4月戻り高値を一時捉える動き、CPIとPPIと財務大臣のXに注目
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、トルコ中央銀行(トルコ中銀)のタカ派姿勢が確認できたことなどから、4月戻り高値を突破する場面が見られた。
6月27日、トルコ中銀は、金融政策委員会(MPC)にて政策金利である1週間レポ金利を50%に据え置くことを決定した。据え置きは4月から続けているが、5月に75%超でピークを付けたインフレのリスクに警戒を解かない姿勢を打ち出しており、引き続きタカ派的な方向性を示唆した。
MPCは声明文で、「月次インフレの基調的なトレンドが有意かつ持続的に低下するまで、金融政策の引き締めを継続する」と強調した。また、「信用および預金市場で予想外の展開があった場合、金融政策の伝達メカニズムは追加的なマクロプルーデンス措置を通じサポートされる」ともコメントし、タカ派を貫きつつも想定外の状況にも準備しているスタンスを表明した。
トルコリラは、トルコ中銀のタカ派姿勢が確認できたことや、金融活動作業部会(FATF)が資金洗浄とテロリストの資金調達に対するトルコ当局の取り締まり体制改善を評価し、「グレーリスト対象国ではない」と発表したこともポジティブ視されて上昇。一時、4月29日高値4.9256円を更新する場面も見られた。
トルコリラ・円(東京時間:6月24日―6月28日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.8671円
高値:4.9358円
安値:4.8211円
終値:4.9036円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
6月24日
16時00分、6月設備稼働率、前回:76.3%、結果:76.3%
6月27日
20時00分、トルコ中銀政策金利、前回:50.00%、市場予想:50.00%、結果:50.00%
6月28日
16時00分、5月貿易収支、前回:−98.6億ドル、市場予想:−62.0億ドル、結果:−65.0億ドル
7月1日
16時00分、6月製造業PMI、前回:48.4
7月3日
16時00分、6月消費者物価指数(前月比)、前回:3.37%、市場予想:2.20%
16時00分、6月消費者物価指数(前年比)、前回:75.45%、市場予想:72.60%
16時00分、6月消費者物価指数(コア・前年比)、前回:74.98%、市場予想:73.13%
16時00分、6月生産者物価指数(前月比)、前回:1.96%
16時00分、6月生産者物価指数(前年比)、前回:57.68%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、4月戻り高値を一時上回ったことで上を意識しやすい地合いのなか、6月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)に関心が高まると想定する。
トルコの4月CPIは前年比69.8%、5月は同75.45%と伸び率は加速し、市場予想も上回った。6月CPIは同72.6%と前月比鈍化を見込んでいるが、足元振れの大きさも見られることで、前回よりも鈍化しても市場予想を上回った際は、インフレ再加速の機運が高まろう。
同日に発表される6月PPIの市場予想は観測されていないが、2月は前年比47.29%、3月は同51.47%、4月は同55.66%、5月は同57.68%とCPI同様に前月比で伸び率は加速している。川下であるCPIより先に動く傾向が強い川上のPPIが50%台まで低下している一方、CPI同様、前月比で伸び率が加速していることは注意したい状況と言えよう。
CPIが市場予想を上回り、PPIも前月比で伸び率が加速した場合、トルコ中銀や政府当局の想定よりも高いインフレが続く可能性がある。追加利上げ観測の高まりはトルコリラの買い要因ではあるが、高い政策金利はトルコ経済の足かせとなる。シムシェキ財務大臣は、5月CPI発表後、Xにて「最悪期は脱し、我々はディスインフレ期に入る」と発言したが、今回も発表後の発言には注目が集まろう。
テクニカル面は、日足の一目均衡表の雲上限や50日移動平均線をサポートラインにしっかりとした推移が確認できる。4.9円水準での上値の重さは引き続き意識されているが、3月13日の史上最安値4.5227円から下値をじりじりと切り上げており下値不安は乏しい。4月29日の長い上影(上ヒゲ)を吸収したことから、5.0円台を意識した地合いを想定したい。
トルコリラ円日足
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