トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ連騰と円安で6月4日以降の高値更新
〇トルコリラ円、リラ高に加えドル円の一段高により7/1高値4.95をつける、6/28から2連騰
〇対ドル、7/1は概ね32.80から32.43の取引レンジ、リラ買い戻しの流れを継続して高値を伸ばす
〇終値は6/27から3営業日連続の上昇、目先はリラ売り一服で戻り高値を試しやすい状況か
〇昨日発表のイスタンブール6月製造業PMI、4か月連続で悪化
〇4.92を上回るうちは、4.96超えから4.97前後を試す上昇を想定する
〇4.92割れからは、4.91、4.90を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月1日は概ね4.95円から4.89円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.94円で先週末終値4.90円からは0.04円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラが6月27日から7月1日にかけて終値ベースで3営業日連騰したことによるリラ高に加え、ドル円が7月2日未明に161.72円へ一段高したことによる円安の押し上げでトルコリラ円は6月28日から2連騰として6月4日安値4.73円以降の高値を更新した。
ドル円は161円台後半へ続伸しているが、先週のトランプ・バイデンTV討論でバイデン氏が酷評されてトランプ前大統領再選の可能性が高まる中、米連邦裁判所が刑事訴追の免責特権を主張したトランプ氏の訴訟について免責を認めて下級審に差し戻したことでトランプ政権誕生なら財政支出拡大とインフレ再燃が懸念されるとして米長期債利回りが上昇したことで押し上げられたが、7月1日に内閣府が昨年7‐9月期以降のGDP成長率を大幅に下方修正したことによる円売りも円の独歩安を助長している。
4月29日の市場介入時水準を超えても介入がみられず、神田財務官が退任するとの報道もあるが、今週末の米雇用統計まで重要指標発表が続くために介入しづらい状況が続き、162円台等を順次試して行く可能性があるため、クロス円全般と共にトルコリラ円への円安による押し上げが続くのではないかと思われる。
【ドルトルコリラは終値ベースで3連騰】
ドル/トルコリラの7月1日は概ね32.80リラから32.43リラの取引レンジ、2日早朝の終値は32.63リラで先週末終値の32.65リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
6月28日に一時33.04リラを付けて4月12日安値33.03リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新したものの29日早朝への反発で前日比0.15リラのドル安リラ高としていたが、週明けもリラ買い戻しの流れを継続して32.43リラまで高値を伸ばし、日足終値ベースでは6月27日から3営業日連続の上昇、6月26日からは4営業日連続の日足陽線とした。4月12日安値を超えて最安値更新したばかりであること、3連騰したものの依然として32リラ台中盤に留まっているためにリラ売り再開のきっかけをつかむようだといつ史上最安値更新へ進んでも不思議ないところだが、目先はリラ売り一服で戻り高値を試しやすい状況と思われる。
トルコリラにとっては5月末の統一地方選挙での与党大敗後も金融政策正常化を継続していること、外貨準備高増強傾向を維持していること、トルコ中銀がインフレ抑制のために50%の政策金利維持を続けていること、年後半へインフレが鈍化してゆくとの見方、金融活動作業部会(FATF=マネーロンダリングやテロ資金対策を監視する国際組織)が6月28日にトルコを「グレーリスト(監視強化対象国・地域)」から除外したことなどがプラス要因と思われるが、トルコの実体経済は高インフレと高金利及び緊縮財政の影響でかつての高成長を回復するには至らず、BRICs加盟希望の表明や中東情勢の悪化、年末に1ドル38リラ前後へリラ安が進むとの市場コンセンサスが重石となっている。
7月1日に発表されたイスタンブール6月製造業PMIは47.9となり5月の48.4から悪化したが、今年2月の50.2をピークとして4か月連続で悪化している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月25日夜へ下落してから反騰したために26日午前時点では25日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクルとして27日午前から7月1日午前にかけての間への上昇を想定したが、7月2日早朝へ続伸したため、6月28日夕安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして7月3日午前から5日午前にかけての間への上昇を想定する。
目先の下値支持線は4.92円までとして4.92円割れからは弱気転換注意として4.90円を試す下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月2日早朝への続伸により遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いた状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて先行スパンを試す下落を想定するが、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが悪化してもその後に好転するところから上昇を再開する可能性があるとみる。
60分足の相対力指数は6月27日夕刻に30ポイント台へ低下したところから徐々に指数のピークを切り上げているのでまだ上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期に入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.92円を下値支持線、4.96円を上値抵抗線とする。
(2)4.92円を上回るうちは4.96円超えから4.97円前後を試す上昇を想定する。4.97円以上は反落注意とするが、4.93円を上回っての推移なら3日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.92円割れからは4.91円、4.90円を順次試す下落を想定する。4.91円以下は買われやすいとみるが、4.92円以下での推移が続き始める場合は下落継続として3日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月3日
16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 3.37%、予想 2.22%)
16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 75.45%、予想 72.60%)
16:00 6月 コアCPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 3.8%)
16:00 6月 コアCPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 75.0%)
16:00 6月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (5月 1.96%)
16:00 6月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (5月 57.68%)
7月4日
20:30 週次 外貨準備高 6月28日時点 (6月21日時点 885.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 6月28日時点 (6月21日時点 448.5億ドル)
7月5日
23:30 6月 財務省現金残 (5月 2347.43億リラ)
7月10日
16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -4.9%)
16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -0.7%)
16:00 5月 失業率 (4月 8.5%)
注:ポイント要約は編集部
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