ドル円見通し 161.72円へ高値切り上げ連日の37年半ぶり高値更新(24/7/2)

ドル円は7月2日未明高値で161.72円を付けて1986年12月以来凡そ37年半振り高値水準を6月28日に続いて更新した。

ドル円見通し 161.72円へ高値切り上げ連日の37年半ぶり高値更新(24/7/2)

ドル円見通し 161.72円へ高値切り上げ連日の37年半ぶり高値更新

〇ドル円、7/2未明高値161.72を付けて、1986年12月以来凡そ37年半振り高値水準を更新
〇米ISM製造業景況指数は改善期待に反して低下、強弱分岐点の50を3か月連続で割り込む
〇米長期債利回りは総じて大幅続伸、ナスダック総合指数は終値ベースの最高値更新
〇161円台を上回る内は、161.72超えから162円台序盤への上昇を想定する
〇160.80割れからは一旦下げに入るとみて、160.50から6/28夜安値160.24にかけての水準を試すとみる

【概況】

ドル円は7月2日未明高値で161.72円を付けて1986年12月以来凡そ37年半振り高値水準を6月28日に続いて更新した。
先週の米大統領選挙を巡るトランプ・バイデンTV討論でトランプ氏優勢との見方が強まったことに加え、トランプ氏が在職中の行為に対する刑事訴追の免責特権を主張した訴訟において米連邦最高裁が免責を認めて下級審に差し戻したことでトランプ氏当選の可能性が高まったとして米長期債利回りが上昇してドル円を押し上げたが、トランプ氏が大統領に返り咲けば財政赤字拡大とインフレ再燃を招くと市場は見ており、債券売り・利回り上昇を招いた。
内閣府が7月1日に昨年7月以降のGDP統計を大幅に下方修正したことも円売りにつながった。内閣府は2023年7‐9月期成長率をマイナス3.7%からマイナス4.0%へ、10-12月期をプラス0.4%からプラス0.1%へ、2024年1-3月期をマイナス1.8%からマイナス2.9%へ下方修正した。

今年4月29日の市場介入時水準を超えても三度目の介入がなく、6月20日の米財務省による為替報告書で日本が監視対象国に再指定されたことで介入しづらくなっているのではないかとみられているが、6月28日に財務省が神田財務官の7月末退任を発表したことも介入のしづらさを助長している印象もある。
本日はユーロ圏6月消費者物価指数、ユーロ圏5月失業率、夜にパウエルFRB議長とラガルドECB総裁のパネルディスカッション、米5月JOLTS(雇用動態調査)求人件数の発表が予定されている。

【米ISM製造業景況指数は悪化】

7月1日に米サプライ管理協会(ISM)が発表した6月製造業景況指数は48.5となり市場予想49.2への改善期待に反して5月の48.7から低下し、強弱分岐点の50を3か月連続で割り込んだ。
新規受注が前月の45.4から49.3へ上昇したものの、生産は50.2から48.5へ、雇用は51.1から49.3へ、価格指数は57.0から52.1へ低下した。これらは米FRBの利下げ判断に寄与するものと市場は受け止めたものの、米大統領選を巡る思惑による米長期債利回り上昇を止める勢いには欠けた。
S&Pグローバルによる6月製造業PMI確定値は速報の51.7から51.6へ若干下方修正されたが4月の50.0、5月の51.3からは改善している。

【米長期債利回りは大幅続伸、ナスダック総合指数は最高値更新】

7月1日の米長期債利回りは今年11月の米大統領選挙でのトランプ前大統領優勢との見方が強まる中で財政支出増大とインフレ再燃懸念が増すとの懸念から債券売り・利回り上昇の流れとなり先週末から大幅に続伸した。
長期金利指標の米10年債利回りは先週末比0.07%上昇の4.47%となり6月28日の0.11%上昇から続伸して6月14日に付けたこの間の最低である4.19%以降の高値を更新した。30年債利回りは0.07%上昇の4.63%となり6月28日の0.13%上昇から連騰し、2年債利回りは先週末比で横ばいの4.76%だったが6月28日の0.05%上昇から7月1日は一時4.79%へ上昇している。

一方でNYダウは一時金融株高により300ドル高を超える上昇だったものの買い一巡後にマイナス圏へ下げるなど上値抵抗感もあり先週末比50.66ドル高に終わったが、ナスダック総合指数は146.70ポイント高と上昇して終値ベースの史上最高値を更新した。トランプ氏優勢との見方は株式市場にとっては必ずしもマイナスと言えず、米長期債利回りの上昇が足かせではあるものの9月利下げ開始期待度もまだ高いために株式市場の楽観的な強気姿勢は継続している印象だ。米長期債利回り上昇と株高基調の継続はドル円の上昇に寄与していると思われる。

【60分足 サイクル・一目均衡表分析】

【60分足 サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は6月28日高値161.26円から28日夜安値160.24円へいったん下げてから一段高に入っているため、28日夜安値を起点とした上昇期として7月3日午前から5日午前にかけての間への上昇を想定する。161円台を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は高値試しが続きやすいと考え、160.80円割れからは弱気転換注意として160.00円台中盤への下落を想定するがそこは買い拾われやすいところとみる。

60分足の一目均衡表で7月2日未明への一段高で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いた状況も維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月28日夜に40ポイントを割り込んだところから1日夜に70ポイントを超え、その後はやや下げて60ポイント近辺に付けている。50ポイント台を維持する内は一段高余地ありとし、65ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイント台中盤への上昇を想定する。50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント前後への低下を想定するが40ポイント前後は買われやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、160.80円を下値支持線、7月1日未明高値161.72円を上値抵抗線とする。
(2)161円台を上回るか一時的に割り込んでも回復する内は161.72円超えから162円台序盤(162.00円から162.25円)への上昇を想定する。162円手前では介入警戒感で足踏みする可能性もあるが、米長期債利回りの連続上昇等で押し上げられる場合は162.50円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)160.80円割れからはいったん下げに入るとみて160.50円から6月28日夜安値160.24円にかけての水準を試すとみるが、160.50円以下は押し目買いされやすい水準とみてその後に161円を超えるところからは上昇再開と考える。

【当面の予定】

7/2(火)
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
18:00 (欧) 6月 HICP(調和消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (5月 2.6%、予想 2.5%)
18:00 (欧) 6月 コアHICP・速報値 前年同月比 (5月 2.9%、予想 2.8%)
18:00 (欧) 5月 失業率 (4月 6.4%、予想 6.4%)
22:30 (米) パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁とパネル討論会
23:00 (米) 5月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (4月 805.9万件、予想 791.0万件)

7/3(水)
10:30 (豪) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.1%、予想 0.3%)
10:30 (豪) 5月 住宅建設許可件数 前月比 (4月 -0.3%、予想 1.7%)
10:45 (中) 6月 財新 サービス業PMI (5月 54.0)
16:55 (独) 6月 HOCB サービス業PMI・改定値 (速報 53.5、予想 53.5)
17:00 (欧) 6月 HOCB サービス業PMI・改定値 (速報 52.6、予想 52.6)
17:30 (英) 6月 S&Pグローバル サービス業PMI・改定値 (速報 51.2、予想 51.2)
18:00 (欧) 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 -1.0%、予想 -0.1%)
18:00 (欧) 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 -5.7%、予想 -4.1%)
20:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、パネル討論会

21:15 (米) 6月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (5月 15.2万人、予想 15.8万人)
21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -746億ドル、予想 -760億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 183.9万人)
22:45 (米) 6月 S&Pグローバル サービス業PMI・改定値 (速報 55.1、予想 52.3)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 0.7%、予想 0.3%)
23:00 (米) 6月 ISM非製造業景況指数 (5月 53.8、予想 52.5)
23:15 (欧) ラガルドECB総裁、ECBフォーラム閉会挨拶
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月12-13日分)


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