タカ派ではなかったが反発継続、日本当局の円買い警戒も104円台を意識へ
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、オーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)声明などが想定よりもタカ派ではなかったことで一時売られる場面は見られたが、反発の地合いは継続した。
RBAは7日の政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を4.35%に据え置くと決定した。RBAは声明において「インフレ率が持続的に目標レンジに収まるにはまだ時間がかかると政策委員会は考えており、上振れリスクを引き続き警戒する」と説明。
ブロック総裁は、政策決定発表後、「インフレ期待が安定を失うとはみていない」「金融の状況は十分に景気抑制的と判断」「利上げ必要ないことを望むが、必要なら利上げに動く」「利上げの選択肢も政策委員は話し合った」「物価に対する勝利宣言はやや時期尚早と感じた」などと発言。
声明内容や総裁発言が予想されたほどタカ派ではないと受け止められ、年内利上げ観測がやや後退した。ただ、豪ドルは7日こそ反落となったが、売り一巡後はじりじりとした上昇が継続し、102円台を回復。日本当局による介入観測を警戒するムードは残っているが、「介入効果は一時的」との見方は強く円安豪ドル高の地合いとなった。
豪ドル・円(東京時間:5月6日―5月10日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 101円39銭
高値: 102円99銭
安値: 100円97銭
終値: 102円84銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
5月7日
10時30分、第1四半期小売売上高、前回:0.3%、市場予想:−0.3%、結果:−0.4%
13時30分、豪中銀政策金利、前回:4.35%、市場予想:4.35%、結果:4.35%
5月15日
10時30分、第1四半期賃金指数(前期比)、前回:0.9%、市場予想:1.0%
10時30分、第1四半期賃金指数(前年比)、前回:4.2%、市場予想:4.4%
5月16日
10時30分、4月雇用者数、前回:−0.66万人、市場予想:2.5万人
10時30分、4月失業率、前回:3.8%、市場予想:3.9%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、米ドル同様、日本当局と見られる円買い介入後の戻りを試す展開が続くと想定する。
RBA声明及びブロックRBA総裁の発言は、予想よりもタカ派ではなかったが、ユーロ、ドルなど主要通貨が利下げのタイミングを探るなか、相対的に豪ドルはまだ利上げ余地を残している。今回も利上げ観測は後退したが、早期の利下げ実施が高まる機運ではないため、豪ドルは主要通貨に対して強含むと考える。
来週は豪雇用統計を控えていることから、強い雇用情勢が確認された際は、再度利上げ観測は強まるだろう。
テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限を上放れた状況下、一時下回っていた転換線を上回った。4月29日に残した長い上影(上ヒゲ)が目先の上値を抑える要因となりそうだが、短期的なトレンドは強いままだ。月足でも20年3月安値59円87銭をボトムとした上昇のなか、14年高値102円89銭を上回ったことで、上を意識した地合いがより強まると想定。
日本当局による円買いドル売り介入への警戒感は残ったままではあるが、豪ドルの強いトレンドは継続と考える。4月29日の104円91銭は、投機筋の円売りポジションが急激に積み上がったタイミングだったことから、目先のターゲットはその手前の104円台と見る。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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