7日RBA理事会に注目だが、日本当局の介入観測に翻弄される地合いか
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、投機筋の円売りポジション積み上げに伴う円安と、日本当局の円買い介入と見られる急速な円高に翻弄される展開となった。
日本が祝日だった4月29日に、ドルは160円20銭まで円安ドル高が加速したことで、豪ドルも円安の流れが加速し、104円91銭と2013年4月以来の水準まで上昇したが、午後、日本当局の円買い介入と思われる急速な円高ドル安進行を受けて、豪ドルも下落した。
4月30日に、オーストラリア統計局が発表した3月の小売売上高は前月比0.4%減の356.6億豪ドルと、市場予想(同0.1%増)に反してマイナスとなったことも、豪ドル売りを誘った。
その後も、5月2日未明に、日本当局の円買い介入第二弾と思われる円買いが入ったことで100円割れ寸前まで豪ドルは急落した。売り一巡後は101円台前後での推移となったが、週間値幅は4円88銭とボラタイルな展開となった。
豪ドル・円(東京時間:4月29日―5月3日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 103円46銭
高値: 104円91銭
安値: 100円03銭
終値: 100円75銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
4月30日
10時30分、3月小売売上高(前月比)、前回:0.2%、市場予想:0.1%、結果:−0.4%
5月2日
10時30分、3月貿易収支、前回:65.91億豪ドル、結果:50.24億豪ドル
10時30分、3月住宅建設許可件数(前月比)、前回:−0.9%、結果:1.9%
5月7日
10時30分、第1四半期小売売上高、前回:0.3%、市場予想:−0.3%
13時30分、豪中銀政策金利、前回:4.35%、市場予想:4.35%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、7日に開催されるオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)の理事会への関心が高まる一方、日本当局の介入観測を横目に見た展開となろう。
RBA理事会でのコンセンサスは、政策金利4.35%の据え置きが見込まれているが、「利上げ」に関する議論は行われるとの見方が強い。先週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)ではパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、比較的「ハト派」よりの発言を行ったことから、RBA声明が利上げの可能性に言及する「タカ派」な内容となれば、豪ドルは対主要通貨で強含む展開となろう。
3月小売売上高は市場予想を下回る結果となり、市場では9月までの利上げ確率は発表前の45%から26%に足元低下した。ただ、4月24日に発表された第1四半期消費者物価指数や同生産者物価指数の市場予想上振れなどを考慮すると、今回を含めRBA理事会にて「利上げ」の議論は活発化すると想定する。
一方、日本当局と思われる介入は、4月29日と5月2日の2回合計で8兆円ほど行われたと市場では推計されている。2022年9月と10月の合計3回の金額は9.1兆円だったことから、22年時の介入に次ぐ大規模な円買い介入となったようだ。
当然ながら日本当局による円買い介入は無尽蔵に実施できるものではなく、限界は存在する。まず、政府が保有している外貨準備は3月末時点で1兆2900億ドル(1ドル155円計算で、約200兆円)ある。このうち、すぐに動かせる外貨預金が1550億ドルのほか、売却可能な証券が2000億ドルほど存在するので、合計3550億ドル(約55兆円)が「実弾」として使用可能と考えられる。
そして、米国が「為替操作国」と認定する水準として、「GDPの2%以上」という数字が存在することも意識しておきたい。この水準に当てはめると、日本の2023年名目GDPが591兆円なので計算上、11.8兆円が上限となる。仮にこの11.8兆円を上限と考えると、既に8兆円使ったことから残りの「実弾」は3.8兆円ほどとなる。
4月29日は日本が祝日で市場参加者は普段よりも少なかったはずだし、5月2日5時頃も、ニューヨークからオセアニアに主戦場が替わるタイミングだったことで参加者は少なかったと思われる。こうしたタイミングを狙った介入を今後も実施した場合でも、「あと1回」しか介入はできないだろう。
どういったタイミングで介入を実施するのかは日本当局次第だが、仮に「実弾」が尽きた場合、投機筋が円売りポジションを一気に積み増す可能性は頭に入れておきたい。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
オーストラリアドル(AUD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.05.10
豪ドルWeekly タカ派ではなかったが反発継続、日本当局の円買い警戒も104円台を意識へ(24/5/10)
今週の豪ドルは、オーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)声明などが想定よりもタカ派ではなかったことで一時売られる場面は見られたが、反発の地合いは継続した。
-
オーストラリアドル(AUD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.04.26
豪ドルWeekly 利下げ観測後退で豪ドル上昇、14年11月以来の102円台が間近(24/4/26)
豪ドルは上昇し2014年12月以来となる101円台まで上昇した。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。