トルコ国内における感染者数増加に歯止めかからず。リラ売り再開に要注意
今週のレビュー(4/6−4/10)
今週のトルコリラ円相場は、週初16.12円で寄り付いた後、@トルコ国内における新型コロナウィルスの感染者数急増や、A上記@を受けた投資家心理の悪化(トルコ経済の下押し懸念)が重石となり、週央にかけて、安値16.00円まで下落しました。しかし、先週4/2に記録した約1年7ヶ月ぶり安値15.93円をバックに下げ渋ると、B米FRB(連邦準備理事会)による中小企業や地方政府に対する2.3兆ドル規模の大型資金供給策の発表(量的緩和拡大→リスクオン)や、Cトルコ政府による「トルコと米国はスワップラインの確保について協議を行った」との発言が支援材料となり、週後半にかけては、高値16.42円まで反発する場面も見られました。もっとも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、引けにかけては再び反落。結局、16.18円での越週となっております。
来週の見通し(4/13−4/17)
トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、4/2には、約1年7ヶ月ぶり安値となる15.93円まで急落しました(今週も安値圏で上値の重い展開が継続)。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております。
また、ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感(4/10に発表されたトルコ・1月失業率は13.8%へ上昇)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア北西部イドリブ県)で燻る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムード(トルコ国内での感染者数急増リスク)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。新型コロナウィルスの感染拡大に端を発した投資家心理の悪化や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げと、インフレ高止まりが背景)を受けたトルコへの投資妙味の減退(資本流出リスク)、同国における感染者数急増の流れは(株安・通貨安・債券安のトリプル安)続くと見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(直近安値を試す展開を想定)。尚、来週は4/13に予定されているトルコ・2月経常収支や、2月鉱工業生産に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):15.80ー16.40
トルコ円日足
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