約1ヵ月ぶり安値圏へ続落。来週はトルコ中銀会合がメインイベント
〇トルコ円軟調週後半にかけ約一か月ぶりの安値15.55まで下落
〇露土外相国防相会談の突然の延期、コロナ第二波への警戒、リビア、東地中海での仏との対立等が背景
〇EU首脳会談での新型コロナ復興基金物別れも重石に
〇トルコリラ円、テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さが警戒される
〇来週6/25のトルコ中銀金融政策決定会合では0.25%金利引き下げを予想、トルコ一段安に注意
〇来週の予想レンジ15.25ー15.75
今週のレビュー(6/15−6/19)
今週のトルコリラ円相場は、週初15.75円で寄り付いた後、早々に高値15.78円まで上昇しました。しかし、先週金曜日に記録した高値15.79円をバックに続伸が阻まれると、@週初(6/14)に予定されていたトルコとロシアの外相・国防相会談が突如延期となったことや、A新型コロナ第2波リスクへの警戒感(米中で発生しているパンデミック再燃リスクがトルコにも波及するとの警戒感→ロックダウン再開リスク)、B中印および朝鮮半島を巡る地政学的リスク、Cリビアや東地中海を巡るフランスとトルコの対立懸念、DEU首脳会談にて「新型コロナ復興基金」が物別れに終わったこと(トルコと経済的な結びつきの強い欧州圏の先行き不透明感→トルコリラ売り)等が重石となり、週後半にかけて、5/18以来、約1ヵ月ぶり安値となる15.55円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局15.59円での越週となっております。
来週の見通し(6/22−6/26)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる15.55円まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B実質金利のマイナス幅拡大(インフレが高止まりする中、トルコ中銀は直近9会合で計1575bpの利下げ幅)、C経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き不安、D中東を巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・フランス・NATO同盟国との関係悪化懸念、F米中対立激化の再燃リスク、G新型コロナ第2波懸念(トルコでロックダウンが再開されるとの警戒感)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクへの警戒感や、実質金利のマイナス幅拡大に伴う資本流出圧力の高まり、外貨準備急減を受けた介入余力への不信感が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週6/25に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合では、10会合連続となる追加利下げ(市場予想は25bpの利下げ。8.25%→8.00%)が見込まれており、更なるトルコリラ売りに繋がる可能性もあり注意が必要です。
来週の予想レンジ(TRYJPY):15.25ー15.75
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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