トルコリラ円見通し ドル円の急落がやや落ち着くのを見て4.70円台後半へ戻す(24/5/7)

5月3日夜にドル円が152円を割り込んだところで4.69円まで安値を切り下げたが、ドル円が反騰入りしたことで5月7日午前には4.78円近辺へ戻している。

トルコリラ円見通し ドル円の急落がやや落ち着くのを見て4.70円台後半へ戻す(24/5/7)

トルコリラ円見通し ドル円の急落がやや落ち着くのを見て4.70円台後半へ戻す

〇トルコリラ円、5/3夜にドル円が152円を割り込んだところで、4.69まで安値を切り下げる
〇その後ドル円が反騰入りしたことで、5/7午前には4.78近辺へ戻す
〇対ドル、5/3は概ね32.51から32.08の取引レンジ、5/6は概ね32.49から32.01の取引レンジ
〇5/6高値32.01は4/12に付けた史上最安値33.03以降の最高値、4/12以降徐々にリラ高になっている印象
〇トルコのインフレ高進続く、改善の兆し見えず
〇4.75を上回るうちは反騰継続とし、4.79超えからは4.80、4.81を順次試す上昇を想定する
〇4.75割れからは下向きとし、4.73割れからは4.70前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月3日は概ね4.74円から4.69円の取引レンジ、4日早朝の終値は4.73円で前日終値の4.74円から0.01円の円高リラ安だった。週間では4月26日終値4.87円から0.14円の円高リラ安で5週ぶりの円高リラ安となった。
5月6日は概ね4.78円から4.73円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.77円で先週末終値から0.04円の円安リラ高だった。
ドル円は4月29日に160.16円を付けて1990年4月2日高値160.36円以来の160円台に到達したところで5兆円規模と推定される覆面市場介入により29日夕刻安値154.50円へ急落し、いったん158円手前まで戻して米FOMCを通過した直後の5月2日早朝に3兆円規模と推定される二度目の覆面介入で153.01円へ一段安し、5月3日夜の米雇用統計が弱めの数字だったことで151.85円まで安値を切り下げて4月29日高値からの下げ幅は8.31円となったが、大幅下落一巡感で5月7日午前序盤には154.20円台へ戻している。

トルコリラ円はドル円が160円台へ到達した4月29日午前に4.92円へ上昇したところからドル円の急落を見て29日夕刻に4.76円へ大幅下落し、5月1日昼過ぎに4.88円まで戻したものの5月2日早朝にドル円が一段安したために4.71円へ下落した。5月3日夜にドル円が152円を割り込んだところで4.69円まで安値を切り下げたが、ドル円が反騰入りしたことで5月7日午前には4.78円近辺へ戻している。
ひとまずドル円の急落が落ち着いたことでトルコリラ円も戻りを試しているところだが、市場介入が繰り返される可能性と4月後半からドル安傾向にあることを踏まえると、ドル円とともにトルコリラ円もさらに一段安するケースを想定しておく必要もありそうだ。

【ドル/トルコリラは4月12日からリラ買いがやや優勢の動き】

ドル/トルコリラの5月3日は概ね32.51リラから32.08リラの取引レンジ、4日早朝の終値は32.33リラで前日終値32.30リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。週間では4月26日終値32.40リラから0.07リラのドル安リラ高となり3週連続のドル安リラ高となった。
5月6日は概ね32.49リラから32.01リラの取引レンジ、7日早朝の終値は32.26リラで先週末終値から0.07リラのドル安リラ高だった。
5月6日高値32.01リラは4月12日に付けた取引時間中の史上最安値33.03リラ以降の最高値であり、終値としても史上最安値である4月24日終値32.54リラ以降の高値であり、4月12日以降は徐々にリラ高へ傾斜した動きに入っている印象だ。S&Pによるトルコ格付けの引き上げなどリラ買いを助長する材料も出てきているところだが、年末に1ドル40リラを目指すのではないかとの見方は健在であり、31リラ台前半へ上昇してリラ高期に入った印象を強めるか、32リラ台後半へリラ売りが再開して史上最安値更新へ進むのか暫く試されるところだ。

【トルコのインフレ高進続く】

5月2日に発表された4月のイスタンブール製造業PMIは49.3となり3月の50.0を下回り2か月連続で低下した。11月の47.2から2月の50.2へ改善していたが、強弱分岐点である50を再び割り込んだ。
5月3日に発表された4月のトルコCPI(消費者物価指数)上昇率は前月比3.18%となり市場予想の3.40%を下回ったものの3月の3.16%から伸びが加速し、前年同月比は69.80%となり予想の70.33%を下回ったものの3月の68.50%から伸びが加速した。食品やエネルギー等を除くコアCPIの上昇率は前月比3.6%で3月の3.5%を上回り、前年同月比は75.8%で3月の75.2%を上回った。
4月のPPI(生産者物価指数)上昇率は前月比3.60%となり3月の3.29%から伸びが加速し、前年同月比は55.66%となり3月の51.47%を上回った。
トルコ中銀等は今年前半の70%台をピークとして年末にかけて40%前後へ低下するとの見通しを示しているが、いまだインフレ高進が改善する兆しは見えていない。

5月3日に発表された貿易省による4月貿易収支速報で貿易赤字は99億ドルとなり3月の75.2億ドルを上回り、昨年11月の59.7億ドルから5か月連続で拡大した。
トルコ商務省は5月2日にイスラエルとの輸出入を全面停止したと発表し、イスラエルも対抗措置をとっているが、2023年における両国の貿易総額は68億ドルだった。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月29日夕刻への急落から5月1日午前へ戻し、5月2日早朝に再び急落してから急落幅の過半を解消する反騰を見せたものの5月3日夜へ一段安し、3日夜安値の後は大幅下落一服で持ち直している。
現状は4月29日夕安値から4日を経過した5月2日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたところと思われる。トップ形成期は5月1日午前高値を基準として7日の日中から8日午前にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、4.75円割れを弱気転換注意とし、4.73円割れからは弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月3日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転し、7日午前への続伸で先行スパンも上抜いてきたため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開と仮定して安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は5月2日早朝安値から3日夜安値へ一段安した際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて60ポイント超えまでもどしたため、50ポイント以上での推移中は70ポイント台を試す上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.75円を下値支持線、4.79円を上値抵抗線とする。
(2)4.75円を上回るうちは反騰継続とし、4.79円超えからは4.80円、4.81円を順次試す上昇を想定する。4.81円以上は反落注意とするが、4.75円を上回っての推移なら8日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)4.75円割れからは下向きとし、4.73円割れからは4.70円前後への下落を想定する。4.70円以下は反騰注意とするが、4.73円を下回っての推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月8日
 23:30 4月 財務省現金残
5月9日
 16:30 中銀インフレレポート
 20:30 週次 外貨準備高
5月10日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 2.4%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 11.5%)
 16:00 3月 失業率 (2月 8.7%)
5月13日
 16:00 3月 経常収支 (2月 -32.7億ドル9
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 3.5%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 25.1%)
5月15日
 17:00 4月 財政収支 (3月 -3090億リラ)



注:ポイント要約は編集部

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