日本当局による円買い介入観測が重しとなり方向感乏しいか
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、日本当局による円買い介入と思われる急速な円高進行を受けて、4月19日以来となる4.6円台まで下落する場面がみられた。
週初こそ、4月26日の日銀金融政策決定会合の結果後の急速な円安進行によってトルコリラが上昇。一時、2月21日以来となる4.9円台まで買われたが、その後は、日本当局による円買い介入と思われる急激な円高ドル安進行が影響して、トルコリラは売られる展開となった。
なお、5月3日に発表された4月消費者物価指数(CPI)は前月比+3.18%と前回比でやや伸びが加速したものの、市場予想は下振れた。前年比も同様の結果となったが、コアは前年比+75.81%と前回及び市場予想をともに上振れた。一方、4月生産者物価指数(PPI)は、前月比、前年比ともに3月を上回るなど先々のインフレ懸念が高まる結果となったが、トルコリラの反応は限定的となった。
トルコリラ・円(東京時間:4月29日―5月3日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.8710円
高値:4.9256円
安値:4.6955円
終値:4.7335円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
4月30日
16時00分、3月貿易収支、前回;−67.8億ドル、市場予想:−75.0億ドル、結果:−73.4億ドル
17時00分、3月外国人観光客(前年比)、前回:22.7%、結果:15.7%
5月3日
16時00分、4月CPI(前月比)、前回:3.16%、市場予想:3.4%、結果:3.18%
16時00分、4月CPI(前年比)、前回:68.50%、市場予想:70.10%、結果:69.80%
16時00分、4月CPI(コア)(前年比)、前回:75.21%、市場予想:75.70%、結果:75.81%
16時00分、4月PPI(前月比)、前回:3.29%、結果:3.60%
16時00分、4月PPI(前年比)、前回:51.47%、結果:55.66%
5月10日
16時00分、3月失業率、前回:8.7%
16時00分、3月鉱工業生産(前月比)、前回:3.2%
16時00分、3月鉱工業生産(前年比)、前回:11.5%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラ円は、引き続き日本当局の動向次第となりそうだ。今週は、10日に3月鉱工業生産指数と失業率の発表を控えているが、需給面で大きな影響を与える介入観測に振らされる地合いが続くと考える。
先週末、大手格付け会社S&Pはトルコの格付けを「B」から「B+」に引き上げた。国際収支の均衡を進める中、金融・財政・所得政策の連携が改善していくと予想。S&Pは「2028年までインフレ率が一桁に下がることはない」との見方も示しており、格付け見通しは「ポジティブ」に据え置いた。金融安定性や財政に対する圧力が強まった場合は、今後見直す可能性があるとした。
一方、トルコ政府は、イスラエルとの貿易を完全に停止したと2日に発表した。4月9日、セメントや建築資材など54品目を対象にしたイスラエルへの輸出制限を導入。今回は対象品目を広げ、イスラエルとの輸出入をすべて停止した。トルコ商務省は「我が国の措置は第2段階に移行した」と述べた。措置は「恒久的な停戦が実現し、ガザで十分かつ切れ目ない人道支援が実施されるまで」続けるとのことだ。
トルコ統計局によると、2023年にイスラエルとの貿易額は約70億ドルで、うち8割をイスラエルへの輸出が占める。イスラエル中央統計局によると、同国の輸入に占めるトルコの割合は5%で国別ランキングだと5番目と多く、経済面でのネガティブなニュースと言えよう。
格付け引き上げはポジティブだが、中東情勢の不透明化によるイスラエルへの輸出制限はネガティブな材料だ。こうした状況下、日本当局による円買い介入観測という需給面の不透明感も重しとなることから、トルコリラは当面方向感に乏しい地合いとなろう。
日足ベースでは、3月13日の史上最安値4.5227円から下値をじりじりと切り上げており、50日移動平均線を上回った後、日足の一目均衡表の雲上限や100日移動平均線も突破していたが、足元、雲下限水準まで押し戻された。緩やかな戻りは確認できるが、需給面の不透明感が払しょくされるまではトルコリラの上値は重くなると想定する。
トルコ円日足
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