トルコリラ円見通し 4月3日朝高値からのジリ安続くが4月2日朝安値割れを回避中(20/4/9)

3月9日安値16.26円を割り込む一段安となったが、ドル円が持ち直したことで4月6日朝高値16.26円まで戻した。

トルコリラ円見通し 4月3日朝高値からのジリ安続くが4月2日朝安値割れを回避中(20/4/9)

【概況】

トルコリラ円は新型コロナウイルスの感染拡大による新興国通貨安と円高により4月2日早朝に15.89円の安値まで下落して3月9日安値16.26円を割り込む一段安となったが、ドル円が持ち直したことで4月6日朝高値16.26円まで戻した。その後はドル円がややジリ安の推移に止まり、対ドルでのリラ安基調も続いているために上値が重く、4月6日午後高値から7日夕刻高値へと戻り高値が切り下がり、4月8日朝には15.99円をつけて徐々に4月2日朝安値へ迫ってきた。4月9日朝も16円をわずかに割り込んだが、続落を回避して16円台を回復している。
4月6日以降のジリ安基調は続いているが、ドル円も持ち合い、ドル/トルコリラも高値圏にあって揉み合いのため決め手に欠いており、4月2日安値を割り込んで一段安を試すという動きは回避されている。

【ドル円持ち合い、ドル高リラ安基調は継続】

ドル円は4月2日未明安値106.91円の後は持ち直して4月6日には109.37円をつけて4月2日未明への下げ幅に対する半値戻し109.31円を若干超えたが、その後は一段高のきっかけをつかめずに108円台後半での持ち合いとなっている。株式市場が感染拡大のピークが近いとして経済対策や大規模金融緩和による復興期待で上昇していることはドル円にとっての押し上げ材料ではあるが、コロナショックの底が見えたというには楽観過ぎるとしてドル円はやや慎重な動きに止まっているようだ。4月6日高値を上抜けば110円を目指す上昇感が強まってトルコリラ円にとっても押し上げ要因となりうるところだが、4月8日安値108.50円を割り込んでくると円高のぶり返しによりトルコリラ円にとっては大きな圧迫要因となりかねないところだ。

ドル/トルコリラは新興国通貨売りが加速してドルが全面高となる中で3月27日から4月1日へ4連騰となり、1日おいて4月3日から6日へ連騰して6.7951リラまで高値を更新した。4月7日は6.6927リラまで小反落したものの4月8日は高値で6.7930リラまで戻して高値圏を維持している。
感染爆発による投資マネーの逆流によりドル資金需給がひっ迫して新興国通貨売りが進み、特に格下げされた南アランドが暴落的な下げとなって4月6日には対ドルでの史上最安値を更新し、ブラジルレアルも4月3日まで最安値更新が続いていた。しかしその後はいずれも売り一服で戻しており、一時的なものかもしれないがやや落ち着いた。しかし対ドルでのトルコリラ安基調は続いており、南アランドやブラジルレアル売りが再開すればドル高リラ安が一段と進みかねない状況と思われる。

イスタンブール100株価指数は4月8日に前日比0.91%高となり4月2日からは5連騰となった。NYダウが暴落一服での反発を継続していることで世界全般の株式市場も戻りを試しているところだ。しかし欧米での感染爆発のピークが近いのではないかとの楽観が欧米株を支えているものの、新興国へ爆発エリアが拡大してゆくと新興国通貨安・株安が現状よりも深刻化する可能性があると注意したいところだ。

【トルコの感染者数は4万人に迫る】

4月9日朝時点の新型コロナウイルスの感染者は世界全体で150万人を超えて死者も8万8千人を超えた。米国の感染者数は43万人を超え死者は前日から1897人増の1万4738人に増加した。スペインとイタリアは新規の感染者増加数が鈍化しているが死者の増加は止まらない。感染者の新規増加がピークアウトしつつあるという見方もあるが、医療現場が限界に来ていて感染者増を把握しきれずに実際の感染者や死者が公表値を大幅に上回っているのではないかとの指摘もある。
トルコの感染者数は9日朝時点で3万8226人(前日比4117人増)、死者812人(同87人増)となった。3月31日から新規感染者が日々2千人を超え、4月4日からは増加数が3千人を超えてきたが、4千人を超えるペースとなっている。

4月9日のトルコ紙報道等ではまだ医療崩壊や治安の悪化等のネガティブな報道はみられない。感染者の多いイスタンブール県にはコロナ対策用の新病院が2か所建設されるとの報道もある。また完治者の血漿採取による治療法開発も始まったと報じられている。治安や医療レベルは高度であり、エルドアン大統領の権力も強い。しかし欧州先進国での医療崩壊的な感染爆発を見ればトルコも厳しい状況に陥る可能性があるとの懸念も続く。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月2日早朝安値を直近のサイクルボトム、4月3日午前と6日夕の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとした。ボトム形成期は7日の日中から9日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるため、16.15円超えを強気転換注意、4月7日夕高値(16.21)超えからは強気サイクル入りとして9日の日中から10日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし強気転換できずに4月8日朝安値(15.99)を割り込む場合は、8日朝安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる連続的な弱気サイクル入りとして11日朝から15日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表ではややジリ安の持ち合いが続いている中で9日午前時点では遅行スパンが好転している。先行スパンから転落した状況が続いているが、遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパン突破からは上昇が加速しやすいと考える。ただし8日朝安値を割り込んで一段安入りするところからは下げ再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月9日午前の上昇で50ポイントを超えてきているので上昇継続しやすい状況と思われるが、再び50ポイント割れからさらに45ポイント割れへ進む場合は下げ再開を疑い、8日朝安値を割り込む場合は一段安入りにより20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
中勢レベルでは3月9日安値を割り込んだことで2018年8月底15.52円試し、さらに底割れへ進みやすい状況とみるが、目先は下げ一服でやや戻しても良いところと思われる。
(1)当初、4月8日朝安値15.99円を下値支持線、16.15円を上値抵抗線とする。
(2)16.15円を超えない内は4月8日朝安値割れから4月2日早朝安値試しへ向かう可能性が懸念される。4月2日早朝安値を割り込む場合は悲観売りで下げが加速しやすいと注意し、2018年8月底15.52円試しへ向かう流れとみる。
(3)16.15円超えからは強気転換注意とし、4月7日夕高値16.21円試しを想定する。16.20円台前半は反落注意とするが、円安が加速する場合は16.30円前後へ上値目処を引き上げる。また8日朝安値割れ回避での推移が続く場合は10日も高値を試す余地ありと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月10日
16:00 1月失業率 (12月 13.7%)
4月13日
16:00 2月経常収支 (1月 −18.0億ドル)
16:00 2月鉱工業生産 前年比 (1月 7.9%)
16:00 2月小売売上高 前年比 (1月 9.6%)
16:00 2月小売売上高 前月比 (1月 -0.8%

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