利下げ観測後退で豪ドル上昇、14年11月以来の102円台が間近
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、中東情勢が小康状態となっていることで過度な警戒感が和らいだなか、強いオーストラリア経済が確認できたことで利下げ観測は後退。豪ドルは上昇し2014年12月以来となる101円台まで上昇した。
イスラエルによるイランへの報復措置でやや不安定な動きも懸念されたが、中東情勢の警戒感が和らぐと豪ドルは反発。19日に見られた豪ドル急落の流れは払しょくされた。
24日に政府が発表した1−3月期の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比3.6%上昇と、市場予想の同3.5%上昇を上回る強い結果となった。CPIの結果を受けて、市場はオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)が年内に利下げを実施するのは難しいとの見方に傾き、円キャリー取引が広がった。
円は、豪ドルのほか、ドル、ユーロ、ポンドと主要通貨に対して全面的に売り優勢となったこともあり、豪ドルは2014年12月以来となる101円台に突入。101円台半ばまで豪ドル高円安が進行した。
豪ドル・円(東京時間:4月22日―4月26日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 99円25銭
高値: 101円73銭
安値: 99円08銭
終値: 101円56銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
4月24日
10時30分、3月消費者物価指数(前年比)、前回:3.4%、市場予想:3.4%、結果:3.5%
10時30分、第1四半期消費者物価指数(前期比)、前回:0.6%、市場予想:0.8%、結果:1.0%
10時30分、第1四半期消費者物価指数(前年比)、前回:4.1%、市場予想:3.5%、結果:3.6%
4月26日
10時30分、第1四半期生産者物価指数(前期比)、前回:0.9%、結果:0.9%
10時30分、第1四半期生産者物価指数(前年比)、前回:4.1%、結果:4.3%
4月30日
10時30分、3月小売売上高(前月比)、前回:0.3%、市場予想:0.2%
5月2日
10時30分、3月貿易収支、前回:72.80億豪ドル
10時30分、3月住宅建設許可件数(前月比)、前回:−1.9%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、引き続き豪ドル買い円安の展開が続くと想定する。26日に発表された第1四半期PPIは、前期比0.9%上昇と前期と同じ水準を維持したほか、前年比では上回る結果となったことで、根強いインフレ継続を見込む関係者は多いと想定する。
来週は、国内では、4月30日の小売売上高、5月2日の3月貿易収支が発表されるが、4月30日に発表される中国の4月製造業PMI、サービス業PMI、財新製造業PMI辺りとなろう。足元の豪ドル高の背景には、中国経済の底入れ期待を織り込んだ動きもあることから、中国経済の回復基調が確認できた際は、2014年11月以来となる102円台到達も視野にはいろう。
テクニカルはしっかりだ。短期的には、50日移動平均線、100日移動平均線が引き続きサポートラインとして機能している。月足チャートでは、20年3月の59.87円を起点とした下値支持線が機能しており、長期的なトレンドも強いままだ。3月21日や4月4日の長い上ヒゲ(上影)を吸収したことで、豪ドルは対円で上へのバイアスを強めやすいと考える。
一方、26日12時22分頃に伝わった日銀金融政策決定会合の結果は、「現状の金融政策を維持」し「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で、24年度CPIを+2.4%から+2.8%に、25年度CPIを+1.8%から+1.9%に引き上げ、26年度CPIを+1.9%に設定。ほぼ市場の想定通りの内容だったことで、投機筋による円売りが加速し、ドルは156円台に乗せている。豪ドルも円安傾向を強めていることから、想定よりも早いタイミングで102円台に乗せ、豪ドル高円安が強まる可能性もあろう。
円全面安の状況となれば、日本当局による円買い介入に伴う乱高下等には気を付けたいところだ。水準だけで見れば、円買い介入がいつ入ってもおかしくない状況ではあるため、「過度な急変動」を伴わない緩やかな円安基調に対する異例の介入実施の可能性は意識しておきたい。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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