トルコリラ円見通し 6月12日安値割れ回避での持ち合い継続中だが、した放れへ余裕乏しい(20/6/22)

18日深夜安値の後は新たな安値更新を回避しつつ15.60円を挟んでほぼ横ばいの動きとなっている。

トルコリラ円見通し 6月12日安値割れ回避での持ち合い継続中だが、した放れへ余裕乏しい(20/6/22)

6月12日安値割れ回避での持ち合い継続中だが、した放れへ余裕乏しい

〇トルコリラは先週18日に15.53まで切り下げるもその後は安値更新を回避し15.60をはさんで横ばい推移
〇対ドルでも全般的ドル高感から6.86まで下落
〇トルコの新規感染者数は再びやや落ち着きつつあるが、経済活動再開に伴う第二波の懸念払しょくできず
〇15.53を割り込まないうちは上昇余地あり、15.65超えからは15.70円前後への上昇を想定
〇15.53割れからは一段安入りとして15.40円台への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は5月7日に14.61円の史上最安値をつけてからの反騰で6月2日には16.23円の高値を付けたが、その後は上値が重くなり6月8日に16円を割り込んだところから下落基調が強まって6月12日朝には15.48円まで安値を切り下げた。この下落局面ではドル円が6月8日から11日まで4日続落したことが大きく影響した。
6月12日安値の後はドル円が下げ一服で持ち合いに入ったが107円台前半での小動きに留まる中、対ドルでトルコリラがジリ安基調での推移となったためにトルコリラ円も12日夜の戻り高値の後は新たな高値更新へ進めずにジリ安傾向に陥り、6月18日午前には15.54円まで下げて15.60円以上での持ち合い圏から転落して18日深夜には15.53円まで安値を切り下げた。
6月18日深夜への下落もドル円が6月12日安値に迫る円高圧力によるものだったが、ドル円が6月12日安値割れを回避して下げ渋ったためにトルコリラ円も18日深夜安値の後は新たな安値更新を回避しつつ15.60円を挟んでほぼ横ばいの動きとなっている。

【ドル円の持ち合い下放れに注意】

ドル円は6月5日深夜高値109.84円から下落に転じて6月12日午前安値106.55円まで大幅続落したが、その後は下げ一服となり17日夜までは107円台前半を中心とした持ち合いで推移していた。しかし感染拡大への懸念を背景にNYダウが反落する中で107円を割り込み、18日深夜には106.65円を付けて12日安値に迫った。底割れは回避したものの107円をつけるところでは売られて上値も重く、新たな底割れを回避しつつも107円弱でほぼ横ばいとなり、週明けの22日も107円弱の水準に止まっている。

経済活動再開によるアフターコロナの復興期待で株高が進んだ局面でドル円もリスクオン優先として上昇したが、株安に転じるとリスク回避の円高となり、先週前半のNYダウ反発局面でもドル円はさほど同調せずに慎重な横ばいに止まった。週後半は株安とともにユーロやポンド等が下落してドルストレートではドルが買い戻されてドル高となり、クロス円では円が買い戻されて円高となり、ドル円としては円高がやや勝る状況での推移だった。今のところは6月12日安値を割り込んでいないが、割り込む場合は1週間の下げ渋り持ち合いからの転落となるために円高が加速しやすく、トルコリラ円にも大きな売り圧力となりやすいと注意される。

【対ドルでの軟調推移続く】

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで下落してからの揺れ返し上昇で6月3日には6.68リラまで戻したが、その後はドル高リラ安がぶり返している。6月18日に6.86リラまでドル高リラ安が続き、19日は新たな安値更新は回避しているものの、6月3日以降のドル高リラ安基調の範囲での推移となっている。
コロナショックの初期には新興国通貨が全面安となり、トルコリラもブラジルレアル等とともに大幅下落に陥って対ドルでの史上最安値更新に至ったが、その後は主要国による大規模緊急緩和やドル資金供給により新興国通貨売りは一服している。しかし6月3日からドル高リラ安がじわじわと進行していることは、新興国通貨安一巡からの買い戻しの動きも収まり、再び新興国通貨全般への売り気配が出始めていることを示唆していると思われる。特にブラジルレアルが6月8日から急落していること、南アランドも6月10日から反落し始めていることに注意したい。またメジャー通貨でも豪ドルが6月10日から反落気味、ユーロやポンドも6月10日高値から反落していることで、全般的なドル高感が強まっていることも対ドルでのトルコリラ下落圧力となり始めていると注意したい。

【トルコは経済活動再開で感染者再び増加傾向に】

新型コロナウイルスの感染拡大は続いている。
6月22日朝時点の世界の感染者数は903.8万人に達したが、6月19日には前日比で18万人増となり感染発生以降の最大記録を更新している。
米国は感染者235.6万人(前日比2万6067人増)、ブラジルは108.6万人(同1万6851人増)となった。ロシア(58.4万人)やインド(42.6万人)の増加も目立つが、ペルーが25.4万人で世界7位、チリが24.2万人で世界8位に、メキシコが17.5万人で14位となり南米の爆発傾向が続いている。
トルコの感染者数は6月21日時点で18万7685人で前日から1192人増、死者4950人で前日から23人増えた。5月30日から続いていた感染増加数千人以下は6月12日の1195人増から崩れて21日まで10日連続で千人超えとなっている。6月15日の1592人増からはやや減少傾向のため、再び抑制の効いた状況を維持しうると思われるが、経済活動再開と共に感染者も再び増加しているために第二波への懸念もあるところだ。

【4か月サイクルにおける下落期】

トルコリラ円は概ね4か月前後の底打ちサイクルで推移してきた。2018年8月の通貨危機以降、主要な安値は2019年1月3日、同年5月9日、同年8月26日、2020年1月6日でつけてきたが、そこから4か月目となる5月7日安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰に入った。しかし6月2日高値からの下落基調が続いており、このサイクルの前回のトップであった1月17日高値から4か月半を経過した6月2日高値でこのサイクルの反騰が一巡して下落期に入っている可能性がある。
6月12日安値割れを回避して16円台を回復するような反騰に入れば5月7日底からの上昇基調も継続してゆく可能性も出てくるかもしれないが、6月12日安値を割り込んで一段安入りする場合は4か月サイクルにおける下落期入りの印象が強まると思われる。その場合は次のサイクルボトム形成期となる8月末から9月序盤にかけて下落基調が続きやすくなると思われる。
パンデミックによる長期不況と感染拡大傾向の継続不安から世界連鎖株安となる場合は新興国通貨も売られやすく、またクロス円での円高も進行しやすくなると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月12日朝安値から12日夜高値へ戻した後は新たな高値更新へ進めずにいたために16日朝時点では12日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして17日朝から19日朝にかけての間への下落を想定した。
18日深夜へ安値を切り下げたが12日朝安値割れを回避してその後はやや戻していたため、19日午前時点では18日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは19日の日中から23日午前にかけての間への上昇余地ありとした。19日及び22日朝は横ばいが続いているので、引き続き18日深夜安値割れ回避の内は上昇余地ありとするが、18日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとして23日夜から25日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月18日深夜安値以降の横這い推移により遅行スパンは実線と交錯し、先行スパンを突破しきれない状況にある。6月19日夜高値15.62円超えからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、18日深夜安値割れからは一段安開始として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日夜に60ポイントへ迫ったがその後は50ポイントを割り込で方向感に欠ける。60ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月18日深夜安値15.53円を下値支持線、6月19日夜高値15.62円を上値抵抗線とする。
(2)15.53円を割り込まないうちは上昇余地ありとし、15.63円超えからは15.70円前後への上昇を想定する。15.70円以上は反落注意とするが、15.60円以上での推移なら23日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)15.53円割れからは一段安入りとして15.40円台への下落を想定する。15.45円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、15.53円を割り込んだ水準での推移なら週明けもさらに安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月22日
 16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 65.0)
 16:00 5月観光客数 前年比 (4月 -99.26%、予想 -85.0%)
6月24日
 16:00 6月景況感 (5月 76.9、予想 80.0)
 16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%、予想 65.0%)
6月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)
6月29日
 16:00 6月経済信頼感 (5月 61.7、予想 71.0)
6月30日
 16:00 5月貿易収支 (4月 −45.6億ドル、予想 -18.0億ドル)

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