来週の為替相場見通し:『ドル円は約38年ぶり高値を更新。ドル高・円安トレンドの継続を想定』(6/29朝)

ドル円はついに心理的節目160.00を突破し、週末にかけて約38年ぶり高値となる161.28まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『ドル円は約38年ぶり高値を更新。ドル高・円安トレンドの継続を想定』(6/29朝)

『ドル円は約38年ぶり高値を更新。ドル高・円安トレンドの継続を想定』

〇今週のドル円、週初158.82まで下落後、週末にかけ38年ぶり高値161.28まで急伸、160円台後半で越週
〇FRB関係者のタカ派発言、心理的節目160円の突破、米指標の好調からの米長期金利上昇等が背景
〇ユーロドル、ECB関係者のタカ派発言と欧州債利回り上昇に週末1.07台を回復
〇ドル円、主要テクニカルポイントの遥か上で推移、全テナーで買いシグナルも点灯、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測後退、介入警戒感の後退がドル円をサポート
〇来週は米6月ISM製造業景況指数や、米6月ISM非製造業景況指数、米6月雇用統計等に注目
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):159.00ー163.00、(EURUSD):1.0550−1.0825

今週のレビュー(6/24−6/28)

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初159.84で寄り付いた後、(1)神田財務官による「為替相場について過度な変動あれば適切に行動する」「為替介入は24時間いつでも準備」との円安牽制発言や、(2)鈴木財務相による「為替の過度な変動は望ましくない。適切に対応」との円安牽制発言、(3)短期筋の大規模ロスカットが重石となり、週明け早々に、週間安値158.82まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)日米金利差に着目した円キャリートレードの再開や、(4)ボウマンFRB理事による「必要であれば利上げの用意がある」「米国のインフレ率はしばらくの間高止まりする」とのタカ派的な発言、(5)米5月シカゴ連銀全米活動指数(結果+0.18、予想▲0.25)の市場予想を上回る結果、

(6)米4月S&Pケースシラー住宅価格指数(結果+7.20%、予想+7.00%)の市場予想を上回る結果、(7)米6月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数(結果100.4、予想100.0)の市場予想を上回る結果、(8)心理的節目160.00にセットされていたリバースノックアウトオプションのトリガーヒット(オプション勢による防戦売りで積み上がったデルタショートの買い戻し)、(9)4/29に記録した直近高値160.24突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(10)米6月シカゴ購買部協会景気指数(結果47.4、予想40.0)の市場予想を上回る結果、(11)米6月ミシガン大学消費者信頼感指数(結果68.2、予想66.0)の市場予想を上回る結果、(12)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、週末にかけて、週間高値161.28(1986年12月以来、約38年ぶり高値圏)まで急伸しました。

引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/29午前4時00分現在)では、160.80前後で推移しております。尚、注目された米5月PCEデフレーター(結果+2.6%、予想+2.6%)および、米5月PCEコアデフレーター(結果+2.6%、予想+2.6%)はいずれも、市場予想通りの結果となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0688で寄り付いた後、早々に週明け高値1.0747まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)ドイツ6月Ifo現況指数(結果88.3、予想88.5)の市場予想を下回る結果や、(2)ドイツ6月Ifo期待指数(結果89.0、予想90.7)の市場予想を下回る結果、(3)ドイツ6月Ifo景気動向指数(結果88.6、予想89.6)の市場予想を下回る結果、(4)フランス総選挙を巡る不透明感(フランスの調査会社IFOPによる世論調査についても、ルペン氏率いる極右・国民連合が36%、左派・人民戦線が29%、マクロン大統領率いる与党連合が25%に留まる結果)、

(5)ボウマンFRB理事によるタカ派的な発言、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(7)ドイツ7月GFK消費者信頼感指数(結果▲21.8、予想▲19.5)の市場予想を下回る結果、(8)フィンランド中銀レーン総裁による「ECBの利下げが年内あと2回との市場の期待は妥当」とのハト派的な発言、(9)イタリア中銀パネッタ総裁による「ECBは見通しが維持されれば徐々に金利を引き下げる可能性がある」とのハト派的な発言、(10)ラトビア中銀カザークス総裁による「一歩ずつ利下げを進めていく」とのハト派的な発言が重石となり、週央にかけて、週間安値1.0666(5/1以来の安値圏)まで下落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(11)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力や、(12)スロバキア中銀カジミール総裁による「年内あと1回の利下げを予想している」との慎重な発言、(13)月末ロンドンフィキシングに絡むユーロ買い圧力が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間6/29午前4時00分現在)では、1.0715付近まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(7/1−7/5)

<ドル円相場>
ドル円はついに心理的節目160.00を突破し、週末にかけて約38年ぶり高値となる161.28まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)の遥か上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、日足のみならず下位足(4時間足)から上位足(週足)に至る全てのテナーで買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(年内利下げ見送り観測が再浮上→米長期金利に上昇圧力)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差は当面縮まらないとの見方が市場コンセンサス→円キャリートレードに安心感)、(4)政府・日銀による介入警戒感の後退(イエレン米財務長官による複数回にわたる牽制発言や、米財務省による日本の「監視リスト」追加の影響で、政府・日銀は為替介入に一段と踏み切りづらくなったとの見方が主流)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で、米6月ISM製造業景況指数や、米6月ISM非製造業景況指数、米6月雇用統計に注目が集まります。市場予想を上回る結果となれば、米FRBによる年内利下げ見送り観測→米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円に強い上昇圧力が加わりそうです。また、上記2を見極める目的では、7/1に予定されている日銀短観に注目が集まります。円安に伴う悪影響(円安進行で輸入インフレ拡大→個人消費悪化→企業がサービス価格へ転嫁できず)が確認されれば、日銀による追加利上げ観測後退→円金利低下→円売りを通じて、こちらもドル円を押し上げる要因となりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):159.00ー163.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は6/4に記録した約2ヵ月半ぶり高値1.0917をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて一時1.0666まで下落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲下限、ボリンジャーミッドバンド)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感(先週発表されたドイツ6月ZEW、ユーロ圏6月消費者信頼感、ユーロ圏6月PMIに続いて、今週発表されたドイツ6月Ifo指数も軒並み悪化)や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測(年内利下げ見送り観測の再浮上→米金利に上昇圧力)、(3)ECBによる年内複数回の追加利下げ観測、(4)上記2、3を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力)、(5)フランス政治の先行き不透明感(マクロン大統領の支持率が急低下する中、マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党「国民連合」との差が一段と拡大)、(6)欧州域内の財政悪化リスク(欧州委員会は6/19に、フランス、イタリア、ベルギー、スロバキア、マルタ、ポーランド、ハンガリーの7カ国に対して過剰財政赤字手続きの開始を勧告)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は4/16に記録した直近安値1.0601を試すシナリオを想定)。尚、来週は6/30に予定されているフランスの第1回下院選挙に加えて、ユーロ圏6月HICPや、欧州当局者発言(ECBフォーラム、ラガルドECB総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁、デギンドスECB副総裁、シュナーベルECB専務理事、レーンECB専務理事、オランダ中銀クノット総裁)など、重要イベントが複数予定されております。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0550−1.0825


注:ポイント要約は編集部

『ドル円は約38年ぶり高値を更新。ドル高・円安トレンドの継続を想定』

ドル円日足

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