トルコリラ円見通し ドル円の乱高下により一段高後に急落、ドル円動向の見定め続く(24/4/30)

4月29日は概ね4.92円から4.76円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.80円で先週末終値からは0.07円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の乱高下により一段高後に急落、ドル円動向の見定め続く(24/4/30)

トルコリラ円見通し ドル円の乱高下により一段高後に急落、ドル円動向の見定め続く

〇トルコリラ円、ドル円の急騰を追いかけ、4/26午前4.76台から4/27早朝4.88へ大幅上昇
〇4/29午前ドル円の160円台到達局面で4.92へ一段高、その後ドル円が急落に転じ夕刻4.76まで大幅下落
〇4/29夜に4.85まで戻してから4/30早朝に4.79まで下げ、4/30朝は4.82近辺へ戻す
〇対ドル、4/26は概ね32.60から32.20の取引レンジ、4/29は概ね32.57から32.09の取引レンジ
〇対ドルではリラ売りがやや落ち着き、ほぼ横ばいの推移
〇外貨準備高はネットもグロスも減少傾向
〇4.85を下回る内は一段安余地ありとし、4.79割れからは4.75前後への下落を想定する
〇4.85超えからは反騰継続として、4.88前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月26日は概ね4.76円から4.88円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.79円から0.08円の円安リラ高で、週間では4月19日終値4.76円から0.11円の円安リラ高だった。
4月29日は概ね4.92円から4.76円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.80円で先週末終値からは0.07円の円高リラ安だった。

ドル円は日銀金融政策決定会合での現状維持と円安への強い牽制姿勢が示されなかったことをきっかけとして156円台へ急伸し、一時154.99円まで反落したところから早々に切り返し、26日夜の米3月PCEデフレーターが高止まりの様相となり米国の利下げ開始先送り感を強めたことによるドル高に押し上げられて27日早朝には158.42円へ大幅続伸した。4月29日午前には祝日による薄商いの中で160.16円へ急騰したが、13時過ぎから市場介入が疑われる急落となり夕刻には154.50円まで5円を大きく超える下落幅となった。その後は156.88円まで戻してから反落するなど156円を挟んだ揉み合いに入っている。

トルコリラ円はドル/トルコリラが小動きの中でドル円の急騰を追いかけ、4月26日午前の4.76円台から27日早朝には4.88円へ大幅上昇していたが、29日午前にドル円が160円台に到達した局面で4.92円まで一段高し、ドル円が急落に転じたことで夕刻に4.76円まで大幅下落した。29日夜に4.85円まで戻してから30日早朝に4.79円まで下げ、30日朝は4.82円近辺へ戻している。

4月29日にドル円が急落したことについて神田財務官はノーコメントとしているが、大規模な市場介入を思わせる下げ幅であり、1990年4月2日高値160.36円以来の160円台到達後に急落したことでドル円が当面の天井を付けた可能性も考えられるが、2022年の市場介入は9月22日の一度目介入で当日に5円を超える急落となったものの10月21日高値151.94円へ一段高となり、二度目と三度目の市場介入でようやく円安にブレーキがかかり、米国のCPI上昇率が予想を大幅に下回ったことによる逆CPIショックで円高局面に転じている。現状も仮に一度目の市場介入だったとしてもそれを乗り越えて一段高へ進む可能性も残っているところであり、4月30-5月1日のFOMC(2日未明に声明発表)から週末の米雇用統計へと重要イベントが続く中でドル高円安が再開するのか、当面の天井を付けたとして下落期に入るのか、トルコリラ円としては暫く波乱含みでドル円を追いかけてゆく展開と思われる。

【ドル/トルコリラはリラ安一服で小動き続く】

ドル/トルコリラの4月26日は概ね32.60リラから32.20リラの取引レンジ、27日早朝の終値は32.40リラで前日終値の32.52リラからは0.12リラのドル安リラ高で、週間では4月19日終値32.49リラから0.09リラのドル安リラ高だった。
4月29日は概ね32.57リラから32.09リラの取引レンジ、30日早朝の終値は32.42リラで先週末終値からは0.02リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いで4月1日に一時31.36リラへ急伸したものの4月5日からドル高リラ安が再燃し、4月12日には一時33.03リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、日足終値ベースでは4月24日終値32.54リラで終値としての史上最安値を更新した。しかしその後はリラ売りもやや落ち着いてほぼ横ばいの推移に入っている。

4月25日にトルコ中銀が政策金利を現状維持としたもののインフレ抑制のための引き締め状態を続けるとしたことで今後のインフレ動向を見定めたいという印象であり、5月3日のトルコ4月CPI発表に注目が集まる。
週足では4月12日に史上最安値を更新した週の後を2週連続で持ち合い推移としているが、月間足では2022年9月に2021年12月安値を超えて史上最安値を更新したところから今月で20か月連続で史上最安値を更新している。

【外貨準備高はネットもグロスも減少傾向】

4月26日に発表された週次の外貨準備高は4月19日時点のグロスで670.1億ドルとなり前週の700.0億ドルから減少した。2023年6月の565.2億ドルから2023年12月に975.6億ドルまで大幅増加してきたが、12月をピークに減少に転じており4月19日時点でこの間の最低としている。4月25日に発表されたネットの外貨準備高は150.5億ドルへ減少して3月末の152.1億ドルを割り込んで2023年12月の400.9億ドルをピークとしてこの間の最低としている。
トルコ中銀はエルカン前総裁時代に外貨準備高を取り崩してリラ安抑制のための市場介入を止めて昨年6月時点でネットの外貨準備高がマイナス57億ドルまで悪化したところから改善させてきたが、その努力も一巡して辞任し、カラハン現総裁体制となってからも減少傾向が続いていることは大手格付け機関や外資のトルコ評価を下げるものと懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月29日午前への急騰してから大幅下落したため、29日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。4月29日夕安値4.76円割れからは4月26日午前安値を基準として5月1日朝から3日午前にかけての間への下落を想定するが、ドル円の乱高下に巻き込まれる可能性もあるので4.85円超えからは29日夕安値をボトムとした強気サイクル入りとして5月2日午前から6日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月29日午後の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも一時転落したが、その後は安値更新を回避している。先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月27日早朝から29日午前への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて40ポイントまで急落した。その後も下げ渋り程度の動きに留まっているので55ポイント以下での推移中は30ポイント以下への一段安余地ありとするが、55ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイントを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.85円を上値抵抗線とする。
(2)4.85円を下回る内は一段安余地ありとし、4.79円割れからは4.75円前後への下落を想定する。4.75円以下は反騰注意とするが、4.83円を下回っての推移なら1日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.85円超えからは反騰継続として4.88円前後への上昇を想定する。4.88円前後は反落警戒とするが、4.85円を上回っての推移なら1日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月30日
 16:00 3月 貿易収支確報 (2月 −67.7億ドル)
 16:00 1-3月 海外観光収入 (10-12月期 122.7億ドル)
 17:00 3月 海外観光客数 前年同月比 (2月 22.68%)
5月2日
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50)
5月3日
 16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (3月 3.16%、予想 3.40%)
 16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 68.50%、予想 70.33%)
 16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (3月 3.29%)
 16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (3月 51.47%)


注:ポイント要約は編集部

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