今週の週間見通し
先週のドル円はそれまでの荒っぽい動きから一転静かな円相場となり週間レンジも1円未満に収まる一週間でした。しかし、週前半は107円台前半でのもみあいとなっていましたが、水曜NY市場で米国内での新型コロナウイルス感染者数が増加に転じている州が出てきたことを懸念してドル売りとなって以降、週末まで107円に乗せると売りが出てくる流れとなり、週を通してみると上値の重たさを感じさせる一週間となりました。
また新型コロナウイルスの感染者数については週末に第二波ではなく第1波が続いているとの見方が専門家から示され、経済活動の再開とともに引き続き感染者が収束しないことへの懸念が再浮上しています。以下のグラフは上段が米国の感染者総数、下段が1日当たりの感染者数ですが、ここ数日で一気に過去最大の感染者数を記録しています。
あまりに急増しているので本当に正しいのかも気になりますが、少なくとも20日時点で3万人を超え過去最大レベルになっていることは確認済みです。21日時点の6万人超が事実だとすると再度ロックダウンを考えなくてはならない数字にも思えます。
そしてもう一つの気がかりな材料は11月の大統領選に向けてトランプ大統領再選に黄信号が灯ったことです。ミネアポリスの警官による黒人暴行致死に続き、アトランタの警官による黒人射殺、そして直近では3月に起きた黒人射殺事件の警官が免職されたこともあり、米国内外のデモ活動は激しさを増しています。このことが感染者拡大の原因のひとつでもありますが、一連のトランプ大統領の対応に関して不手際を責めることで民主党のバイデン前副大統領は世論調査でトランプ大統領をリードし、先週時点でバイデン前大統領が13ポイントのリードです。
かねてからバイデン前副大統領は、今回の副大統領候補には女性を選ぶと公言していますが、ミシェル・オバマ前大統領夫人でなくとも今の状況で有力な黒人女性を副大統領候補にすることで一段と勝利の可能性を高めてくる可能性があります。新型コロナウイルスの影響で民主党の全国大会は8月に延期となりましたが、それまでにトランプ大統領が今のデモを鎮静化した上で何かアピールできることが無いと久しぶりに現職大統領が1期で終わりということになります。
本来ならば別のことで注目されないと大統領レースには厳しいのですが、NY州南部の連邦検事解任に関わった司法介入の疑いもあり、今のところトランプ大統領にとってはいいこと無しで、そうしたことも米国株の調整に影響を与えているように思えます。今週も経済指標や地区連銀総裁による講演等連日イベントはありますが、現状では多少の数字の振れでは市場参加者が反応しにくくなってきていることもあり、今週も新規感染者数の状況と米国内のデモ活動とそれをうまく利用するバイデン候補側の動き、が株式市場に影響を与え、為替市場に波及する流れと言えそうです。
テクニカルにも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
先週は小動きではあったものの日足で見ても日々上値を切り下げる動きとなっていて、改めて5月安値の105.99レベルを試しに行きそうな上値の重たさを感じさせます。また6月高値から6月安値への下げ、その後の先週高値への戻しを3点として逆N波動(ピンク)考えると、50%エクスパンションが106.01となり、こちらも次のターゲットとして106円前後を目指しているという見方が出来るでしょう。
今週は上値の重さからいったんは下押しする流れを考えますが、一気に新値とも行かなそうですから、106.20レベルをサポートに、107.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
6月22日(月)
08:00 豪中銀総裁講演
16:00 トルコ6月消費者信頼感
23:00 ユーロ圏6月消費者信頼感速報値
23:00 米国5月中古住宅販売件数
23:15 デギンドスECB副総裁講演
24:00 カナダ中銀総裁講演
25:30 レーンECB理事講演
6月23日(火)
16:15 フランス6月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ6月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏6月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国6月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 南ア1〜3月期失業率
22:45 米国6月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国6月リッチモンド連銀
23:00 米国5月新築住宅販売件数
6月24日(水)
08:50 日銀会合主な意見公表
11:00 NZ中銀政策金利発表
15:45 フランス6月企業景況感
16:00 レーンECB理事講演
16:00 トルコ6月製造業信頼感
17:00 南ア4月CPI
20:00 南ア3月小売売上高
22:00 米国4月住宅価格指数
23:30 週間原油在庫統計
25:30 (シカゴ連銀総裁講演)
28:00 (セントルイス連銀総裁講演)
6月25日(木)
**:** 中国、香港市場休場
07:45 NZ5月貿易収支
15:00 ドイツ7月GFK消費者信頼感
18:30 南ア4月PPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:30 ECB理事会議事要旨公表
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国1〜3月期GDP確報値
21:30 米国5月耐久財受注
21:30 シュナーベルECB理事講演
23:30 メルシュECB理事、オランダ中銀総裁講演
24:00 (アトランタ連銀総裁講演)
27:00 メキシコ中銀政策金利発表
6月26日(金)
**:** 中国市場休場
08:30 本邦6月東京区部CPI
15:00 ドイツ5月輸入物価
15:45 フランス6月消費者信頼感
21:30 米国5月個人所得・消費支出
23:00 米国6月ミシガン大消費者信頼感
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月15日(月)
週明けのドル円は株式市場が安く始まった動きとともに円高の動きが先行しました。後場には107.00レベルの安値をつけたものの、株式市場が下げ止まる動きから反転、欧州市場では下げる前の水準に戻したものの動きは鈍く、引けまで107円台前半での小動きに終止しました。
6月16日(火)
ドル円は、終日107円台前半でのもみ合いに終止し、107.30以下の買いと107.60以上の売りに挟まれ、日銀会合と黒田総裁会見、北朝鮮による南北連絡事務所爆破、米国の経済指標、パウエルFRB議長議会証言等、それぞれ多少の反応は見られたものの、方向感が出ることなく終わりました。
6月17日(水)
ドル円は、NY市場後場までは動意薄の展開が続きましたが、レンジとしては前日より10銭程度低いに過ぎないものの上値の重たさを感じる流れでした。NY市場の後場に前日テキサス州で感染者が過去最多、フロリダ等でも急増しているなど活動再開後の第二波が改めて懸念される中で最近のもみあいを下抜け。テクニカルな動きが中心でしたが、106.95レベルの安値をつけそのまま安値圏での引けとなりました。
6月18日(木)
ドル円は、東京市場では株価とともに前場は円高が先行し、後場は買い戻されるという動きとなりましたが、前日NY後場以降の下げの影響が残り107円台に乗せると売りが出てくるという動きが続きました。欧州市場に入り再び株価が下げに転じる動きとともにドル円は売りが強まり、NY前場には106.66レベルの安値をつけたものの後が続かず、引けにかけては107円近辺へと戻して引けました。
6月19日(金)
ドル円は、終日上値が重たい地合いとはなっていたものの値幅は伴わず、30銭強のレンジの中で方向感が出ない週末相場となりました。株式市場はNY市場まではじり高、NY市場では売られましたが為替市場への影響は特に見られませんでした。
ディスクレーマー
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