『約1年10カ月ぶり高値圏から反落も下値余地は限定的か』
〇今週の南ア円、ドル円急落、南ア指標の不冴えに週央8.23まで下落
〇一方対ドルではFOMCのハト派な結果、米雇用統計の不冴え、プラチナ価格の堅調に4か月ぶり高値
〇テクニカルには主要テクニカルポイントの上側で推移、強い買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも中東を巡る地政学的リスクの後退、金・プラチナ価格の堅調等が南ア円を支持
〇引き続き、南アランド円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.10ー8.40
今週のレビュー(4/29−5/3)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.40円で寄り付いた後、早々に週間高値8.51円(2022年6月以来、約1年10ヶ月ぶり高値圏)まで上昇しました(ドル円急伸→南アランド円連れ高)。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)日本政府・日銀による断続的な為替介入(ドル円急落→南アランド円連れ安)や、(2)南ア3月財政収支(結果21億ZAR黒字、予想118億ZAR黒字)の市場予想を下回る結果、(3)南ア3月貿易収支(結果73億ZAR黒字、予想165億ZAR黒字)の市場予想を下回る結果が重石となり、週央にかけて、週間安値8.23円まで反落しました。
引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/4午前1時50分現在)では、8.25円前後で推移しております。一方、対ドル相場(USDZAR)は、(4)米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見のハト派的な結果や、(5)米4月雇用統計の冴えない結果、(6)上記4、5を背景とした米長期金利の急低下、(7)南アフリカの主要産品であるプラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)、(8)南ア4月製造業PMI(結果54.0、予想50.5)の良好な結果、(9)南ア4月Naamsa自動車販売(結果+2.2%、予想▲7.5%)の力強い結果が支援材料となる形で、週末にかけて、約4ヶ月ぶり高値18.395ZARまで急伸しました(※つまり、南アランド自体は週を通して堅調推移が継続するも、日本政府・日銀による為替介入の影響で、対円でのみ南アランド下落)。
来週の見通し(5/6−5/10)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は昨年12/28に記録した安値7.55円をボトムに切り返すと、今週初にかけて、約1年10カ月ぶり高値8.51円(2022年6月以来の高値圏)まで急伸しましたが、日本政府・日銀による為替介入(ドル円急落→南アランド円連れ安)の影響で、週央以降は8.23円付近まで反落する動きとなりました。但し、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続していること、対ドル相場が約4ヶ月ぶり高値圏へと急伸したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合は「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)中東を巡る地政学的リスクの後退や、(2)金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力(南アフリカから米国への資金流出圧力後退)、(4)日本政府・日銀による介入余力低下(4/29および5/1に介入と思しきドル売り・円買いを観測→日銀当座預金見通しから類推すると、既に8.5兆円規模の介入を行ったと予測されることから、介入余力は残り15.5兆円程度→介入余力が無くなれば無くなるほど足元を見る形で円売り圧力が再開する恐れあり)、
(5)南ア政治の改善期待(5/29に開催される南ア選挙で与党ANCが大幅に議席を失うリスクあり。当初は政局不透明感を嫌気する形で南アランド売り要因として認識されていたが、足元ではANCの議席減少は中長期的に南ア政治の透明化や汚職払拭に繋がるとの期待感から南アランド買い要因として捉えられつつある)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.10ー8.40
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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