トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ反発と円安継続で4.90円を超えて一段高(24/7/1)

トルコリラ円の6月28日は概ね4.93円から4.87円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.90円で前日終値の4.89円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ反発と円安継続で4.90円を超えて一段高(24/7/1)

対ドルでのリラ反発と円安継続で4.90円を超えて一段高

〇トルコリラ円、6/28深夜から円安とリラ高の両面から押し上げられ、4.93へ高値伸ばす
〇4.87から4.90前後の上値抵抗を突破、先高感が優勢となり始めた印象
〇対ドル、6/28は概ね33.04から32.54の取引レンジ、取引時間中最安値更新しリラ安再開感強まる
〇7/3にトルコ6月CPI発表、市場は前月比が5月3.37%から2.22%へ鈍化予想
〇ロイターによるエコノミスト予想、2024年末までにインフレ率42.6%へ鈍化の見込み
〇4.89上回るうちは4.93超えから4.95前後を試す上昇を想定、4.95以上は反落注意
〇4.89割れを弱気転換注意とし、4.88割れからは下落期入りとみて4.86、4.85順次試す下落想定

【概況】

トルコリラ円の6月28日は概ね4.93円から4.87円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.90円で前日終値の4.89円から0.01円の円安リラ高だった。週間では6月21日終値4.87円から0.03円の円安リラ高、月間では5月31日終値4.88円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル円は6月28日午前に161.28円へ一段高してから28日夜安値160.24円へいったん下げたものの深夜に160.0円台後半へ切り返してその後も確りし、ドル/トルコリラは午後に一時取引時間中の史上最安値を更新したもののその後の反発により終値ベースで3営業日連続のドル安リラ高としたため、トルコリラ円は28日午前に4.90円を付けてから夕刻安値4.87円までいったん下げたところを買われて一段高へ進み、28日深夜からは円安とリラ高の両面から押し上げられて4.93円へ高値を伸ばした。
5月27日朝の一時的急伸で付けた高値4.95円を除けば4.87円から4.90円前後までを上値抵抗としてきたが、29日早朝にかけての連続的な上昇でこれら抵抗を突破してきたことで先高感が優勢となり始めた印象だ。

【ドルトルコリラは取引時間中最安値更新後に戻すもリラ安再開感強まる】

ドル/トルコリラの6月28日は概ね33.04リラから32.54リラの取引レンジ、29日早朝の終値は32.65リラで前日終値の32.80リラからは0.15リラのドル安リラ高だった。
6月19日から6月25日にかけて5日連続のドル高リラ安となり6月20日終値から25日終値32.92リラまで4営業日連続で終値ベースの史上最安値を更新し、6月25日は33.03リラへ取引時間中の最安値を更新した。26日と27日はリラの買い戻し優勢となり、28日は一時33.04リラへ取引時間中の最安値を更新したものの29日早朝にかけて再びリラ買いが優勢となったために終値ベースでは3営業日連続でドル安リラ高となった。
週間では6月21日終値32.83リラから0.18リラのドル安リラ高だったが、月間では5月31日終値32.23リラから0.42リラのドル高リラ安だった。

4月12日から5月後半にかけてはドル安リラ高の流れが続いて歴史的なリラ安に歯止めがかかった可能性も指摘されたが、史上最安値を更新したことでリラの先安感が再認識される展開となっている。先週末まで3日連続でリラが反発したものの32リラ台後半に留まっており、今週のトルコCPI等をきっかけとして最安値更新へ進む場合は33リラ台中盤へ向かう可能性も懸念される。
6月28日に発表されたトルコの5月貿易収支確報で貿易赤字は65億ドルとなり4月の99億ドルから減少したが2018年11月以降は赤字継続であり、構造的な赤字体質の改善傾向はまだ弱い印象だ。
金融活動作業部会(FATF=マネーロンダリングやテロ資金対策を監視する国際組織)が6月28日にトルコを「グレーリスト(監視強化対象国・地域)」から除外したことは海外からのトルコ投資意欲を助長するものとして歓迎される。

【7月3日のトルコCPI、高インフレの峠を越せるか注目】

7月3日にトルコの6月CPI(消費者物価指数)の発表がある。市場の事前予想では前月比が5月の3.37%から2.22%へ鈍化(予想レンジは1.75%〜3.29%)、前年同月比は5月の75.45%から72.60%へ鈍化(予想レンジは71.78%〜74.40%)と見込まれている。
トルコのシムシェキ財務相は5月CPI発表時に「最悪期は脱した」「我々はディスインフレ期に入る」と述べており、6月が顕著に鈍化するのか注目される。ロイター社調査によるエコノミストらの予想では2024年末までに42.6%へ鈍化すると見込まれており、直近のトルコ中銀ビジネスサーベイでも2024年末のインフレ率は45.52%、12か月先で31.79%へ鈍化するとの予想が示されている。ただしインフレが鈍化しても2024年末の為替レートは1ドル37.7463リラとされておりまだリラ安は暫く続くとの見方がコンセンサスとなっているようだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月25日夜へ下落してから反騰したために26日午前時点では25日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクルとして27日午前から7月1日午前にかけての間への上昇を想定した。
6月27日早朝から28日夜にかけては4.90円が抵抗となっていたものの29日早朝へ一段高しているのでまだ上昇余地ありとし、6月26日夕安値を直近のサイクルボトムとしてすでに新たな強気サイクル入りしている可能性も検討するが、4.89円割れを弱気転換注意とし、4.88円割れからは弱気サイクル入りとして1日の日中から7月2日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月29日早朝への一段高で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いた状況も維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月27日未明高値から29日早朝高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行気配がみられるため、60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇再開とするが、50ポイント割れから続落する場合はいったん下落期に入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.89円を下値支持線、4.93円を上値抵抗線とする。
(2)4.89円を上回るうちは4.93円超えから4.95円前後を試す上昇を想定する。4.95円以上は反落注意とするが、4.90円を上回っての推移なら2日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.89円割れを弱気転換注意とし、4.88円割れからは下落期入りとみて4.86円、4.85円を順次試す下落を想定する。4.86円以下は反騰注意とするが、4.89円を下回っての推移なら2日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月1日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 48.4)
7月3日
 16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 3.37%、予想 2.22%、予想レンジ 1.75〜3.29%)
 16:00 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 75.45%、予想 72.60%、予想レンジ 71.78〜74.40%)
 16:00 6月 コアCPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 3.8%)
 16:00 6月 コアCPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 75.0%)
 16:00 6月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (5月 1.96%)
 16:00 6月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (5月 57.68%)

7月4日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 6月28日時点 (6月21日時点 885.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 6月28日時点 (6月21日時点 448.5億ドル)
7月5日
 23:30 6月 財務省現金残 (5月 2347.43億リラ)
7月10日
 16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -4.9%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -0.7%)
 16:00 5月 失業率 (4月 8.5%)



注:ポイント要約は編集部

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