短・中期的にはトレンド強いが、円買い介入などに振らされる地合いか
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、自国経済指標に対する値動きは限定的となったが、円全面安の流れに伴うランド上昇を受けて、2022年7月以来の8.4円台まで急上昇した。
25日に発表された3月の生産者物価指数(PPI)は前月比、前年比ともに市場予想を上回ったものの、南アフリカ準備銀行(南ア中銀)による利下げ観測はさほど後退せず、ランドは小動き推移となった。
ただ、週末に開催された日銀金融政策決定会合で「現状の政策維持」「円安対応には動かず」といった姿勢が示されたことで、円売りが急加速。円が主要通貨に対して全面安の展開となったことで、ランドも急上昇し、23年11月の昨年高値8.3404円を上回り、22年7月以来となる8.4円台まで上昇した。
ランド・円(東京時間:4月22日―4月26日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.0919円
高値:8.4261円
安値:8.0326円
終値:8.4154円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
4月23日
16時00分、2月先行指標、前回:110.9、結果:112.8
4月25日
18時30分、3月PPI(前年比)、前回:4.5%、市場予想:4.5%、結果:4.6%
18時30分、3月PPI(前月比)、前回:0.5%、市場予想:1.0%、結果:1.1%
4月30日
15時00分、3月マネーサプライ(前年比)、前回:5.71%、市場予想:5.70%
21時00分、3月貿易収支、前回:140億ランド、市場予想:165億ランド
5月2日
18時00分、4月製造業PMI、前回:49.2、市場予想:50.5
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、貿易収支や製造業PMIなど南アフリカ経済の状況よりも、日本当局による円買い介入の有無や、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果など外部環境を睨んだ展開となりそうだ。
東京時間29日14時時点で、為替市場は荒い値動きとなっており、ドルは一時155円台前半と4円強円高ドル安に振れた。ユーロも171円台という1999年誕生以来最も円安ユーロ高が進んだ水準から4円ほど円高が進むなど円安加速の巻き戻しが起こっている。政府・日銀による円買い介入実施観測もあるなか、ランドも円高が進み、8.3円台で推移している。
仮に日本当局による円買い介入実施となれば、円安基調一服を受けて、自国経済の不透明感が強いランドは上値が重くなる公算は大きい。また、5月29日に総選挙を控えていることも積極的なランド買いを手控える要因となろう。政権発足に空白期間が長引くような事態となる可能性もあることから要警戒だ。
一方、テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限を大きく上放れており、強いトレンドが見られる。29日の陰線及び上影(上ヒゲ)が、今後の重しとなる可能性はあるが、短期的なテクニカルは強いと判断できよう。中期的にも、23年11月の昨年高値8.3404円を上回ったことから地合いは良好だ。今週は、強いテクニカル VS 南アフリカ経済及び政治の不透明感という構図となりそうだが、短期的には今しばらく荒い値動きとなろう。
なお、29日13時以降の円安巻き戻しの動きは、26日17時頃に入った投機筋の仕掛け的な売買(この時は1円ほど円高に振れるが数分で戻った)とは規模が異なるので、政府・日銀による円買い介入が実施されたと考える。介入の陣頭指揮を執る神田財務官は「今はノーコメント」と発言したが、「日銀当座預金増減要因と金融調節」にて、実施の有無はある程度推測できるのでそこを確認したい。今回は「レートチェック」の可能性もあるが、仮に実施していれば「160円は容認しない」という政府・日銀の意思表示と読み取ることはできよう。
南アフリカランド円日足
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