油断禁物だが、ドル/円はようやく落ち着く(週報4月第2週)

先週のドル/円は、一時ドル高に振れるも「行って来い」。

油断禁物だが、ドル/円はようやく落ち着く(週報4月第2週)

油断禁物だが、ドル/円はようやく落ち着く

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、一時ドル高に振れるも「行って来い」。また、週間を通しての変動も1.2円ほどと、一連の「コロナショック」のなかで一番の小動きにとどまっていた。

前週末には、「中国人民銀が預金準備率を、地方銀行や農村部の中小銀行を対象に1.0%引き下げ」、「OPECプラスは、6日開催予定の緊急会合を9日に延期」といったニュースが伝えられたうえ、米ジョンズ・ホプキンス大学による最新集計結果として、「全米の新型コロナウイルス感染者は31万1000人超、死者は8400人超になった」と発表されていた(現在の感染者は55万5000人超、死者は2万2000人超)。
そうした状況下、週明けのドル/円相場は前週末NYクローズと大差のない108.45-50円で取引開始。そののち、日米株価が堅調推移したことを好感し、週間高値である109.38円を示現するも買いは続かず。ドルは週末にかけてジリジリと値を崩し、週間安値108.20円まで値を崩す「行って来い」となった。週末はイースターでNYなど休場となるマーケットが多いなか、108.40-45円で取引を終え越週している。
そうしたなか、前週末に「ジョンソン英首相が検査入院」したことが明らかになったのち、「集中治療室入り」といった症状の重篤化も指摘された英ポンドが乱高下。なお、そんなジョンソン氏だが、この週末、「自力歩行もできるまでに回復し、退院した」という。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナの感染拡大」と「原油安打開に向けた動き」について。
前者は、世界的な感染者数の拡大はいまだ続いているものの、イタリアやスペイン、あるいは米NYなどにおいても増加ペースそのものはいささか鈍ってきた感があり、ピークアウトに向けた動きも少しずつ観測されていた。後者の典型例は、一連の騒動の発生源とされる中国湖北省武漢市で、同国中央テレビによると「8日、2ヵ月半ぶりに都市封鎖が解除された」という。ただ、反面で日本は7日に安倍首相が「緊急事態宣言」を発令、中国はもちろん欧米から遅れる格好で危機的状況を迎えている感が取り沙汰され、金融市場で嫌気されていた面も否めない。

対して後者は、9日にOPECプラス緊急会合、そして10日にはG20エネルギー相の電話会合が開催されるなか、タス通信が「ロシアは日量160万バレルの減産を行う用意があると表明」と報じるなど、事前には様々な思惑が飛び交う。しかし、フタを開けたら前者はロシアとサウジアラビアは減産で合意したものの、メキシコが最後まで反対し翌日に再び会合を行うことになったほか、後者も共同声明で「数値目標をともなう協調減産」の言及が見送られるなど、中途半端な尻切れトンボで終わっている。

<< 今週の見通し >>

一連のコロナショックが取り沙汰された2月後半以降、ドル/円は5週続けて週間レンジ4-7円を記録していたが、先々週は1.8円レンジ、そして先週は1.2円レンジの変動にとどまった。感染の拡大といった症状は続いているが、為替市場への影響という意味でもピークを越えたのかもしれない。とは言え、この週末、ロシアなどからの帰国者を中心に「中国本土で新型コロナの新規感染者が再び増加した」との報道が観測され、第2波の到来も懸念されている。まだまだ油断は禁物で、引き続き相場の波乱要因として注意を払いたい。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「原油情勢」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題で、日米欧を中心とした感染拡大の状況や、金融政策を含めた各国のさらなる財政対応などにも要注意。また前述したように、減産合意がいまひとつ不透明である原油情勢を気にする声も少なくない。状況次第で、今週も相場の波乱要因となりかねない。

テクニカルに見た場合、移動平均では108.30円レベルに位置する移動平均の200日線に日足が絡む値動きで、上下を75日線(108.90-95円)と25日線(108.05-10円)が阻む展開となっている。108円台は居心地が良さそうで、基本的には週間を通して108円台を中心とした取引か。ただ、上抜ければ4月高値の109.38円や109.85-90円がターゲットとなる反面、底割れした場合には今月安値106.93円が意識されそうだ。

一方、材料的に見た場合、4月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標が幾つも発表されるほか、3週連続でネガティブサプライズとなっている週間ベースの新規失業保険申請件数に今週も要注意。
また今週は、中国に関する経済指標も目白押しなうえ、金融機関を中心とした米企業の決算発表も相次ぐ。それらも内容如何では波乱要因になっても不思議はないだろう。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.30-109.80円。ドル高・円安については、75日線が位置する108.90-95円が最初の抵抗。上抜けると、4月高値の109.38円やフィボナッチを参考したテクニカルポイントの109.85-90円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、25日線が位置する108.05-10円をめぐる攻防にまず注目。割り込むようだと、107円台にそれほど強いサポートがないことから、深めの押しが入る危険性も一部で取り沙汰されていた。

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