ドル円と共に2日早朝へ急落したものの急落幅の過半を解消
〇トルコ円、5/1夜の米指標結果と5/2 FOMC声明を受け、4.82まで下げる
〇5/2朝5時過ぎの市場介入と思われるドル円急落により、4.71まで大幅下落
〇その後ドル円が155円台後半へ戻したこと、FOMC後のドル安リラ高により、4.83まで切り返す
〇市場介入によるドル円の波乱続き、トルコリラ円も乱調な展開に
〇対ドル、5/1は概ね32.54から32.29の取引レンジ
〇ドル/トルコリラはリラ安一服、4/19からはやや底上げ基調
〇FOMC通過後ドル安リラ高に入り、本日午前は32.19近辺で推移
〇5/3にトルコ4月CPIの発表、予想は3月から加速見込み
〇4.80を上回るうちは反騰継続とみて4.85から4.88への上昇を想定
〇4.80割れから続落する場合は戻り一巡による下落期入りとみる
【概況】
トルコリラ円の5月1日は概ね4.88円から4.71円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.75円で前日終値の4.87円から0.12円の円高リラ安だった。
ドル円が1990年4月以来となる160円台に到達したところで5兆円規模とされる大規模な市場介入で急落したためにトルコリラ円は4月29日午前高値4.92円へ上昇したところからドル円の急落を見て29日夕刻に4.76円へ大幅下落した。その後はドル円が急落一巡により買い戻された流れを見ながら5月1日昼過ぎに4.88円まで戻していたが、5月1日夜の米経済指標やFOMCが予想よりもタカ派的でなかったことでドル円が下落したために4.82円まで下げ、ドル円が2日5時過ぎから市場介入と思われる急落に陥ったことで4.71円まで大幅下落した。
ドル円が153円割れを回避して2日午前序盤に155円台後半へ切り返したことと、FOMC後のドル安リラ高により2日9時台には4.83円まで切り返しているが、2日早朝の急落幅の解消には至っていない。
【市場介入によるドル円の波乱続き、トルコリラ円も乱調な展開に】
ドル円は4月29日午前高値160.16円から29日夕安値154.50円まで急落し、その間の下げ幅は5.66円となった。5月1日に158円手前まで切り返したことで、2022年9月22日の市場介入時と同様に円安継続感から再び160円を目指す上昇期に入る可能性も見られたが、FOMC後の騰落がいったん落ち着いて市場が閑散な時間帯に入ったところで二度目の介入と思われる急落が発生した。5月1日高値157.98円から2日早朝安値153.01円までの下げ幅は4.97円となり、4月29日の介入時に近い下落規模となった。
160円に再び迫ることを押さえつけるような市場介入との見方もされており、円安はさらに続くとの市場心理を挫く意図も見られるため、156円台を回復して157円に迫る場合には戻りを叩くような三度目の市場介入が仕掛けられる可能性も警戒される。
トルコリラ円としてはドル円の波乱を追いかける展開だが、急落後のリバウンド、リバウンド一巡後の再下落に注意しながら臨機応変に対処する必要がありそうだ。
【ドル/トルコリラはリラ安一服、4月19日からはやや底上げ基調】
ドル/トルコリラの5月1日は概ね32.54リラから32.29リラの取引レンジ、2日早朝の終値は32.46リラで前日終値の32.40リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いで4月1日に一時31.36リラへ急伸したもののその後は高値切り上げヘ進めず、4月5日からドル高リラ安が再燃して4月12日には一時33.03リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、日足終値ベースでは4月24日終値32.54リラで終値としての史上最安値を更新した。
中長期的なリラ安基調は継続している印象だが、リラから見れば短期的には4月12日安値から4月19日安値へ底上げし、戻り高値が徐々に切り上がっているためにリラ安がやや落ち着いている印象だ。
5月2日早朝に発表された米FOMC声明及びパウエルFRB議長会見が事前予想程にはタカ派的ではなかったとしてFOMC通過後はドル安反応がみられており、ドル/トルコリラも5月1日夜に32.54リラへ下落した後はドル安リラ高に入り、5月2日午前は32.19リラ近辺へリラ高で推移している。
【5月3日にトルコ4月CPIの発表、予想は3月から加速見込み】
5月3日にトルコの4月CPI(消費者物価指数)上昇率の発表がある。
CPI上昇率についての事前予想は全体の前月比が3.40%で3月の3.16%を上回り、前年同月比は70.33%で3月に68.50%を上回ると見込まれている。前月比の予想レンジは2.80%から3.80%、前年同月比の予想レンジは69.20%から70.90%となっている。
CPI全体の前年同月比は2022年11月に85.51%へ上昇したところをピークとして2023年6月に38.21%までいったん低下したが、その後は再上昇が続いている。トルコ中銀は2024年前半に70%台でピークを付けて年末には40%を切る水準へ改善するとしてインフレが顕著に鈍化しないうちは50%の政策金利を据え置いて引き締め状態を維持するとしているが、欧米のインフレ高止まりや4月前半への原油価格上昇とリラの史上最安値更新によるインフレ圧力は高く、中銀予想通りに年後半へ低下するのか疑問符も付くところだ。
コアCPIの前年同月比は3月に75.2%へ上昇し、2022年11月の70.40%を超えて一段高に入っており、2019年11月に付けた6.70%以降の最高を更新している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月29日夕刻安値をサイクルボトムとしてリバウンドに入っていたものの、5月2日早朝への急落によりいったん弱気サイクル入りした。しかし2日午前に急落幅の過半を解消する反騰を見せているため、5月2日早朝安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしている可能性がある。
4.80円を上回っての推移中は強気サイクル入りとして5月6日午前から8日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、4.80円割れから続落の場合は短期的な戻り一巡により弱気サイクル入りする可能性があるとみて5月2日早朝安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして7日早朝から9日早朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月2日早朝への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後の急反騰により両スパンの悪化を解消する可能性も見せている。先行スパンを上抜き返せないうちは反落注意とし、4.80円割れから続落する場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月2日早朝に20ポイント台へ低下してから40ポイント台後半へ上昇しているので、40ポイント以上を維持する内は60ポイント前後への上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.80円を下値支持線、4.85円を上値抵抗線とする。
(2)4.80円を上回るうちは反騰継続とみて4.85円から4.88円への上昇を想定する。4.88円手前は反落警戒とするが、4.83円以上での推移なら3日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)4.80円割れから続落する場合は戻り一巡による下落期入りとみて5月2日早朝安値4.71円試しとし、底割れからは4.65円前後を目指す下落期入りと考える。
【当面の主な予定】
5月2日
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50)
5月3日
16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (3月 3.16%、予想 3.40%)
16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 68.50%、予想 70.33%)
16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (3月 3.29%)
16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (3月 51.47%)
注:ポイント要約は編集部
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