ドル円 月替わり、材料も多くドル高続くか動静注意(週報7月第1週)

先週のドル/円相場はドルが大幅続伸。4月末高値160.22円も超え161円台へ。38年ぶり高値を示現している。

ドル円 月替わり、材料も多くドル高続くか動静注意(週報7月第1週)

月替わり、材料も多くドル高続くか動静注意

〇先週のドル円、週間安値158.74示現後はほぼ一貫した右肩上がり
〇160.22を超えるも当局の実弾介入観測されず、週末に38年ぶりの161円台へ
〇ボウマンFRB理事や、米1QGDP上振れ等の経済指標が好感され、ドル買い要因に
〇テクニカルにしばらく目立った抵抗はないが、165円到達に至る過程では実弾介入の可能性も
〇3月の神田財務官発言(2週間で4%の変動は違和感)によれば、162-163円もボーダーラインか
〇今週は米6月ISM製造業景況指数、雇用統計の発表に要注意
〇ドル高・円安方向、まず先週高値161.28をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向、160円あるいは160.25-30レベルが最初のサポート
〇ドル円予想レンジ:158.00-162.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大幅続伸。4月末高値160.22円も超え161円台へ。38年ぶり高値を示現している。

前週末は、菅前首相から岸田首相に事実上の退陣要求が突き付けられるなど、いわゆる日本の「政局」が活発化。また南シナ海などで傍若無人に振る舞う中国の動きも、そこここで話題となっていたようだ。
そうした状況下、週明けのドル/円は159.80円レベルで寄り付いたのち、当初はドル売り先行。160円が抜けられず、調整の動きに押されると週間安値の158.74円を示現した。しかし、その後はほぼ一貫した右肩上がり。160円そして160.22円を超えるなか、当局の実弾介入が観測されなかったこともあり、週末には38年ぶりの161円台へ。週末NYは小緩んだ160.85円前後で取引を終え越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「為替介入」と「米金融政策」について。
前者は、米財務省が6月20日に発表した為替報告書で、日本を再び「監視対象」に指定。そうしたなか、前述したように先週のドル/円相場は161円台までドル高が進展している。市場では当然のように当局による円買い介入警戒感が強く、ドル/円の上値を抑制していたことは間違いないが、肝心の実弾介入は観測されず。週明け早々、神田財務官から「為替介入は24時間いつでも準備」−−などとかなり勇ましい発言も聞かれたが、結果として実行されずに、それこそ口先だけで終わったようだ。なお、週末には昨年などに実施された、円買い実弾介入を主導した前述神田財務官が7月末で退任すると発表されている。当局がますます介入を実施しにくくなる、といった思惑も聞かれるが果たしてどうなるか。

それに対して後者は、先週も発表された米経済指標や要人発言に一喜一憂。週明けには6月のダラス連銀製造業活動指数が予想をわずかに下回るなか、シカゴ連銀総裁から「過度な引き締めには注意が必要」との発言が聞かれドルの弱材料に。しかし、翌日は様相が一変。5月のシカゴ連銀全米活動指数や6月の消費者信頼感指数が好数字となり好感されたうえ、ボウマンFRB理事は「政策金利をしばらく据え置く必要がある」と発言。さらに「必要であれば利上げの用意がある」と改めて表明し思惑を呼んでいたようだ。また、その後も米経済指標はまちまちながら、1-3月のGDP確定値が前月から上方修正されたことや、同コアPCEの上振れなどが好感されると、ドルの買い要因となった。

<< 今週の見通し >>

ドル/円が先週一時達成した161円台は、1990年に大学を卒業し金融業界に入った筆者でさえも未体験のゾーン。よって、ここから上のレベルは正直あまり値ごろ感が湧かないのだが、テクニカルには軽い青天井状態で、しばらく目立った抵抗はないようだ。それでも敢えて指摘すれば1986年11月高値の165円となるものの、さすがに遠く中期的な上値メドか。また165円到達に至る過程では、当局による実弾介入も予想され、たとえ一時的にせよ相場を押し下げる公算が大きいだろう。

根底には日米金融政策、次の一手を注視しつつ、先週末は別途複数のドル買い・円売り要因が重なり、ドル/円相場は161円台までドル高が進行している。具体的には「月末需給要因」、そして前述した為替介入の司令塔だった「神田財務官の退任発表」、さらに「米大統領選ファクター」も影響していたことは間違いない。今週も週末に発表される雇用統計などの米経済指標をにらみつつ、当局の介入スタンスや、先週実施されたテレビ討論会で精彩を欠き米大統領選からの撤退も囁かれているバイデン氏の去就なども場合によっては相場の波乱容易に。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先で指摘したように軽い青天井状態で、先週高値161.28円より上に明確なメドがうかがえない。しかし、今年3月の神田財務官発言「わずか2週間で4%といった、大きな変動が見られるのは違和感」−−を参考にすれば、162-163円はある種のボーダーラインになるといった見方も取り沙汰されていた。頭の片隅にとどめておくべきだろう。
対してドル安方向は、6月26日に上抜けて以降、しっかりと下回ったことのない160円レベルの攻防にまずは注目。ただ、介入でも観測されなければ割り込んでも基本底堅い。

そうしたなか今週は、6月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標が発表される。以前から指摘しているが、ここ数週間は発表される米指標が相場のかく乱要因なっていることが少なくないだけに、今週も引き続き注意を払いたい。米国ファクター以外では、6月30日に実施されたフランス総選挙の結果を波乱要因になりかねないとして警戒する声も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、158.00-162.00円。ドル高・円安については、まず先週高値161.28円をめぐる攻防に注目。その上に明確なメドはないが、それでも代替わりとなる162円や163円はやはり節目として意識されそうだ。
対してドル安・円高方向は、160円あるいは160.25-30円レベルが最初のサポート。介入でも観測されなければ割り込んでも基本底堅そうだ。週内158円台へと達してくる移動平均の21日線が強く下支えする可能性がある。

月替わり、材料も多くドル高続くか動静注意

ドル円日足


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