ドル円見通し 3日続落で4月1日安値へ徐々に迫る。円高感が再燃(20/4/14)

4月9日から13日までは3日間の続落となり、14日未明には107.47円の安値を付けている。

ドル円見通し 3日続落で4月1日安値へ徐々に迫る。円高感が再燃(20/4/14)

【概況】

ドル円は2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円へ暴落的な下げとなったところからV字反騰に入り3月24日に111.71円まで戻したが、2月20日高値超えには至らず、4月1日安値106.91円まで反落した。V字反騰に対する半値押し106.47円割れには至らずに4月6日高値109.37円まで戻したが、4月9日から13日までは3日間の続落となり、14日未明には107.47円の安値を付けている。

4月10日が聖金曜日で欧米祝日休場だったが、連休明けの4月13日は日経平均が455.10円安と下落、上海総合株価指数も0.42%安、NYダウも前日比328.60ドル安と下落して一時は600ドルを超える下落幅となる等、株安再燃への懸念が強まった。欧州株も英国が3.9%安、ドイツも2.24%安となるなど軒並み下落した。新型コロナウイルスの感染拡大問題への収束期待と楽観で持ち直してきた欧米及びアジア株式市場だが、楽観をさらに助長するような材料もなく、今週は米国の大手企業決算も相次ぐことで業績悪化見通しが再び強まることも懸念され始めている。

4月12日にOPECプラス(OPEC加盟国にロシア等協力国)が日量1000万バレルに近い協調減産方針を示し、米国やカナダ等の自主減産等を合わせると1500万バレルの大規模減産となる見通しが示されたものの、感染拡大による経済停滞・需要減少を改善するには至らないとしてNY原油先物市場は前日比0.35ドル安と下落した。休場前の4月9日の2.33ドル安からの続落だったが、OPECとロシアと米国が原油生産を巡って協力するという歴史的な協調姿勢にも市場は反応できない程、先行き悲観が強い実態が示されたことも株安や円高を助長した印象がある。

【金地金価格が40年ぶり高値更新】

地金商大手で金地金の指標小売価格を提示している田中貴金属工業は4月13日付けの金地金小売価格を1グラム6513円とした。第二次石油ショックによる狂乱物価で高騰した1980年1月21日高値6495円(税込価格)を40年振りに更新した。
1980年当時は消費税がなかったため、税別価格とすれば5920円となるので1980年の高値を実質的には超えたといえないが、投資家の安全資産買い・地金への逃避買い意欲を強めていることを示した。

NY金先物市場では中心限月の2020年6月限が13日高値で1772.8ドルの高値をつけており、今月納会の4月限も1756.8ドルの高値を付けている。金相場は3月16日にかけては金融市場全般の総手仕舞い・換金売りにより暴落的な下げに見舞われたものの、その後はV字反騰を継続しており、既に3月9日高値を超えて2018年8月以降の高値を更新している。通常なら株高期には安全資産買い意欲が後退するために売られるのだが、3月末からのNYダウ反騰の中でも並走して上昇しており、株の反騰よりも勢いがついているのは株高への不安感によるリスクヘッジ買いも金買いを助長しているのだろうと推察される。

ドル円もコロナショックの当初はリスク回避の円高、リスク回避レベルがさらに深刻化する中で発生したドル全面高においては円安と振り回されたが、米連銀による利下げや量的緩和拡大及びG7等によるドル資金供給協調からドル高が一服する中で、再び株安不安を反映した円高という反応を見せ始めている印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月2日未明安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、4月6日高値でサイクルトップを付けて下落に転じた。4月8日午前安値108.50円から下げ渋りの小持ち合いを入れてから一段安に入ったため、現状は4月8日午前安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる弱気サイクルに入って安値を試しているところと思われる。安値形成期は8日午前安値を基準として13日午前から15日午前にかけての間と想定されるので既にサイクルボトムを付けての反騰注意期にあるので、4月13日夜の戻り高値108.08円を超えないうちは一段安余地ありとし、13日夜高値超えからはいったん強気サイクル入りとして14日の日中から16日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月9日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。14日朝時点も両スパンそろって悪化しているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からはいったん戻すか下げ渋りに入るとみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月13日から14日未明への一段安に際しては指数のボトムがやや切り上がる強気逆行気配となっている。40ポイント台序盤が抵抗となっているうちは一段安警戒とするが、50ポイントを超えるところからはいったん戻しに入る可能性が高まるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月14日未明安値107.47円を下値支持線、4月13日夜高値108.08円を上値抵抗線とする。
(2)108.08円を超えないうちは一段安余地ありとし、107.47円割れからは4月2日未明安値106.91円前後試しを想定する。107円以下はいったん買い戻しも入りやすいところと注意するが、107円割れからさらに下げが加速して4月2日未明安値も割り込む場合は106円前後へ下値目途を引き下げる。またその場合は3月24日からの下落が二段下げに発展するため、先行きは3月9日安値試しへ向かう可能性も出てくると考える。
(3)4月13日夜高値を上抜く場合はいったん強気サイクル入りとみて108.50円前後への上昇を想定する。108.50円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、108円台を維持しての推移が続く場合は15日も戻り高値を試しやすいとみる。ただし、108.08円を超えた後に108円前後ないしは108円手前での横ばい程度の推移に留まる場合は15日以降は安値更新からの一段安警戒と考える。

【当面の主な予定】

4/14(火)
未 定 (中) 3月 貿易収支・米ドル建て (予想 200.0億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支・人民元建て (予想 1585.0億元)
10:30 (豪) 3月 NAB企業景況感指数 (2月 0)
21:30 (米) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 -0.5%、予想 -3.2%)
21:30 (米) 3月 輸出物価指数 前月比 (2月 -1.1%、予想 -1.9%)
24:05 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、新型コロナ関連記者会見(オンライン)
25:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、質疑応答

4/15(水)
韓国総選挙
G20財務相・中央銀行総裁会議(テレビ会議)
IMF・世界銀行の春期会合(16日まで、テレビ会議)
09:30 (豪) 4月 ウエストパック消費者信頼感指数 (3月 91.9)

21:30 (米) 3月 小売売上高・全体 前月比 (2月 -0.5%、予想 -7.0%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車  前月比 (2月 -0.4%、予想 -3.0%)
21:30 (米) 4月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (3月 -21.5、予想 -35.0)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.6%、予想 -4.2%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 77.0%、予想 73.7%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 -0.1%、予想 -0.4%)
23:00 (米) 4月 NAHB住宅市場指数 (3月 72、予想 59)
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演(オンライン)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
29:00 (米) 2月 対米証券投資・全体 (1月 1229億ドル)
29:00 (米) 2月 対米証券投資・短期債除く (1月 209億ドル)

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