トルコリラ円見通し 4月3日朝高値からのジリ安続き4月2日朝安値への余裕乏しい(20/4/8)

4月8日朝には15.99円をつけて3日半ぶりに16円を割り込んだ。

トルコリラ円見通し 4月3日朝高値からのジリ安続き4月2日朝安値への余裕乏しい(20/4/8)

【概況】

トルコリラ円は新型コロナウイルスの感染拡大による新興国通貨安とドル円における円高のぶり返しにより4月2日早朝に15.89円の安値まで下落して3月9日安値16.26円を割り込む一段安となったが、その後はドル円がドル高円安へ持ち直したことで4月6日朝高値16.26円まで戻した。しかしドル円は4月6日まで3連騰したものの対ドルでのリラ安が続いたために上値は重く、4月6日午後の反発や7日夕刻の反発でつけた戻り高値は切り下がりに終わり、4月8日朝には15.99円をつけて3日半ぶりに16円を割り込んだ。

【ドル高一服でもドル高リラ安基調変わらず】

ドル円は2月20日から3月9日まではコロナショックによるリスク回避の円高が急激に進んだが、その後はリスク回避レベルが一段と上がったためにドル資金需給逼迫でドル全面高となったために3月24日までV字反騰した。しかし2月20日高値超えには至らずに4月1日まで反落、再びドル高が緩んだことで4月6日まで3連騰というように乱高下が続いている。4月6日高値への反発では直前の下落に対する半値戻しを実現したが、109円台では上値が重く4月8日午前にかけては108円台中盤へ失速している。

ドル/トルコリラは新興国通貨売りが加速してドルが全面高となる中で3月23日に高値で6.6185リラをつけた後はドル高一服で反落していたが、新興国通貨安が一段と加速し始めたために3月27日から4月1日へ4連騰、1日おいて4月3日から6日まで連騰して6.7951リラまでこの間の高値を更新した。4月7日は6.6955リラまで小反落したものの6.70リラ以下は買い戻されて高値圏を維持している。
4月7日は対ドルで史上最安値を更新してきた南アランドやブラジルレアルが下げ一服となり、メジャー通貨に対する加重平均であるドル指数も4月1日から4連騰後の4月7日は反落している。ドル高一服でドル円もやや下げているのだが、新興国通貨に対する先安感が解消されたわけではなく、トルコリラも対ドルでの先安感は継続している。

米連銀の元議長だったバーナンキ氏は、ウェブ上のセミナーで4〜6月期の成長率が年率換算前期比で「 マイナス30%かそれを超える可能性が極めて大きい」「失業率も劇的な数値になる」と述べた。また抗ウイルスワクチンの開発には1年以上を要するとみられ、経済活動が 一部で再開したとしても人々の信頼感が戻るまで景気が正常化するとは思わない」と警告したが、世界と米国がリセッション入りして新興国危機が発生する可能性があるとも指摘した。今のところトルコは通貨危機的な状況ではないようだが、ドル/トルコリラでのドル高リラ安の進行具合は2018年8月へのトルコ通貨危機時に匹敵する動きであることも押さえておきたい。

イスタンブール100株価指数は4月7日に前日比0.34%上昇となり、4月2日からは4連騰となった。1月22日高値124536.63から3月17日安値81936.40まで暴落的な下げとなった後は、NYダウの反騰を見ながら買い戻されており、4月7日高値では94778.62まで戻り高値を切り上げている。暴落幅42600.23に対してリバウンドは12842.22で30%の戻りとなっているが、世界連鎖株安がコロナショックを織り込んで底打ちしたというには時期尚早であり、2月28日から3月5日にかけて反発したところと同様に下げ一服を反映したに過ぎないのではないかと思われる。

【トルコの感染者、日次で3千人を超えるペースに】

4月8日朝時点の新型コロナウイルスの感染者は世界全体で142万人を超えて死者も8万2千人を超えた。米国の感染者数は39万人を超え死者は前日から1942人増の1万2813人に増加した。スペインとイタリアは新規の感染者増加数が鈍化し、NY州の感染者増加もピークに近いとの見方も出ていたが、NY州では死者が前日から731人増えて5489人に達して1日当たりの死者数としてはこれまでで最多となった。
日本では4月7日に緊急事態宣言が出された。世界全体の感染者は増え続け、爆発的増加エリアも拡大している。中国では終息しつつあるが、この先イタリアやスペインでピークが来たとしても欧州全域への拡大は続き、中南米や東南アジア、中近東、アフリカと感染爆発のエリアが拡大してゆくことが懸念される。

トルコは3月31日から新規感染者は日々2千人を超えており、4月7日朝時点では感染総数は3万0217人、死者649人だったが、8日朝時点では感染者3万4109人、死者725人に増加している。4月4日からは増加数が3千人を超えてきており、まだピークは見えない。今のところは医療崩壊や治安の悪化等のネガティブな報道はみられないが、徐々に危機的な状況へ進んでゆくのではないかと危惧される。またトルコが持ち堪えたとしても他の新興国における感染爆発と経済停滞及び新興国通貨・株安が深刻化すればトルコの株式市場もリラも影響を免れないと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月2日早朝安値を直近のサイクルボトムとして4月7日夜にかけての間への上昇を想定していたが、4月6日夕高値の後は新たな高値更新へ進めずに戻り高値が切り下がってきたために、7日午前時点では既に4月3日午前高値と6日夕高値によりダブルトップを形成して下落期に入っている可能性があるとした。また両高値の中間にある4月4日未明安値16.01円を割り込まない内は上昇余地ありとしたが、4日未明安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとした。
4月8日朝に4日未明安値を割り込んだため、3日午前と6日夕の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は7日の日中から9日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、4月7日夜の戻り高値(16.20)を上抜けない内は一段安余地ありとし、7日夜高値超えからは強気サイクル入りとして8日の日中から10日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月7日夜からの下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落している。このため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、強気転換は先行スパンを再び上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月7日夜に60ポイント台序盤へ上昇したが8日朝への下落で40ポイントを割り込んでいる。相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行は発生していないのでまだ一段安余地ありとして20ポイント台への低下を想定する。チョキ転換は60ポイントを超え、その後も50ポイント以上での推移に入るところからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
中勢レベルでは3月9日安値を割り込んだことで2018年8月底15.52円試し、さらに底割れへ進みやすい状況とみる。4月2日早朝安値から下げ渋ってきたが、4月2日早朝安値を割り込んでの一段安入り警戒と考える。
(1)当初、4月2日早朝安値15.89円を下値支持線、4月7日夜高値16.21円を上値抵抗線とする。
(2)16.21円を超えない内は4月2日早朝安値試しを想定する。底割れ回避かわずかに割り込んでも切り返す場合は16.10円超えから上昇再開の可能性ありとするが、底割れから下げが加速する場合は2018年8月底15.52円試しへ向かう流れとみる。
(3)4月2日早朝安値割れ回避で16.10円を超えてくる場合は4月7日夜高値16.21円試しとし、16.21円を超える場合は16.40円前後への上昇を想定する。16.35円以上は反落警戒とするが、7日夜高値を上抜いた後も16.15円以上での推移なら9日も高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月10日
 16:00 1月失業率 (12月 13.7%)
4月13日
 16:00 2月経常収支 (1月 −18.0億ドル)
 16:00 2月鉱工業生産 前年比 (1月 7.9%)
 16:00 2月小売売上高 前年比 (1月 9.6%)
 16:00 2月小売売上高 前月比 (1月 -0.8%

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