500
今週のレビュー(7/13−7/17)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初106.90で寄り付いた後、@新型コロナワクチン開発への期待感や、A上記@を背景としたリスク選好の円売り圧力(株高・原油高→クロス円上昇→ドル円連れ高)が支援材料となり、翌7/14に、一時107.44まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線及び基準線に続伸を阻まれると、Bトランプ米大統領の進退を巡る不確実性の高まり(トランプ米大統領の支持率低下)や、C新型コロナウイルス感染拡大への警戒感、D米中対立激化懸念(トランプ米大統領による「香港自治法」への署名)、
E日銀金融政策決定会合後の失望売り(現行の金融政策が維持されたことに加えて、黒田総裁より「3月以降コロナ対応の効果が発揮されている」との発言が見られたことで追加緩和観測が後退)が重石となり、週央にかけては、一時106.67まで下げ幅を広げる場面も見られました。引けにかけて持ち直すも(資産現金化需要のドル買いを背景に一時的に持ち直すも)上値は重く、結局107.00近辺での越週となっております。週間値幅は僅か77銭に留まるなど、方向感を見出し辛い1週間となりました(※リスク回避局面ではドル買いと円買い、リスク選好局面ではドル売りと円売りが同一方向で進むことが背景)。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1300で寄り付いた後、早々に週間安値1.1297まで下落しました。しかし、一目均衡表基準線に下支えされると、@米長期金利低下に伴うドル売り圧力や、A新型コロナワクチン開発への期待感、B株高・原油高を背景としたリスク選好のドル売り圧力、C新型コロナ復興基金への期待感(7/17−7/18に予定されているEU首脳会合で協議)、Dドイツ6月卸売物価指数(結果+0.6%、前回▲0.6%)の伸び率上昇、E対スイスでのユーロ買い圧力(スイス国立銀行のジョーダン総裁による「為替介入とマイナス金利は不可欠」との発言→スイスフラン売り介入警戒感→対スイスでユーロ高進行)が支援材料となり、週央にかけて、3/10以来、約4ヵ月ぶり高値となる1.1452まで急伸しました。週末にかけて反落するも下値は堅く、結局1.1431での越週となっております。尚、7/16に開催されたECB理事会では、現行の金融政策が維持されると共に、ラガルド総裁からも特段真新しい発言が見られず、相場への影響は限定的となりました。
来週の見通し(7/20−7/24)
<ドル円相場>
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、7/15には一時106.66まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、一目均衡表雲下限及びボリンジャーミッドバンドを下抜けしするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(107円台半ばから108円台前半にかけて戻り売り圧力が根強い状態)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国。※イールドカーブ・コントロール導入議論を続ける米国と、7/15の日銀金融政策決定会合を経て追加緩和観測が後退した日本)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク(世界的な感染再拡大)、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。欧米株や原油先物価格の動向や、新型コロナ第2波リスクに絡むヘッドライン(海外のみならず日本国内でも感染者数が急増→デフレマインド再燃)や、米中対立激化を巡る続報(米中報復合戦に警戒)、米主要経済指標の結果(米6月中古住宅販売件数や、米6月新築住宅販売件数、新規失業保険申請件数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(ワクチン開発への期待感及び世界的な景気対策に伴うリスクオンvs新型コロナ第2波リスク及び米中対立激化を背景としたリスクオフの綱引き状態が継続)。
来週の予想レンジ(USDJPY):105.75ー107.75
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、6/22に記録した約3週間ぶり安値1.1168をボトムに反発に転じると、今週は、約4ヶ月ぶり高値となる1.1452まで急伸しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線、一目均衡表転換線及び基準線を上抜けするなど、テクニカル的にみて、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となっております(強い買いシグナルを示唆する三役好転も成立)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(欧州連合は域内の成長率見通しを一段と下方修正)や、A米中対立激化懸念(リスク回避のドル買いを誘発しやすい)、B世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏に波及する恐れあり)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナ第2波リスク(ユーロ圏における新型コロナ感染者数の拡大)、E新型コロナ復興基金を巡るユーロ圏各国の隔たり(現在開催中のEU首脳会合で合意に至らない場合は失望感を誘う恐れあり)、FECBによる緩和的な金融政策の継続、GEUと英国との自由貿易協定交渉難航リスクなど、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが「続伸を阻む」シナリオが想定されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスク及び米中対立激化を巡るヘッドライン、ユーロ圏の主要経済イベントの結果(ユーロ圏7月消費者信頼感指数や、ユーロ圏7月製造業PMI、ユーロ圏7月サービス業PMIなど)、EU首脳会議の結果(7/18に閉幕)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナ第2波リスク+米中対立激化懸念+EU復興基金を巡る協議難航+EUと英国との自由貿易協定交渉難航がユーロドルの重石)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1250−1.1500
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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