トルコリラ円ショートコメント
まず、先週の振り返りですが、史上最安値更新の可能性が高いと見て「15.40レベルをサポートに、16.40レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が16.00レベル、高値が16.41レベルと、かなり静かな値動きの一週間となりました。
先週のトルコリラは、週前半はまったく動かずでしたが、木曜NY市場のFRBによるジャンク債購入発言をきっかけとした全般的なドル売りに反応し、より新興国通貨での買い戻しが目立ったというだけでしたので、今週も上値は限定的と見た方がよいでしょう。
そして週末にトルコの内務相が新型コロナウイルスの感染者拡大にともなう混乱の責任をとって辞職願を出しています。これは先週末に急遽発表された週末48時間の外出禁止令に対する責任ということになっていますが、エルドアン大統領に生涯忠誠を誓うとツイートしたり、大統領は辞職を認めなかったりと、外出禁止に対する国民の不満を和らげるヤラセ辞職願のようにも思えます。申し訳ないですが、どうもエルドアン大統領に近い政治家は信用できないところがあります。
ただ市場はこのニュースに反応し、週明けのトルコリラは若干のギャップを伴って下げて始まりました。それでも先々週の安値もトライしていないところを見ると、本日発表される経常収支や鉱工業生産(どちらも2月)をまずは見たいというところでしょうか。ただ、それ以外には目立った材料もありませんし、感染者数が増えていると言っても現状では欧州よりは少ないですから、今週は大きな動きは出にくいものの、景気減速の影響は主要国に比べて受けやすいことから上値は限定的というところでしょうか。
ファンダメンタルな面では、これといったものもありませんのでテクニカルな観点から、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
ピンクの水平線で示したのは先週と同じく上のラインは3月中旬の安値、下のラインは2018年の史上最安値15.48です。上のラインは先週もレジスタンスとして効いていましたので、今週もレジスタンス候補です。逆にここを上抜ければ上昇トレンドに向かう可能性がありますが、現状では難しいと思います。
また下方向もさすがに史上最安値まで今週中に届くほどの動きは考えられず、ここでは3月25日高値を起点とした逆N波動(ピンクの逆N)を想定してみました。すると、フィボナッチエクスパンションでは、半値エクスパンションが15.64、61.8%エクスパンションが15.46となり後者は史上最安値と重なります。上記レジスタンスを抜けられない場合は、中期的に試す可能性が高いと言えるでしょう。
今週は半値エクスパンションに近い15.70レベルをサポートに、レジスタンスの位置する16.40をレジスタンスとする週を見ておきます。
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