トルコリラ円見通し ドル円の反騰を追い4.80円台後半へ戻す(24/5/1)

トルコリラ円の4月30日は概ね4.87円から4.80円の取引レンジ、5月1日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.80円から0.07円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反騰を追い4.80円台後半へ戻す(24/5/1)

ドル円の反騰を追い4.80円台後半へ戻す

〇トルコリラ円、ドル円の持ち直しに合わせて5/1早朝4.87まで切り返す
〇対ドル、4/30は概ね32.53から32.07の取引レンジ。対ドルでの史上最安値更新に一服感
〇インフレ根強く、2024年末に1ドル40リラ目指す市場のコンセンサスは変わらずか
〇3月貿易収支確報、貿易赤字が11月から4か月連続で拡大
〇1-3月期観光収入は10-12月から減少。7月の最盛期へ向けて地政学的リスクの増大が足かせ
〇4.83下回る内は上昇余地あり、4.88超えからは4.90、4.91を順次試す上昇を想定
〇4.82割れからは下落期入りの可能性を優先し4.80前後試しとする。4.80以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の4月30日は概ね4.87円から4.80円の取引レンジ、5月1日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.80円から0.07円の円安リラ高だった。
ドル円は4月29日午前に160.16円へ急伸して1990年4月2日高値160.36円以来の160円台に到達したところから推定5兆円規模の市場介入と思われる急落となり29日夕刻には154.50円まで下げてこの間の下げ幅は5.66円となったが、介入による狼狽売りが一巡したことで持ち直しに入り、30日夜の米四半期雇用コスト指数の上昇をきっかけとした米長期債利回り上昇とドル全面高により5月1日早朝には157.84円へ上昇し、29日急落幅に対して6割弱の反発となった。

トルコリラ円はドル円が急伸した29日午前に4.92円へ上昇し、ドル円の急落を見て29日夕刻に4.76円まで大幅下落したが、その後はドル円の持ち直しに合わせて5月1日早朝には4.87円まで切り返している。29日の急落幅0.16円に対して5月1日高値までの戻り幅は0.11円となり7割弱を戻してドル円の戻り率を上回っているのはドル/トルコリラでドル高リラ安が一服してややリラ高優勢の動きがみられることを反映していると思われる。
今夜は米ADP民間雇用、JOLTS求人件数、ISM製造業景況指数、明朝のFOMCと重要イベントが続くため、それらが米国の利下げ先送り感を強めて米長期債利回り上昇とドル高を招く場合はドル円も再び160円に迫ってゆく可能性もあるが、雇用と景況感の悪化が顕著になれば9月利下げ開始想定が強まりドル安反応となる可能性もあるため内容次第での波乱に注意し、トルコリラ円としてはドル円の騰落を慎重に追いかけるスタンスで構えたいところだ。

【ドル/トルコリラはリラ安一服、4月19日からはやや底上げ基調】

ドル/トルコリラの4月30日は概ね32.53リラから32.07リラの取引レンジ、5月1日早朝の終値は32.40リラで前日終値と変わらなかった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いで4月1日に一時31.36リラへ急伸したものの4月5日からドル高リラ安が再燃して4月12日には一時33.03リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、日足終値ベースでは4月24日終値32.54リラで終値としての史上最安値を更新したが、4月19日以降は徐々に戻り高値を切り上げつつ底上げをしてややドル安リラ高気味の推移に入っている。

トルコ景気が低調な推移を続け、高インフレと高金利による景気への悪影響を続けているものの、統一地方選での与党大敗によりエルドアン政権が民衆支持回復へ向けた政策を推進するとの期待感や、政策金利が50%まで切り上がったことで今年前半にインフレがピークを付けて年後半に低下してゆけばリラを取り巻く環境も改善するのではないかとの思惑もあり、対ドルでの史上最安値更新に一服感がみられる。
ただし、週次の外貨準備高が減少傾向を顕著としていること、5月3日のトルコ4月CPIが3月から上昇する見込みであることからリラ高が本格化するのは時期尚早であり、市場のコンセンサスとして2024年末に1ドル40リラを目指すとの見方は変わらないと思われる。

【トルコ貿易赤字は拡大】

4月30日にトルコ統計局が発表した3月貿易収支確報では貿易赤字が73.4億ドルとなり2月の67.8億ドルから拡大した。輸入は2月の278.5億ドルから299.1億ドルヘ増加、輸出が2月の210.7億ドルから225.7億ドルへ増加したが輸入増加が勝ったことで赤字が拡大している。赤字の拡大は昨年11月から4か月連続で、2023年1月の1430億ドルを最大として改善傾向がみられたものの2023年9月から再び増加傾向に入っている。
1-3月期の観光収入は87.8億ドルとなり10-12月の122.7億ドルから減少、前年同期の87.6億ドルに近い数字に留まった。
3月の海外観光客数270万人で2月の229万人から増加したが昨年3月の234万人を下回った。1月と2月を閑散期として7月の最盛期へと観光客は増加してゆくためリラ安が海外客を呼び込むことも期待されるのだが、ウクライナ・ロシア戦争の長期化、パレスチナ・イスラエル戦争の悪化、一時はイランとイスラエルの全面衝突への懸念が拡大するなど近隣の地政学的リスクの増大が足かせとなることも懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月29日午前への急騰から大幅下落したため、29日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、30日午前時点では4.85円超えからは29日夕安値をボトムとした強気サイクル入りとした。
5月1日早朝にかけての上昇で4.85円を超えたため29日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして5月2日午前から6日午前にかけての間への上昇を想定するが、ドル円の乱調さも警戒されるところのため4.82円割れからは弱気サイクル入りを疑い5月2日夕から6日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月1日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月29日夕刻への下落で40ポイントを試してから60ポイント台へ上昇してきたため、55ポイントを上回るうちは一段高余地ありとするが、55ポイント割れを弱気転換注意とし50ポイント割れからは下落期入りとして40ポイント弱への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.82円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.83円を下回る内は上昇余地ありとし、4.88円超えからは4.90円、4.91円を順次試す上昇を想定する。4.90円以上は反落警戒とするがドル円が急伸する場合は4.93円前後へ上値目途を引き上げ、4.85円を上回っての推移なら2日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)4.82円割れからは下落期入りの可能性を優先して4.80円前後試しとする。4.80円以下は反騰注意とするが、ドル円が急落する場合には4.78円前後へ下値目途を引き下げ、4.82円以下での推移なら2日の日中も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月2日
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50)
5月3日
 16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (3月 3.16%、予想 3.40%)
 16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 68.50%、予想 70.33%)
 16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (3月 3.29%)
 16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (3月 51.47%)
  


注:ポイント要約は編集部

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