来週の為替相場見通し:『新型コロナ第2波リスクが市場のテーマ。リスクオフに要警戒』(6/20朝)

ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。

来週の為替相場見通し:『新型コロナ第2波リスクが市場のテーマ。リスクオフに要警戒』(6/20朝)

新型コロナ第2波リスクが市場のテーマ。リスクオフに要警戒

〇ドル円は今週軟調ながら週間値幅は僅か97銭、市場参加者が106円台半ばを意識
〇ユーロドルは週末にかけて1.12を割り込む動き
〇中印、朝鮮半島の地政学リスク高まり、パウエル議長のハト派発言も重し、米中関係には幾分改善の兆し
〇期待された欧州理事会での新型コロナ復興基金協議は物別れに終わる
〇ドル円もユーロドルも、テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスク警戒される
〇来週の予想レンジ:ドル円105.00ー108.00、ユーロドル1.1000−1.1300

今週のレビュー(6/15−6/19)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初107.33で寄り付いた後、@米FRBによる広範な米社債を買い入れる(セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ=SMCCF)との一部報道や、Aトランプ米大統領による総額1兆ドル規模の財政出動(インフラ投資)検討報道、B上記@Aを受けたリスク選好ムード(リスクオンの株高→クロス円上昇→ドル円連れ高)、C米5月小売売上高の力強い結果(結果17.4%、予想8.4%)が支援材料となり、翌6/16には、一時107.64まで上昇しました。
しかし、21日移動平均線に続伸を阻まれると、D新型コロナ第2波リスクへの警戒感(※米フロリダ州や米テキサス州、米アリゾナ州や米サウスカロライナ州に加えて、中国北京でも感染拡大の報告。米国の一部の州では店舗の閉鎖措置を発表。中国北京では警戒レベルを2級へ引き上げ)や、

E全米各地で活発化する人種差別抗議デモ、F中国国境付近でのインドと中国の衝突リスク(中印を巡る地政学的リスク)、G南北連絡事務所の爆破に端を発した朝鮮半島を巡る地政学的リスク、H米新規失業保険申請件数(結果150.8万件、予想130.0万件)の冴えない結果(米雇用回復期待の後退)、IパウエルFRB議長による「米景気回復の時期や強さには著しい不透明感がある」「景気が軌道に乗るまでゼロ金利政策を維持する」「利上げやバランスシート解消は当面検討することが無い」とのハト派的な発言が重石となり、週後半にかけては、一時106.67まで下げ幅を広げる場面も見られました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局106.83での越週となっております(週間値幅は僅か97銭)。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1245で寄り付いた後、@EU首脳会議(新型コロナ復興基金に進展が見られるか否か)への期待感や、A米FRBによる広範な米社債を買い入れる(セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ=SMCCF)との一部報道、Bトランプ米大統領による総額1兆ドル規模の財政出動(インフラ投資)検討報道、C上記ABを受けたリスク選好ムード(リスクオンのドル売り)、D全米各地で活発化する人種差別抗議デモ(ドル売り圧力)が支援材料となり、翌6/16に、一時1.1353まで上昇しました。

しかし、E新型コロナ第2波リスクへの警戒感や、F中国国境付近でのインドと中国の衝突リスク(中印を巡る地政学的リスク)、G南北連絡事務所の爆破に端を発した朝鮮半島を巡る地政学的リスク、H英ポンドの冴えない動き(MPC通過後に英ポンド急反落→ユーロドル連れ安)、I上記@で期待されていた新型コロナ復興基金が物別れに終わったこと=各国の主張に隔たり)等が重石となると、週末にかけて、6/3以来となる安値1.1168まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局1.1178での越週となっております。

来週の見通し(6/22−6/26)

<ドル円相場>
ドル円は、6/5に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、6/11には一時106.57まで急落しました(心理的節目110円トライ失敗に伴う失望売り)。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線を下抜けした他、バンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態)や一目均衡表三役好転も終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(今週は106.67まで下げ幅を広げるも、6/11安値106.57や、6/12安値106.58割れは達成できず=市場参加者が106円台半ばを意識している証左)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数が冴えなかったことで米雇用不安が再燃)、B米中対立激化懸念(今週は対話方針の継続が示されたことで米中関係に幾分改善の兆しが見られたものの、状況は尚流動的)、C朝鮮半島や中東、中印、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク(米国や中国での感染拡大の兆候)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、F全米各地で広がる人種差別抗議デモなど、ドル売り・円買いを想起させる材料が引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。世界的な外出規制の緩和や各国中銀による景気対策は既に織り込み済みであり、ここから先は、新型コロナ第2波リスク到来に伴うリスクオンの巻き戻し(リスクオフ)に引き続き注意が必要でしょう(※欧州首脳会議で新型コロナウイルス復興基金案が物別れに終わったことも財政出動期待の後退を通じてリスクオフ相場を誘発する恐れあり)。欧米株や米長期金利の動向や、新型コロナ第2波を巡るヘッドライン、米主要経済指標の結果(米住宅関連指標や、米耐久財受注、米GDP確定値、米PCEデフレータ等)、朝鮮半島を巡る地政学的リスクを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(直近安値106.57や、一目均衡表雲下限106.45を割り込み、強い売りシグナルを表す一目均衡表三役逆転が点灯する展開を想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):105.00ー108.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、6/10に記録した約3ヵ月ぶり高値1.1423をトップに反落に転じると、今週末(6/19)にかけて、1.1168まで急落しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、約2週間に亘り継続したバンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態=強い上昇トレンドを示唆)も終了するなど、テクニカル的にみて、やや「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、Aドイツ連邦憲法裁判所がECBの公的部門証券買い取りプログラムの一部が違憲であるとの見解を示していること、B英合意なき離脱リスクの再燃リスク(英国とEUの移行期間の延長判断が6月末に期限を迎える)、C米中対立激化懸念(リスク回避のドル買い・円買いの再燃リスク)、D朝鮮半島や中東、中印、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナの第2波リスク(米国や中国における感染再拡大の兆候)、F物別れに終わった新型コロナ復興基金(オランダ・オーストリア・デンマーク・スウェーデンが反対するなど各国の隔たりが浮き彫り)、など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。欧米株や米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスクを巡るヘッドライン(米国や中国で見られるパンデミック再燃報道が欧州全域に波及するリスク)、ユーロ圏の主要経済指標(ユーロ圏製造業・サービス業PMIなど)の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナ復興基金への期待感の後退がユーロドルの上値を抑制する展開)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1000−1.1300


注:ポイント要約は編集部

新型コロナ第2波リスクが市場のテーマ。リスクオフに要警戒

ドル円日足

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