トルコリラ円見通し ドル高緩んで反騰、4月3日朝高値を上抜くが既に失速気味(20/4/10)

米連銀による追加の資金供給政策と21時半の米週間失業保険申請件数が前週に続いて歴史的高水準となったことでドル安リラ高がさらに加速

トルコリラ円見通し ドル高緩んで反騰、4月3日朝高値を上抜くが既に失速気味(20/4/10)

【概況】

トルコリラ円は新型コロナウイルスの感染拡大によるドル全面高と新興国通貨安及び円高により4月2日早朝に15.89円の安値まで下落して3月9日安値16.26円を割り込む一段安となったが、ドル円が持ち直したことで4月6日朝高値16.26円まで戻した。その後はドル円の戻りが一服する中で対ドルでのリラ安基調が続いたためにジリ安の推移となり、4月8日朝には15.99円をつけて徐々に4月2日朝安値へ迫っていた。
4月9日朝も16円をわずかに割り込む場面があったが買い戻されて16円台序盤でしっかりした動きに入り、夕刻からはドル安が進む中で対ドルでリラ高へ傾斜したために16.10円台を回復、米連銀による追加の資金供給政策と21時半の米週間失業保険申請件数が前週に続いて歴史的高水準となったことでドル安リラ高がさらに加速して22時台には16.41円まで急伸した。

【新興国通貨安一服、ドル資金供給と株高でトルコリラ円も持ち直す】

ドル円は4月2日未明安値106.91円から4月6日高値109.37円まで上昇した後は伸び悩み、108円台後半での小持ち合いとなっていたが、9日夜のドル安により108.50円を割り込んで持ち合い下放れとなり10日未明には108.20円まで下落した。
一方で対ドルでのトルコリラは3月27日から4月8日までは新興国通貨安を背景に大幅下落となり、4月8日には6.7968リラまでリラ安が進んでいたが、9日夜には6.6220リラまでリラ高ドル安となり、9日は終値ベースで前日比1.46%のリラ高ドル安へ巻き返した。
ドル円における円高よりもドル安リラ高が勝ったことが4月9日のトルコリラ円の反騰に寄与したようだ。しかし上昇一巡後は16.11円まで失速するなど、本格的な騰勢回復とまでは言えないところか。

イスタンブール100株価指数は4月9日に前日比2.80%高と上昇した。4月2日からは6連騰となる。コロナショックによる初期的な暴落が一巡してNYダウを先頭にリバウンドへ進んでいることでトルコ株式市場も欧米株式市場の持ち直しを見ながら買い戻されている状況だ。
4月9日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、4月4日までの1週間で660万6000件となり、過去最多記録を大幅に更新した前週の686万7000件(当初の684.8万件から上方修正)に次ぐ高水準となったが、NYダウは9日に前日比285.80ドル高と上昇し、現実のコロナショックよりも復興からの先高期待を優先する動きとなった。欧州株式市場もほぼ全面高で独DAX指数が2.24%高、MIBイタリア指数も1.39%高、IBEX35スペイン指数も1.71%高と感染爆発地の株式市場も買われたことでトルコ株もリバウンドを継続した。

【新興国通貨が戻す】

南アランドは4月6日に対ドルでの史上最安値を更新したが、6日当日から4連騰で上昇している。ブラジルレアルも対ドルで4月3日に史上最安値を更新したが、4月6日からは同じく4連騰している。資源通貨の豪ドルも対ドルで3月19日まで暴落的な下げとなっていたがその後は持ち直しに入り4月6日から9日へ4連騰している。
コロナショックにより新興国通貨と資源通貨は一斉に売られた。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は4月9日の講演で「世界恐慌以来で最悪の不景気に落ち込む」とし、新興国からの資金引き揚げが過去2カ月間で1000億ドル(約11兆円)規模となりリーマンショック時の3倍に上るとしたが、IMFには1兆ドルの融資能力があるとして対応力があるところを示した。先進主要国のドル資金供給協調や世界的な金融緩和・財政出動の動きが新興国通貨暴落をひとまず落ち着かせた印象であり、トルコリラも対ドルでの下落一服感が見られる。ただし、情勢が一段と深刻化すれば新興国通貨・資源通貨が再び売りのターゲットとされかねないことは認識しておきたい。

【トルコの感染者数は4万人を超える】

4月10日朝時点の新型コロナウイルスのトルコ国内感染者は前日から4056人増の4万2282人、死者は前日比96人増の908人となった。3月31日から新規感染者が日々2千人を超え、4月4日からは増加数が3千人を超えてきたが、4月8日からは4000人を超えるペースとなっている。トルコ紙報道では国外で死亡したトルコ人は222人に上っており、そのほとんどが欧州での死者となっている。
4月10日のトルコ紙報道等では引き続き医療崩壊や食料不足等のネガティブな報道はみられない。また感染爆発の影響でシリア内戦に関する軍事衝突等の報道も見られない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月2日早朝安値を直近のサイクルボトム、4月3日午前と6日夕の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を7日の日中から9日朝にかけての間と想定してきたが、4月9日夜の反騰で3日及び6日の両高値を超えたため、4月2日以降の最安値である4月8日朝安値15.99円を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りした。前回のサイクルトップがダブルトップだったために6日夕高値を基準とすれば今回のサイクルトップ形成期は9日夕から13日夕にかけての間と想定される。このためすでに9日夜高値でサイクルトップを付けた可能性もあると注意するが、8日朝安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、10日未明安値(16.11)割れを弱気転換注意、8日朝安値割れからは弱気サイクル入りとして11日朝から15日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9日夜の急騰で遅行スパンが好転して先行スパンも突破した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月9日夜の急騰で70ポイント後半へ上昇したがその後は50ポイント台へ失速しているので既に反落開始となっている可能性がある。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、4月10日未明安値16.11円を下値支持線、16.30円を上値抵抗線とする。
(2)16.11円を割り込まない内は上昇余地ありとし、16.30円超えからは上昇再開として9日夜高値16.41円試しを想定する。16.40円以上は反落注意とするが、9日夜高値超えから続伸の場合は16.50円まで上値目途を引き上げる。
(3)10日未明安値16.11円割れからは弱気転換注意として4月8日朝安値15.99円試しとする。底割れからは弱気サイクル入りとみて4月2日早朝安値15.89円試しとし、安値更新の場合は2018年8月底15.52円試しへ向かう流れとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月10日
16:00 1月失業率 (12月 13.7%)
4月13日
16:00 2月経常収支 (1月 −18.0億ドル)
16:00 2月鉱工業生産 前年比 (1月 7.9%)
16:00 2月小売売上高 前年比 (1月 9.6%)

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