トルコリラ円見通し 年初来安値更新、対ドルでのリラ安進む(20/4/14)

14日未明には15.81円まで下げて4月2日早朝安値を割り込んだ。

トルコリラ円見通し 年初来安値更新、対ドルでのリラ安進む(20/4/14)

【概況】

トルコリラ円は4月2日早朝に15.89円の安値をつけて3月9日安値16.26円を割り込む一段安となった後は新たな安値更新を回避して16円台序盤での持ち合いを続け、4月9日夜には16.41円まで一時的に上昇したものの失速して先週を終えていた。
4月13日はドル円における円高の進行と対ドルでのリラ安が進んだことで13日夕刻に16円を割り込み、14日未明には15.81円まで下げて4月2日早朝安値を割り込んだ。
2019年8月にフラッシュクラッシュで一時的な急落を見せたところを除けば2019年8月から2020年2月前半までは18円台を中心とした持ち合いだったが、2月後半にコロナショックの拡大により急激な円高となり、かつ新興国通貨安を背景としてドル高リラ安が進行したことで18円台から転落した。3月9日からドル円がV字反騰したことでドル高リラ安が進む中でも下げ渋り、3月25日には17.44円までいったん戻した。しかしコロナショックによるドル高リラ安はさらに進行したために4月2日早朝安値まで一段安となり、4月10日までを下げ渋っていたものの4月13日に安値を更新し、年初からの下落基調はさらに継続している印象となった。

4月13日に発表された2月経常収支は12.3億ドルの赤字で1月の18.0億ドルの赤字を超えた。
2月鉱工業生産の前年比は7.5%上昇となり1月の7.9%から悪化した。
2月小売売上高の前年比は10.6%の上昇で1月の9.6%を上回った。
3月自動車生産の前年比はマイナス21.8%で2月のプラス7%から大幅に悪化した。

【トルコリラは2018年11月以降の対ドルでの安値を更新】

トルコリラは4月13日に対ドルで6.7995リラの安値を付けて2018年11月以降の安値を更新した。2018年のトルコ通貨危機により対ドルで7.2169リラまで暴落した後の揺れ返しでつけた高値が2018年11月の5.1220リラであり、そこから現在までは二段下げの状況にあり、2019年8月からは二段目の下落=ドル高リラ安に入っているのだが、すでにチャート上の下値目途は2018年8月安値まで見当たらなくなっている。
コロナショックによる新興国通貨安の代表がブラジル・レアルであり、世界景気悪化に加えて感染爆発が発生していることがレアル安を加速させてきたが、4月3日に史上最安値を付けた後は4日連続で戻して暴落が一服していた。しかし4月13日は国内成長率の悪化見通し等で反落しており、下落再開感が出始めている。トルコも国内感染爆発に入っているなど状況の類似性もあり、レアルが史上最安値をさらに更新し始める場合はリラ売りが加速しかねないと懸念される。

【トルコの感染者数さらに拡大、先週末に続き今週末も外出禁止令】

新型コロナウイルスの感染は世界で190万人を超え、死者も12万人に迫っている。米国は感染者58.6万人(前日比26448人増)で死者2万3618人(同1513人増)となり感染者も死者も世界最大となった。
トルコの感染者は6万1049人で前日比4093人増、死者1296人(同98人増)となった。過去24時間の検査数は3万4456人と報告されており、すさまじい数の検査をこなしている。回復者は3957人となっている。しかし、3月31日から新規感染者が日々2千人を超え、4月4日からは増加数が3千人を超え、4月8日からは4千人を超えるペースとなっている。
トルコ政府は4月10日に31都市における48時間の外出禁止令を出したが、突然の発令だったために買いだめに殺到する状況も発生した。エルドアン大統領は4月13日に今週末の4月18日と19日も外出禁止令を発令すると予告した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

4月2日早朝に3月9日安値を割り込んで一段安した後は横ばいの持ち合いが続いていたが、4月13日に4月2日早朝安値を割り込んで一段安となっている。4月9日夜へいったん戻してからの一段安のため、現状は4月9日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクルでの下落期となっている。ボトム形成期は11日朝から15日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、16円台を回復できないうちは一段安余地ありとし、16円台回復からは強気サイクル入りと仮定して14日夜から16日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月13日朝にかけての下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落したが、13日夜の一段安により両スパンそろっての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、新たな安値更新を回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなると注意し、遅行スパン好転からは戻り高値を試しに入るとみる。ただしその場合は先行スパン上限が上値抵抗となりやすいとみる。

60分足の相対力指数は4月13日朝から深夜への一段安に際して指数のボトムがほぼフラットのため強気逆行の気配となっている。50ポイントに到達できないうちは一段安余地ありとするが、50ポイントに到達するところからはいったん戻しに入ったとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、4月14日未明安値15.81円を下値支持線、16.00円を上値抵抗線とする。
(2)16円以下での推移中は一段安余地ありとし、14日未明安値割れからは15.60円台への下落を想定する。16.50円以下は反騰注意とするが、16円割れの状況が続く場合は15日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)16円超えからはいったん強気サイクル入りとみて16.10円前後への上昇を想定する。16.10円以上は反落注意とするが、16円を超えた後も15.90円以上での推移なら15日午前も戻り高値を試す余地ありと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月22日
 16:00 4月消費者信頼感指数 (3月 58.2)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行9.75%、予想 8.5%)
4月24日
 16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
 16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)

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