先週はレンジ取引、今週も方向性欠く展開か
〇ドル円は先週小安く107円を割り込むも、下値の堅い展開
〇北朝鮮情勢は南北共同連絡事務所爆破で悪化、米中はハワイ会談で進展報道も
〇コロナウイルスは中南米、新興国で感染拡大、米中では感染第2波への懸念強まる
〇ドル円は106.50-108.00のレンジ取引継続だが、リスクはどちらかといえば下方向
〇今週の予想レンジ、105.80-108.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが小安い。しかし、週のザラ場ベースでも前週安値を下回れなかったばかりか、週間を通した値幅も1円にとどかないなど、ドルの下値は堅かった。
前週末には、ポリティコが、対中強硬派として知られる「ポンペオ米国務長官がハワイで中国政府当局者との会談を模索している」と報じ話題に。また、米アトランタで警官が黒人男性を射殺したことが、「対応は行き過ぎ」などと新たな抗議デモに繋がるキッカケとなっていた。
そうした状況を受けて取引が始まった週明けのドル/円は前週末のNYクローズと大差のない107.30円前後で取引開始。その後は揉み合いながらも、わずかに下値を切り上げ、週間高値である107.63円を示現している。ただ、高値を付けたのちのドルはやや冴えず。大局的には1円程度のレンジ内だが、週の後半に掛けては106.60-107.10円といった取引に。ドルは下値を意識しつつ、週末NYは106.85円前後で取引を終え、越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「北朝鮮情勢」と「米中の対立」について。
前者は、金委員長の妹である金与正党第一副部長が「遠くない時期に、南北共同連絡事務所の形なく壊れる悲惨な光景を見ることになる」などとする談話を事前に発表していたが、それが現実のものに。16日、実際に「北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破」したことが明らかとなった。そんな北朝鮮に対し、米韓だけでなく中露などからも行動の自制を求めるコメントが発せられたものの、北朝鮮の対韓挑発行動はとどまることをしらず。その後も「韓国との経済協力事業が行われていた南東部の金剛山観光地区と南西部の開城工業団地に部隊を展開する」との談話を発表。また「金与正氏は韓国が特使派遣するとの提案を拒否」、「韓国との共同連絡事務所爆破は第1段階の行動」などといったニュースが相次いでいる。
対して後者は、新型コロナや香港情勢などをめぐる「米中対立」が貿易問題にまで発展しつつあるなか、関係改善を目指し「対中強硬派」であるポンペオ国務長官がハワイで中国の外交政策を統括する楊共産党政治局員と会談を行った。この件について、米国サイドからはとくに目立った発表などはなされていないが、週末19日にブルームバーグが「中国は17日のハワイ会談を踏まえ、米農産物購入を強化する方針」と報じており、これが一部で対立緩和に繋がるなどとして話題になっていた。
<< 今週の見通し >>
WHOが発表したように、新型コロナウイルスは中南米や新興国を中心に依然として拡大が続いている。とくにブラジルでの拡大が著しく、一部の分析では将来的に感染者数世界トップの米国を抜く可能性も取り沙汰されていた。また、すでに経済活動再開に動いている米中などでは、いわゆる「感染第2波」への懸念が根強い。そうしたなか、米国では先週末20日にオクラホマ州でトランプ米大統領の選挙集会が開催されたが、直前にスタッフ6人のウイルス感染が確認されたにもかかわらず、強硬実施されたという。今後判明することだが、ヒョッとするとクラスターの発生となった可能性も否定出来ない。その場合には、ドル売り要因に!?
材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「全米に広がるデモ活動」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。前者については、先でも取り上げた「米中要人のハワイ会談」が多少なりとも対立緩和になったとの期待感も聞かれるが、全体としては厳しい見方をする向きが少なくない。また、それとは別に、「中国とインドの国境付近での武力衝突」、「北朝鮮と韓国の軍事境界線での対立」など、アジアにおける地政学的リスクの増大も依然として強く警戒されているようだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場はいまだレンジ内。先週は一週間を通じ1円未満の変動にとどまったうえ、期間を少し延ばしても106.50-108.00円といった1.5円程度のレンジ取引に過ぎない。いずれにしても、まずは足もとのレンジのブレークがまず注目されていることは間違いないが、敢えてリスクを指摘すれば下方向にバイアスか。仮に、下回れば5月安値105.99円がターゲットとなるだろう。
今週は、6月のリッチモンド連銀製造業指数や1-3月期GDP確定値といった米経済指標が発表される予定となっている。5月以降の米経済指標は総じて良好な内容となったものが多いものの、18日に発表された週間ベースの新規失業保険申請件数は逆に失望を誘う数字を記録していた。そうした意味で、まだ好悪マチマチの内容とも言えそうで、今週も発表される米経済指標の内容には大いに注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、105.80-108.00円。ドル高・円安については、先週高値の107.63円や、移動平均の25日線が位置する107.75円レベルなどをめぐる攻防に注目。しっかり抜ければ108円台乗せがみえてくる。
対するドル安・円高方向は、先週安値の106.67円ならびに、前回安値の106.58円が非常に強いサポートして意識されている。仮に割り込むようだと、5月安値105.99円がターゲットとなりそうだ。
オーダー/ポジション状況
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