ムーディーズ格下げ決定前の水準を回復するも米中対立激化が重石に
今週のレビュー(5/25−5/29)
今週の南アフリカランド円相場は、週初6.11円で寄り付いた後、早々に安値6.07円まで軟化しました。しかし、@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(南アフリカでも段階的に再開)や、A株高・原油高を受けた投資家心理の改善期待、B短期筋のショートカバー、C6/1以降同国のロックダウン水準が引き下げられることに伴う期待感が支援材料となり、5/28には、3/27以来、約2ヵ月ぶり高値となる6.23円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後は再び反落(ムーディーズ格下げ決定前の水準を回復したことに伴う達成感)。D米中対立激化を嫌気したリスク回避ムードの再燃や、E南ア4月貿易収支(結果▲350億ランド、予想+105億ランド、前回+242億ランド)の赤字転が重石となり、結局、6.14円まで押し下げられての越週となっております。
来週の見通し(6/1−6/5)
南アフリカランド円相場は、4/24に記録した史上最安値5.60円をボトムに反発に転じると、今週5/28には、約2ヵ月ぶり高値となる6.23円まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を上抜けするなど、テクニカル的にみて、「地合いの強さ」を印象づけるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速)、B米中対立激化懸念(米中対立リスクが再燃すれば、中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済に悪影響が及ぶ恐れ)、C中東を巡る地政学的リスク、D南アフリカ国内における新型コロナ第2波リスク(外出規制緩和後に再度感染者数が増加に転じるリスク)など、不安材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的に力強さが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した南アフリカ経済への下押し圧力や、米中対立懸念の高まりを受けた南アフリカ経済への波及リスクが重石になると見られ、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※ショートカバー一巡後の反落リスクに警戒。米中対立報道は日に日に激しさを増しつつあり、トランプ米大統領のツイートなどヘッドライン全般に要注目。また、来週は6/4に予定されている南ア第1四半期経常収支、6/5の南ア5月SACCI景況感指数などにも注目)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):5.80ー6.30
南アフリカランド円日足
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