ドル円見通し 3連騰一服、ドル高緩んで調整気味(20/4/8)

6日夕刻高値の後は伸びず、109円台を維持できずに8日未明は108円台中盤へ押されている。

ドル円見通し 3連騰一服、ドル高緩んで調整気味(20/4/8)

【概況】

ドル円は4月6日夕刻高値で109.37円まで上昇して3月31日夜の戻り高値108.72円を上抜き、日足は4月2日から3日連続陽線=赤三兵で戻した。しかし、6日夕刻高値の後は伸びず、109円台を維持できずに8日未明は108円台中盤へ押されている。
2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円までの急落はコロナショックによるリスク回避での円高だったが、3月9日から3月24日高値111.71円への反騰はリスク回避のレベルが一段と高まったことでドル資金需給逼迫によるドル全面高が勝ったものだった。ドル買いが一巡し、G7の資金供給協調や主要国の金融緩和等でドル高が一服したために今度は円高となり4月1日安値106.91円まで下げたのだが、V字反騰に対する半値押し106.47円を割り込まない程度のところから再びドル高がぶり返して3連騰となった。
4月7日はドルが再び反落し、ドル円もドル高感が緩んだことで連騰一服となって調整安に入った印象だ。
コロナショックによる新興国通貨売りが加速してブラジル・レアルや南ア・ランドが対ドルでの史上最安値を更新してきたが、ここ2日は新興国通貨安が一服したことも背景となっている。

【ダウの反騰は続くか】

スペイン等で日々の感染増加数に頭打ち感が見られ、NY州でも増加ペースがピークに近いのではないかとの観測や、米政権が戦時国債発行を検討と伝えられて経済対策がさらに拡大するとの期待からNYダウは4月6日に前日比1627.46ドル高と大幅上昇となり、7日も一時は前日比930ドル高を超える大幅続伸となっていた。しかし、NY州の死者増加数がこれまでで最大となったと報じられたことなどで7日の上昇分をほとんど削り、前日比26.13ドル高で終了した。

先週4月2日の失業保険申請件数の爆発的増加や4月3日の米雇用統計の予想をはるかに超える悪化でも金融市場は全般的に大きな動きを見せず、NYダウは4月2日に前日比469.93ドル高と上昇、3日は同360.91ドル安と下げたが、雇用統計の急激な悪化に対する反応としては軽微だった。このため今回のコロナショックに対する最悪の状況を3月23日までの暴落的な下げである程度は織り込んだのではないかとの楽観論も出始めている。しかし、4月7日は高寄りからの反落陰線であり、果たして最悪の状況を現時点で織り込んだと言えるのかどうか、疑問が湧いている。

米ニューヨーク州のクオモ知事は7日に新型コロナウイルス感染症による入院者の増加ペースが安定化の兆しを示していると述べたが、死者は前日から731人増えて5489人に達して1日当たりの死者数としてはこれまでで最多となった。
米連銀の元議長バーナンキ氏は、7日のウェブ上のセミナーで「4〜6月期の成長率が年率換算前期比で マイナス30%かそれを超える可能性が極めて大きい」「失業率も劇的な数値になる」「抗ウイルスワクチンの開発には1年以上を要するとみられ経済活動が 一部で再開したとしても人々の信頼感が戻るまで景気が正常化するとは思わない」と警告した。4月6日にはイエレン前米連銀議長も「現在の失業率は12〜13%でさらに上昇している」「戦時国債の発行案は適切」「4〜6月期のGDPは年率換算で少なくとも前期比30%落ち込む」等と述べている。

世界の感染者は142万人を超えて死者も8万1千人を超えた。米国は感染者が39万人を超えて死者も1万2千人を超えている。日本は7日に緊急事態宣言を発令した。ブラジル等新興国の感染拡大も深刻化しており、先進国の企業のみならず新興国全体も資金繰りが急激に深刻化しているため、株安が一巡したというのは相当に時期尚早と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月30日午前と4月2日未明の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしてきたため、3月31日夜の戻り高値を基準として今回の高値形成期を4月3日夜から7日夜にかけての間と想定した。6日夕刻高値からのジリ安が続いているので既に6日夕高値でサイクルトップをつけて弱気サイクルに入っていると思われる。新たなボトム形成期は4月7日の日中から9日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、6日夕高値を上抜き返せない内は下落余地ありとみる。

60分足の一目均衡表では4月8日未明への下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落しつつある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。ただし両スパンが揃って好転するところからは上昇再開の可能性が高まるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月6日高値時に70ポイントを超えたがその後の失速で40ポイント割れまで低下している。相場が安値を切り下げる際に指数のボトムが切り上がる強気逆行はみられないので、50ポイント前後までを抵抗として30ポイント割れを試すとみる。一段安を繰り返すところで指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は上昇再開の可能性ありとして50ポイント超えからは高値試し優先とする。

以上を踏まえて当面の強弱判断目安を示す。
(1)当初、108.25円を下値支持線、109.00円を上値抵抗線とする。
(2)109円以下での推移中は一段安警戒とし、108.25円割れからは108.00円、次いで107.50円台を目指す下落を想定する。107.75円以下は反発注意とするが、108.50円以下での推移が続く内は9日の日中へ安値試しを続けやすいとみる。ただし、108円を割り込んだ後に108.50円を超えてくる場合は上昇再開の可能性ありと注意する。
(3)109円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、109円超えから続伸の場合は強気転換注意として6日高値109.37円試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして110円を目指す流れへ進むと考える。

【当面の主な発表予定】

4/8(水)
14:00 (日) 3月 景気ウオッチャー現状判断DI (2月 27.4、予想 22.4)
14:00 (日) 3月 景気ウオッチャー先行判断DI (2月 24.6、予想 20.0)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

4/9(木)
休場 メキシコ、フィリピン、ノルウェー(聖木曜日)
10:30 (豪) 豪準備銀行、四半期金融政策報告
14:00 (日) 3月 消費者態度指数・一般世帯 (2月 38.4、予想 35.0)
15:00 (独) 2月 貿易収支 (1月 139億ユーロ、予想 163億ユーロ)
15:00 (独) 2月 経常収支 (1月 166億ユーロ、予想 170億ユーロ)
15:00 (英) 2月 月次GDP 前月比 (1月 0.0%、予想 0.1%)
15:00 (英) 2月 鉱工業生産指数 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.1%)
15:00 (英) 2月 鉱工業生産指数 前年同月比 (1月 -2.9%、予想 -2.9%)
15:00 (英) 2月 貿易収支・物品 (1月 -37.20億ポンド、予想 -60.00億ポンド)
15:00 (英) 2月 貿易収支・全体 (1月 42.12億ポンド、10.17億ポンド)

21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 -0.6%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 1.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前月比 (2月 -0.3%、予想 0.0%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 1.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 664.8万件、予想 500万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 302.9万人)
23:00 (米) 2月 卸売在庫 前月比 (1月 -0.5%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 2月 卸売売上高 前月比 (1月 1.6%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (3月 89.1、予想 75.0)

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