トルコリラ円見通し ドル円の反騰に合わせて2連騰、市場介入を警戒しつつ戻りを試す(24/5/8)

トルコリラ円の5月7日は概ね4.80円から4.75円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.79円で前日終値の4.77円から0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反騰に合わせて2連騰、市場介入を警戒しつつ戻りを試す(24/5/8)

ドル円の反騰に合わせて2連騰、市場介入を警戒しつつ戻りを試す

〇トルコリラ円、ドル円の上昇を追いかけ、5/7に4.80まで戻り高値切り上げ2連騰
〇本邦の介入警戒感持ちつつ目先はドル円の戻り追いかけ、再び急落する場合は一段安へ進む可能性に注意
〇対ドル、5/7は概ね32.31から32.01の取引レンジ。5/8早朝終値は32.25
〇年末に1ドル40リラへ向かうとの中長期的なリラ安感は継続、31リラ台前半へ続伸できるか試される
〇5/7、トルコ中銀等が海外投資家に対する通貨スワップ市場における取引規制緩和を協議との報道
〇4.77上回るうちは上昇継続、4.81超えからは4.82前後への上昇を想定。4.82以上は反落注意
〇4.76割れからは下落期入りとして4.73前後への下落を想定。4.73以下は反騰注意
〇ドル円が急落する場合、4.71前後へ下値目途を引き下げる

【概況】

トルコリラ円の5月7日は概ね4.80円から4.75円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.79円で前日終値の4.77円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル円が4月29日午後と5月2日早朝の2度にわたる覆面介入により4月29日高値160.16円から5月3日夜の米雇用統計発表後の安値151.85円へ大幅下落したため、トルコリラ円も4月29日午前高値4.92円から5月3日夜安値4.69円まで大幅下落したが、ドル円が売り一巡でリバウンドに入ったためにトルコリラ円もドル円の上昇を追いかけて5月7日には4.80円まで戻り高値を切り上げ、5月6日と7日を2連騰とした。

ドル円は4月29日高値160.16円から5月3日夜安値151.85円まで8.31円の下落幅となったが、8日午前に154.80円台へ戻している。4月29日の介入規模が5兆円と推定され、5月2日早朝も3兆円規模とされており、神田財務官や鈴木財務相等は介入についてノーコメントとしているものの追加の市場介入を示唆する強い姿勢を示している。
2022年の市場介入では9月22日に1度目の介入を行った後に一段高へ進んで2度目、3度目の介入を行いようやく天井を付けたが、今回は1度目の介入水準を超えないうちに2度目の介入を行って一段安を誘っているため、3度目の介入がいつ発生しても不思議ないとの警戒心を市場に与えている。
トルコリラ円としては市場介入への警戒感を持ちつつも目先はドル円の戻りを追いかけ、ドル円が再び急落する場合には一段安へ進む可能性があると注意して臨機応変に対処してゆきたい。

【ドル/トルコリラはリラ買い優勢の動き続く】

ドル/トルコリラの5月7日は概ね32.31リラから32.01リラの取引レンジ、8日早朝の終値は32.25リラで前日終値の32.26リラから0.01リラのドル安リラ高だった。
4月12日に取引時間中の史上最安値を33.03リラへ更新し、終値ベースでは4月24日終値32.54リラで史上最安値を更新したが、その後はリラ買い優勢の流れとなり徐々に日々の高値と安値を切り上げている。
トルコ中銀がインフレ抑制のために利上げ状態を続ける姿勢を示したこと、5月3日に発表されたトルコ4月CPIは3月から上昇率が加速したものの今年前半をピークとして年後半へ低下してゆくとの見方によりリラ売りを誘わなかったこと、大手格付け会社S&Pがトルコ格付けを引き上げたことなどがリラ買いを助長している印象だ。ただし、年末に1ドル40リラへ向かうとの中長期的なリラ安感は継続しており、31リラ台前半へ続伸できるか試されるところだ。

【S&Pがトルコ格付けを引き上げる】

大手格付け会社のS&Pは5月3日にトルコの格付けを「B」から「B+」に引き上げた。トルコ中銀が4月に政策金利を50%で据え置いてインフレ抑制に努める姿勢を示したことと金融・財政政策の正常化が継続していることを評価したようだ。同社はトルコのインフレ率について2028年までは一桁へ低下することはないだろうとしたものの、中銀の引き締め継続により徐々に低下するとし、インフレの抑制が進めばトルコリラの信認が回復して経常赤字を縮小させて行く可能性があり、そうなれば格付けをさらに引き上げることも検討されるとした。
トルコの格付けについては今年3月8日にフィッチが「B」から「B+」に引き上げ、見通しを「安定的」から「ポジティブ」に修正している。1月12日にはムーディーズがトルコの格付けを「B3」で据え置いた上で見通しを「ステーブル(安定的)」から「ポジティブ」に引き上げている。いずれも金融政策の正常化を評価したものだった。

トルコリラが史上最安値更新を続けて先の見えない下落基調で推移する内はトルコ国債が高金利であったとしても為替差損を嫌って海外投資家のトルコ投資意欲が盛り上がらないところだが、リラ安とインフレ高進が落ち着けば高金利通貨としてのトルコリラへの投資妙味も大きく改善する可能性がある。5月7日にはトルコ中銀等が海外投資家に対する通貨スワップ市場における取引規制を緩和することを協議しているとの報道も見られた。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月3日夜安値からの反騰により5月3日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を7日の日中から8日午前にかけての間と想定した。8日午前へ続伸しているのでサイクルトップ形成期の延長入りによる上昇余地ありとするが、4.76円割れからは弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月3日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転し、7日午前への続伸で先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からは下げ再開として安値試し優先とし、その際は先行スパン下限を下値支持線とするが、ドル円の急落に合わせて先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は5月7日午前高値から8日午前へ高値を切り上げた際に指数のピークが切り上がらずに弱気逆行の気配がみられるため、50ポイント台を維持する内は一段高余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.76円を下値支持線、4.81円を上値抵抗線とする。
(2)4.77円を上回るうちは上昇継続とし、4.81円超えからは4.82円前後への上昇を想定する。4.82円以上は反落注意とするが、4.77円を上回っての推移なら9日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)4.76円割れからは下落期入りとして4.73円前後への下落を想定する。4.73円以下は反騰注意とするが、4.76円を下回っての推移なら9日も安値試しへ進みやすいとみる。ドル円が急落する場合には4.71円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

5月8日
 23:30 4月 財務省現金残
5月9日
 16:30 中銀インフレレポート
 20:30 週次 外貨準備高
5月10日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 2.4%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 11.5%)
 16:00 3月 失業率 (2月 8.7%)
5月13日
 16:00 3月 経常収支 (2月 -32.7億ドル)
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 3.5%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 25.1%)
5月15日
 17:00 4月 財政収支 (3月 -3090億リラ)



注:ポイント要約は編集部

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