ランド円レポート月曜版
〇先週のランドは対円対ドルともに予想以上に強含み
〇RBSAの金利引き下げも予想通りでランド下げ要因とならず
〇金利引き下げ直後にランド円は6.15の高値をつけ6円台を維持したまま越週
〇コロナウイルス以降の米中間の対立がランドの重しに
〇ランドも全人代終了後これまでの買いに調整が入る動きとなるか
〇今週は5.95レベルをサポート、6.20レベルをレジスタンスとみる
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが「引き続きレンジ相場を継続すると考え5.65レベルをサポートに、5.90レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が5.75レベル、高値が6.15レベルと、週初から上昇を続け大台の6円を回復、週末クローズも大台6円を維持したままと強い地合いの一週間となりました。
先週のランドは、週前半はリスクオンで円安の中、ドルランドではランド買いの動きとなったことからランド円は週初始値を安値にじり高のスタートとなりました。その後、対ドル、対円ともに4月30日のランド高値を上抜けたあたりから、政策金利発表を前に短期筋のストップオーダーによるランド買いもランド上昇を手伝うこととなりました。
21日の政策金利は予想通り0.5%の利下げが行われ3.75%となりましたが、予想通りの結果となったことによるイベント通過の安心感から一段のランド買いが広がり、直後に週間高値となる6.15をつけ、週末に向けては6円を割ることなく底堅さを感じさせる動きとなりました。
先週は、世界的にコロナウイルスによる規制緩和も広がるいっぽうで、新興国では感染者が急増する状態も見られましたが、主要国での規制緩和を好感する動きが広がっています。このことに関する個人的違和感はドル円の週報で書きましたので、そちらをご覧いただければと思いますが、一言で言えば悪い実体経済に反してコロナ後の期待が楽観的過ぎるということです。
また、先週は中国全人代で中国の治安を強化するために香港国家安全法案が示され、29日まで開催される全人代で決議される予定となっています。今週決まることは確実な情勢の中で、香港ではデモが行われトランプ大統領は強力な対応を取ると発言、世界的に注目を浴びています。コロナウイルス以降の米中間の対立が一層強まる可能性が高く、このことは南アフリカにとっては悪材料となります。
既に米国による中国包囲網は着実に進んでいますが、今後改めて制裁関税や禁輸拡大といった動きになってくると、最大の貿易相手国が中国となる南アフリカや豪州にとっては他の国以上にダメージが大きくなると予想されます。今のところは米中対立激化懸念の段階ではありますが、中国は一国二制度を今回の全人代で骨抜きにし、香港での自由を制限しようとしている様子が窺えます。
今週末までに結果はわかりますが、香港国家安全法案の可決と米国を中心に西側主要国と中国との対立激化はほぼ間違い無いところでしょうから、そうなるとランドもこれまでの買いに調整が入る動きが来週以降出てくるのではないかと予想されます。
テクニカルにも見てみましょう。いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
ピンクの水平線は4月30日高値でこれまでレジスタンスとなっていた水準です。先週この水平線を上抜けたことで現状のサポートはこの水平線が位置する5.92と考えて良いでしょう。いっぽうで上側は近いところには目立ったレジスタンスは無く、悪材料が無ければかなりの上昇(例:2019年12月高値と史上最安値の38.2%戻しが6.46等)を見込めるのですが、全人代での決議が控えているとなると、そこまで楽観的にはなれず、先週高値を若干上回る程度に収まると考えられます。
今週はイベント的にも先週の上げに対する調整が入りやすいと見て、5.95レベルをサポートに、6.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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