トルコリラWeekly 戻り試す展開だが、日本当局やFOMCなど外部環境睨みに(24/4/29)

先週のトルコリラは、トルコ中央銀行が「引き続きインフレリスクに注意を払う」とタカ派なスタンスを維持した。

トルコリラWeekly 戻り試す展開だが、日本当局やFOMCなど外部環境睨みに(24/4/29)

戻り試す展開だが、日本当局やFOMCなど外部環境睨みに

【先週のトルコリラ】

先週のトルコリラは、トルコ中央銀行が「引き続きインフレリスクに注意を払う」とタカ派なスタンスを維持したほか、週末の日本銀行の金融政策決定会合にて「円安是正対応」が取られなかったことで円が全面安の展開となり、トルコリラは2カ月ぶりの水準まで上昇した。

24日に発表された4月製造業景況感指数が前回と同じ横ばいだったほか、同月設備稼働率は76.7%と前回(76.2%)比では改善となった。そして、25日のトルコ中銀金融政策決定会合では、政策金利50.00%の現状維持を発表。声明文にて、「前回(3月)の金融政策決定により、金融は大幅に引き締められた。金融引き締めが信用状況や内需に及ぼす影響を注視する」とした上で「金融政策の影響が景気とインフレに及んでくるまでのタイムラグを考慮し、金利を据え置いた。引き続きインフレリスクに非常に注意を払う」とし、当面、利上げによるインフレ抑制効果を見守りたい考えを示した。

また、今後の金融政策については「毎月のインフレ率が大幅かつ持続的に低下し、インフレ期待が予測範囲に収束するまで、金融引き締めスタンスが維持される」とし、当分の間、金利を高水準に据え置く方針を示した。一方、「インフレ率が大幅かつ持続的に悪化することが予想される場合、金融政策スタンスは引き締められる」とし、追加利上げに含みを残す「タカ派」な考えを明確とした。インフレ見通しについては、「金融引き締めスタンスにより、24年後半にはディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)に入る」と予想している。

利上げ見送りとなったが、トルコ中銀の「タカ派」な姿勢が確認できたことでトルコリラはしっかりの推移に。週末の日銀金融政策決定会合で「現状の政策維持」「円安対応には動かず」といった姿勢が示されたことで、市場は円売りを加速させた。円が主要通貨に対して全面安となったことでトルコリラも急上昇。2月23日以来となる4.88円台まで上昇した。

トルコリラ・円(東京時間:4月22日―4月26日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.7584円
高値:4.8877円
安値:4.7302円
終値:4.8654円

【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間

4月24日
16時00分、4月製造業景況感指数(季節調整済)、前回:103.5、結果:103.5
16時00分、4月設備稼働率、前回:76.2%、結果:76.7%
4月25日
20時00分、トルコ中銀政策金利、前回:50.00%、市場予想:50.00%、結果:50.00%
4月30日
16時00分、3月貿易収支、前回;−67.7億ドル、市場予想:−75.0億ドル
17時00分、3月外国人観光客(前年比)、前回:22.7%
5月3日
16時00分、4月CPI(前月比)、前回:3.16%、市場予想:3.4%
16時00分、4月CPI(前月比)、前回:68.50%、市場予想:70.10%
16時00分、4月CPI(コア)(前月比)、前回:75.21%、市場予想:75.70%
16時00分、4月PPI(前月比)、前回:3.29%
16時00分、4月PPI(前年比)、前回:51.47%

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のトルコリラは、3日に発表される4月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が売買材料となるなか、日本当局による円買い介入の有無、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果など外部環境を睨んだ展開となりそうだ。

4月CPIはいずれも前月を上回る市場予想となっており、インフレは加速する見通しだが、川上であるPPIは3月が前月比3.29%、2月は同3.74%、1月は同4.14%と鈍化傾向にある。PPIの鈍化傾向がいずれ、川下であるCPIに影響するとの見通しだ。つまり、4月PPIが前月よりも増加率が強まれば、トルコ中銀による追加利上げの公算は大きくなろう。

一方、東京時間29日14時時点で、為替市場は荒い値動きとなっており、ドルは一時155円台前半と4円強円高ドル安に振れた。ユーロも171円台という1999年誕生以来最も円安ユーロ高が進んだ水準から4円ほど円高が進むなど円安加速の巻き戻しが起こっている。政府・日銀による円買い介入実施の可能性もあるなか、トルコリラも円高が進み、4.7円台で推移している。

日足ベースでは、3月13日の史上最安値4.5227円から下値をじりじりと切り上げており、50日移動平均線を上回った後、日足の一目均衡表の雲上限も突破。100日移動平均線を一気に上抜いたタイミングで反発基調が強まっており、目先昨年12月以来となる5.0円台回復を意識した格好だ。中東情勢や日本当局による円買い介入など外部環境を睨んだ展開ではあるが、戻りの強さが意識された地合いが続くと想定する。

なお、29日13時以降の円安巻き戻しの動きは、26日17時頃に入った投機筋の仕掛け的な売買(この時は1円ほど円高に振れるが数分で戻った)とは規模が異なるので、政府・日銀による円買い介入が実施されたと考える。介入の陣頭指揮を執る神田財務官は「今はノーコメント」と発言したが、日銀HPに5月1日に4月末時点の「日銀当座預金増減要因と金融調節」が掲載されることで、実施の有無はある程度推測できるのでそこを確認したい。今回は「レートチェック」の可能性もあるが、仮に実施していれば「160円は容認しない」という政府・日銀の意思表示と読み取ることはできよう。

戻り試す展開だが、日本当局やFOMCなど外部環境睨みに

トルコリラ円日足

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