引き続き対ドル、対円ともに下げやすい
〇ユーロ着実に水準を切り下げる展開
〇材料的には消化済みのもの多い欧州基金は先送り、決定までは上値を抑えるか
〇シカゴの先物もユーロ買いポジション多く上値を抑えるか
〇今週は1.1110レベルをサポート、1.1260レベルをレジスタンスとする週か
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、火曜日に高値をつけて以降は高値安値ともに切り下げる展開となっていましたが、前週からの流れで見ると10日につけた6月高値1.1423レベルから着実にユーロが水準を切り下げる展開となっています。前週はブレグジット移行期間の延期なし、先週はMPCで金利は現状維持と最近はポンド主導でのユーロの下げ、また株価の上値が重くなってきたことからリスクオフでのユーロ円の売りもユーロの上値を重くする要因となってきました。
材料的には金融政策関連は出尽くした感がありますが、欧州委員会が進めている復興基金の話も当初は好材料とはなっていたものの、実現には時間がかかりそうだとの見方が広まり直近では材料としにくくなっています。先週のEUの電話会議においても、当初ドイツとフランスによる共同提案の基金で難色を示した4か国が今回も同意していないことから決定は先送りとなりました。最終的には決定することになると思うのですが、EUではこうした重要な決定には全会一致が必要であるため、今回の基金も簡単に決まるものではありません。期待が先行した分、決定するまでは上値を抑える要因となりやすいと言えます。
今はグローバルの新型コロナウイルスによる制限から活動再開へと向かっていますが、世界中の大規模緩和と経済対策によってこちらもやや期待が先行し過ぎている感があります。悪い経済指標が出ても当たり前で、予想よりも強いと好材料とされることが多いのですが、客観的に見るととてもコロナ前の状態に戻っているわけではありませんし、まだまだ元に戻るには相当な時間がかかると考えざるを得ません。そうした中で米国の感染者再拡大の状況を見ていると、一定の制限がある状態は続かざるを得ないでしょう。
特にシカゴの通貨先物を見ていると、ユーロ買いのポジションが前週までの9万枚前後の水準から16日時点では一気に12万枚近くにまで増えていて、ユーロがいったんピークアウトした状況でもかなりのユーロ買いポジションが残っていると考えられます。先週後半に多少のポジション調整が出ていたとしても、依然として高水準のユーロ買いポジションが残っていることを考えると、需給的にもユーロの上値を抑える要因となることは間違いありません。
テクニカルにもユーロのチャートパターンは上値の重さを感じさせるものとなってきました。日足チャートをご覧ください。
6月はヘッド&ショルダー型のリバーサルパターンを形成し当面の高値はつけたチャートとなっていますが、年初来安値と6月高値の38.2%押し1.1123が目先のターゲット、半値押しの1.1030は4月〜5月のもみあいを上抜けた水準とも重なりますので、一段の下げが出てくる時には1.10の大台を視野に入れる動きともなってきそうです。
今週のところは後者のターゲットにまでは行かないと思いますが、前者のターゲットは3月末の戻り高値の水準でもあり、テクニカルにもターゲットとしやすい水準です。今週も上値の重たい流れを継続すると見て1.1110レベルをサポートに、1.1260レベルをレジスタンスとする週を見ておくことにします。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見てみましょう。
ユーロ円はユーロドル、ドル円ともに上値が重たい動きとなっていることから6月高値124.43から既に5円を超える調整となりましたが、5月安値から10円上げたことを考えるとちょうど半値押しの水準です。
材料的には依然としてユーロドルもドル円も下げ方向にバイアスがかかりやすい地合いですし、120円の大台もあっさりと割り込んだことを考えると、次のターゲットとして61.8%押しの118.24も今週から来週あたりに試す可能性が高いのではないかと見ています。
今週の予定
6月24日(水)
15:45 フランス6月企業景況感
16:00 レーンECB理事講演
6月25日(木)
15:00 ドイツ7月GFK消費者信頼感
20:30 ECB理事会議事要旨公表
21:30 シュナーベルECB理事講演
23:30 メルシュECB理事、オランダ中銀総裁講演
6月26日(金)
15:00 ドイツ5月輸入物価
15:45 フランス6月消費者信頼感
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月15日(月)
ユーロドルは、東京市場ではドル円とドルの動きを揃えつつも、ユーロ円では円の動きと足並みを揃えていたこともあって、NY市場までは上値がやや重たいながらも1.12台半ばでのもみあいを続けました。NY市場ではダウ反発の動きがユーロ円での買い戻しとなりユーロドルも上昇、NY後場には1.1333レベルの高値をつけ高値圏でのクローズとなりました。
6月16日(火)
ユーロドルは、欧州市場序盤までは上値は重たいながらも静かな展開が続きましたが、欧州市場ではユーロが他の主要通貨に対して売りが目立ち、ユーロドル、ユーロ円とも前日の上げに対し2日かけて行って来いの動きとなりました。NY昼前にやや買い戻しが出た後は動意薄のまま引けました。
6月17日(水)
ユーロドルは、東京市場では底堅い動きとなっていましたが、欧州市場に入り実需のユーロ売りと見られる動きが先行、ドル円とともにユーロ円にも売りが入ったことからNY前場には1.1207レベルの安値をつけました。その後、引けにかけては新型コロナ感染者再拡大によるドル売りの動きが目立ちやや買い戻されて引けました。
6月18日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず英中銀MPC結果待ちの流れとなりました。注目のMPCでは利下げと資産購入枠拡大の双方を実施する追加緩和という見方も一部でありましたが、結果は資産購入枠の拡大のみで金利は現状維持。当初買いが先行したポンドは一転下げに転じ、ポンドに引っ張られユーロドルもNYの昼過ぎには1.1185レベルの安値をつけそのまま安値圏での引けとなりました。
6月19日(金)
ユーロドルは、NY市場までは1.12台前半を中心として30pipsにも満たないもみあいとなっていました。NY市場に入り買いが先行する中で1.1254レベルの高値をつけたものの前日高値は抜けられず、逆ににわかロングが増えたこともあって、週末前のストップオーダーに実需のユーロ売りも加わって1.1168レベルの週間安値をつけました。EUサミットにおいて復興基金の合意が先送りされたこともユーロの上値を抑える要因となっていました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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