トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、テクニカルな観点から「半値エクスパンション(15.64)に近い15.70レベルをサポートに、レジスタンス(前週高値)の位置する16.40をレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が15.43レベル、高値が16.12レベルと、週初からトルコリラ安の動きとなり、史上最安値(15.48*)と重る61.8%エクスパンション15.46をもつけることとなりました。
*史上最安値について
FXでは業者ごとにレンジが異なること、また新興国通貨の場合は売りが強まる際に流動性が低下し、安値にかなり幅が出ることとなります。私が購入している取引データでは15.48ですが、トルコリラ取引が比較的多いといわれる金融取の「くりっく365」では15.30となっています。特に2018年8月の史上最安値時はフラッシュクラッシュとなった関係上、その時に提示されていた価格が低かった場合、より安い安値をつけることとなりますので、当レポートではその時の安値を15.48とした上で記述しています。このあたりは、ストップオーダーがついた、つかないという話とともに悩ましいテーマですが、いわゆる取引所取引とは異なるOTC取引が持つ宿命でもあります。
先週のトルコリラは、前週末に感染者拡大による混乱の責任を取って内務相が辞任を提出したこと(先週のコメントを参照)によるトルコリラ売りで始まり、その後はトルコ国内における新型コロナウイルス感染者急増と、それによって懸念されるトルコの景気悪化が主要な材料となりトルコリラ売りが週を通して続くこととなりました。
トルコ国内の感染者は、6日のレポートでも世界全体と比較して急増しているというグラフを示しましたが、その時(5日時点)で27,069人でしたが、本日(20日時点)は86,306人と、3.2倍にも跳ね上がっています。年齢分けした効果が薄そうな外出制限と、上述混乱の原因となった突然の週末外出禁止で買い物に殺到したことが傷口を広げてしまったと言えるでしょう。すでにトルコは中国(83,805人)も抜き欧州主要国に次ぐ世界で7番目に感染者が多い国となっています。
トルコ政府は感染者のピークを4月下旬と見込んでいますから、目先はトルコの感染者増大は避けられないでしょう。そのため、トルコリラの動きもまた上値の重たい地合いが続きやすいと考えざるを得ません。
そして、今週はトルコ中銀の金融政策決定会合があります。既に物価上昇率よりも低い政策金利ではあるものの、コロナウイルスの感染拡大を受け、追加利下げを行い現在9.75%の政策金利を0.5%利下げして9.25%にするというのがコンセンサスです。おそらく、これまでのトルコ中銀の緩和スタンスからして利下げを行うのでしょうが、前回の3月17日の緊急利下げでも1.0%下げていますので、今回もコンセンサスよりも大きく0.75%の利下げを行う可能性もありそうです。
既にトルコリラは売られやすい地合いにある中、インフレ率よりも低い政策金利という時点でトルコリラ売りに繋がりやすいのですが、もしコンセンサスよりも低い政策金利が発表される場合、トルコリラ一段安の流れを考えざるを得ないでしょう。
テクニカルな観点からはどうか、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください
既に史上最安値をトライしていますので、ここから下のターゲットとしての候補を考えることとなります。
大きくはピンクの平行線で示した下降チャンネルの中で、前回も使った4週前高値を起点とした逆N波動のフィボナッチ・エクスパンションを見てみます。
すると次のエクスパンションは78.6%(61.8%の平方根)となり、その水準は15.20となっています。下値の目途は同水準、また上値の目途としては先週下抜ける前の3週前の安値圏15.90レベルがせいぜいというところでしょうか。今週は一段のトルコリラ安を試す可能性が高いと見て、15.20レベルをサポートに、15.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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