トルコリラ円見通し 4月2日早朝安値以降は平行チャンネル型持ち合い(20/4/13)

4月10日にかけてはジリ安となり、週明け4月13日早朝も16.10円を割り込むところまで押されてきている。

トルコリラ円見通し 4月2日早朝安値以降は平行チャンネル型持ち合い(20/4/13)

【概況】

トルコリラ円は4月2日早朝に15.89円の安値をつけて3月9日安値16.26円を割り込む一段安となったが、その後は新たな安値更新を回避して16円台序盤での持ち合いが続いている。
4月2日早朝への下落は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による新興国通貨売りの中でトルコリラが対ドルで大幅下落したこと、3月9日からV字反騰していたドル円が反落したことが重なったものだが、その後はドル高リラ安が一服、ドル円も小康状態となる中で決め手に欠いた持ち合いとなった。
4月9日夜はドル円で円高気味の推移となる一方で新興国通貨安が緩んだことでトルコリラが対ドルで反発したことからトルコリラ円は16.41円まで反騰する場面があったが、長続きせずに4月10日にかけてはジリ安となり、週明け4月13日早朝も16.10円を割り込むところまで押されてきている。
4月10日に発表されたトルコの1月失業率は13.8%で12月の13.7%から若干悪化した。失業率統計はかなり遅れた発表のために現在のコロナショックを反映していない。

【新興国通貨安一服続くか】

トルコリラは1月後半から対ドルで下落してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大による新興国通貨売りが強まる中で3月からは下落に拍車がかかり、4月9日には6.7979リラを付けて2018年11月以降の安値を更新し、2018年8月のトルコ通貨危機発生時に付けた7.2169リラへ迫ってきている。
4月9日は下落一服でやや戻していたが10日は再び反落となり、週明け13日も続落気配で開始している。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界連鎖株暴落は3月後半で一服しておりNYダウは暴落に対する半値戻しまで切り返してきているが、ドル資金需給のひっ迫と投機的なポジション圧縮の動きが強まる中で新興国通貨は大幅下落に見舞われてきた。特にジャンク級まで格下げされた南ア・ランドや財政危機懸念のあるブラジルレアルやアルゼンチンペソの暴落的な下げが目立ち、新興国通貨も総じて売られる状況の中でトルコリラも売られてきた。

南アランドは4月6日からは暴落一服で先週1週間は戻し、ブラジルレアルも4月9日安値の後は4日間の反発が入っているが、あくまでも暴落一服的な動きと思われる。トルコリラの下落も南アランドやブラジルレアル等と歩調を合わせている印象のため、ランドやレアルの先安感が再び強まるようだとトルコリラへの売り圧力も強まりやすいという状況は続くと思われる。

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は4月9日に「1930年代以降で経験のない未曽有の危機」と述べたが、新興国からの資金引き揚げは過去2カ月間で1000億ドル規模となりリーマンショック時の3倍となっていると述べた。IMFには1兆ドルの融資能力があるとして対応する姿勢を示しているが、世界レベルで投資マネーがいったん逆流し始めると簡単には元の状況へ戻らず、投資マネーに依存する新興国市場を直撃して新興国通貨危機を発生させるというのが過去の教訓だ。今回もコロナショックが長引けばリーマンショック級の金融危機とともにアジア通貨危機、中南米通貨危機等と同レベルかそれ以上の危機を発生させかねないと警戒すべきだろう。

【トルコの感染者数、日々4千人を超える増加】

新型コロナウイルスによる世界感染者は184万人を超え死者は11万3千人を超えた。米国では感染者55万5千人死者2万1991人であり、パニックは収まっていない。
トルコは4月10日時点で感染者5万6956人、死者1198人となった。4月10日の1日で3万5720人の検査が行われ、うち4789人の感染が新たに確認された。3月31日から新規感染者が日々2千人を超え、4月4日からは増加数が3千人を超えてきたが、4月8日からは4000人を超えるペースとなっており、感染爆発のペースアップが懸念される事態だ。

トルコ政府は4月10日に31都市において11日午前0時(日本時間同午前6時)から12日の真夜中(日本時間13日午前6時)まで48時間の外出禁止令を出した。買いだめに殺到する状況もあったようだ。
トルコは人口8300万人。隣国との国境封鎖が続いているが、シリア内戦によりイドリブ県等で難民キャンプには100万人がおりキャンプでの感染拡大も警戒される。
医療崩壊的な報道は今のところ見られず、英国やボスニア・ヘルツェゴビナ等への支援物資を提供して感謝されている等の報道もある。
パンデミック以降、シリア内戦での軍事衝突やロシアとの対立等での地政学的リスクに関する報道は見られない。

【4か月サイクルの下落期続き、4月2日からはやや右肩上がりの平行チャンネル】

4月2日早朝に3月9日安値を割り込んで一段安した後は横ばいの持ち合いとなっている。4月2日早朝安値から4月8日朝安値にかけて安値ラインが切り上がり、4月3日朝高値から9日夜高値へ高値ラインも切り上がっているので、現状は抵抗線・支持線がやや切り上がる平行チャンネル内での推移と思われる。
16円割れからは平行チャンネルからの転落となり、4月2日早々安値割れからは一段安入りへ進むという展開も警戒されるが、4月8日朝安値を割り込まないうちは安値切り上げパターンの維持として戻り高値を試す可能性が残る。

概ね4か月前後の底打ちサイクルにおいて、1月6日安値を割り込んだところから下落期に入っており、3月9日から3月25日までは中間的な反発を入れたものの一段安したことにより、4か月サイクルにおける下落期が継続している状況にある。平均的には5月序盤を前後する時期に底を付けやすいと思われるが、底形成へ向けて下落が加速する可能性やフラッシュクラッシュ的な急落が発生するリスクも徐々に強まっていると警戒される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月2日早朝安値を直近のサイクルボトム、4月3日午前と6日夕の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、4月9日夜の反騰で3日及び6日の両高値を超えたため、4月10日午前時点では4月2日以降の最安値である4月8日朝安値15.99円を直近のサイクルボトムとした。またサイクルトップ形成期を9日夕から13日夕にかけての間と想定されるのですでに9日夜高値でサイクルトップを付けた可能性もあると指摘した。
4月10日へジリ安となり13日朝に続落したため、4月9日夜高値を直近のサイクルトップとする。ボトム形成期は11日朝から15日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、4月10日夜の戻り高値16.22円を超えないうちは一段安余地ありとし、10日夜高値を超えるところからは新たな強気サイクル入りと仮定して14日夜から16日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月13日朝にかけての下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は高値試し優先とする。強気転換は両スパンそろって好転するところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月9日夜の急騰で70ポイント後半へ上昇したがその後は失速して4月13日朝時点では40ポイントを割り込んでいる。相場が安値を切り下げる中で指数のボトムが切り上がる強気逆行は見られないのでまだ一段安余地ありとするが、50ポイント超えへ戻すところからは上昇再開の可能性があると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、4月8日朝安値15.99円を下値支持線、4月10日夜の戻り高値16.22円を上値抵抗線とする。
(2)16.22円以下での推移中は一段安余地ありとし、8日朝安値割れからは4月2日早朝安値15.89円試しとし、安値更新の場合は2018年8月底15.52円試しへ向かう流れとみる。15.80円以下は反発注意圏とするが、16円割れの状況が続く場合は14日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)16.22円超えの場合は、4月2日からの平行チャンネル内での戻り高値を再び試す流れとみて4月9日夜高値16.41円試しへ向かうとみる。16.40円以上は反落警戒とするが、16.22円以上での推移なら14日午前も高値を試す余地ありと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月13日
 16:00 2月経常収支 (1月 −18.0億ドル)
 16:00 2月鉱工業生産 前年比 (1月 7.9%)
 16:00 2月小売売上高 前年比 (1月 9.6%)
 16:00 2月小売売上高 前月比 (1月 -0.8%)
4月20日
 19:30 3月自動車生産 前年比 (2月 7%)
4月22日
 16:00 4月消費者信頼感指数 (3月 58.2)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行9.75%、予想 8.5%)
4月24日
 16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
 16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)

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