『海外投資家による資金流入期待を支えに約2カ月ぶり高値圏へと急上昇』
〇今週のトルコ円、週末にかけ一時高値4.91まで上昇、堅調のまま越週
〇ドル円急上昇、株価堅調、金融活動作業部会のトルコのグレーリストからの除外決定等が背景
〇今週のトルコ中銀会合では予想通り政策金利の据え置き決定、インフレ警戒感を示す
〇テクニカルには日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上にシフト、三役好転点灯、地合い好転
〇ファンダメンタルズも外国人投資家の資金流入期待、トルコ中銀の外貨準備急回復等がサポート
〇引き続き、リラ買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.05
今週のレビュー(6/24−6/28)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.86円で寄り付いた後、(1)トルコ6月景気動向指数(結果100.5、前回102.4)の冴えない結果や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米当局者による相次ぐタカ派発言→米金利上昇に伴うドル買い圧力→トルコからの米国への資金流出圧力→対ドル相場の史上最安値更新→トルコリラ円連れ安)が重石となり、翌6/25にかけて、週間安値4.82円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)ドル円相場の急上昇(ドル円相場が約38年ぶり高値圏へと急上昇→トルコリラ円連れ高)や、(4)海外投資家による資金流入期待(トルコのプレゼンス改善→海外投資家によるトルコアセットへの投資拡大期待)、(5)金融活動作業部会(FATF)によるトルコの「グレーリスト(監視強化対象国・地域)」からの除外決定、(6)トルコ株の堅調推移が支えとなり、週末にかけて、週間高値4.91円まで上昇しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/29午前3時00分現在)では、4.90円前後で推移しております。尚、今週開催されたトルコ中銀会合では予想通り政策金利の据え置き(50.0%→50.0%)が決定されると共に、インフレリスクに細心の注意を払う姿勢(声明文の中に「委員会は引き続きインフレリスクに非常に注意を払っている」「金融引き締めスタンスは月次インフレ基調の大幅かつ持続的な低下が観測され、インフレ期待が予測範囲に収束するまで維持される」「インフレの大幅かつ持続的な悪化が予想される場合、金融政策スタンスは引き締められるだろう」との記載あり)が示されましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(7/1−7/5)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は週後半にかけて力強く推移しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)の上側へシフトしたことや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が点灯したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの好転(レンジ相場からの上放れ)が期待されます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの継続期待や、(2)トルコ中銀による追加利上げ観測(トルコ中銀は今週、政策金利を据え置く一方、声明文でインフレリスクに細心の注意を払う姿勢を強調→インフレ退治の追加利上げ期待再燃)、(3)外国人投資家によるプレゼンス向上とそれに伴う資金流入期待(6/21に実施されたシムシェキ財務相による投資家向け会合で投資家からの評価が高かったとの報道あり。加えて今週はFATFによるトルコの「グレーリスト」からの除外も決定。トルコのユルマズ副大統領は「この進展により、トルコの金融システムに対する国際投資家の信頼はさらに強化された」とXへ投稿)、(4)トルコ中銀の外貨準備・急回復(リラ買い介入余力の回復)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、リラ買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想いたします(4/29に記録した直近高値4.92円や心理的節目5.00円を早期に突破するシナリオを想定)。尚、来週は7/1のトルコ6月製造業PMIや、7/3のトルコ6月消費者物価指数、トルコ6月生産者物価指数に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.05
注:ポイント要約は編集部
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