トルコリラ円見通し 円高とリラ安が重なり15.60円台へ下落(20/4/15)

対ドルでトルコリラが3日続落となってこの間の安値を更新したことにより4月15日未明には15.68円まで安値を切り下げている。

トルコリラ円見通し 円高とリラ安が重なり15.60円台へ下落(20/4/15)

【概況】

トルコリラ円は4月2日早朝に15.89円の安値をつけて3月9日安値16.26円を割り込む一段安となった後は新たな安値更新を回避して16円台序盤での持ち合いを続け、4月9日夜には16.41円まで一時的に上昇したものの4月13日にはドル円における円高と対ドルでのリラ安が進んだために13日夕刻に16円を割り込み、14日未明には15.81円まで下げて4月2日早朝安値を割り込んだ。
4月14日は夕刻まで下げ渋りでの横ばい推移だったが、夜間に円高が進行して15日未明にはドル円が107円を割り込んだことと、対ドルでトルコリラが3日続落となってこの間の安値を更新したことにより4月15日未明には15.68円まで安値を切り下げている。

【株式市場は反騰継続だがリラ安が続き円高もぶり返す】

4月15日朝時点における新型コロナウイルスによる世界の感染者数は197万人、死者は12万人を超えた。米国では感染者60万人、死者25992人(前日比2352人増)となり感染爆発が続いている。
トルコの感染者数は6万5111人で前日比4062人増、死者は1403人(同107人増)となった。3月31日から新規感染者が日々2千人を超え、4月4日からは増加数が3千人を超え、4月8日からは4千人を超えるペースを続けている。
トルコ政府は4月10日に31都市における48時間の外出禁止令を出したが、4月13日にも今週末の4月18日と19日の外出禁止令を発令すると予告している。
トルコではまだ医療崩壊的なパニック等は報じられずに他国への支援の感謝が報じられているのでまだ冷静な状況と思われるが、すでに世界で9番目の感染者数に至っており、医療崩壊的な状況やそれに伴う政情不安のぶり返し等もそろそろ警戒すべき時かもしれない。

新興国の感染拡大も続いており、特にブラジルでは感染者2万5262人、死者1532人と目立っており、新興国全体が感染拡大による財政危機・通貨危機を連鎖的に発生させる場合はトルコリラも新興国通貨売りの流れに巻き込まれることも警戒される。

IMFは4月14日の会見で、2020年の世界成長率はマイナス3.0%と予想した。1929年から1933年にかけての大恐慌以来の「未曽有の危機」に直面するとし、大恐慌時の成長率については「先進国がマイナス16%前後、世界全体がおよそマイナス10%」と推計した。既に90か国以上がIMFへの財政支援を求めている状況にあるので、今後はさらに新興国の財政危機・通貨危機への懸念が強まると思われる。
トルコリラは対ドルでは4月14日に6.8235リラの安値を付けて前日に続き2018年11月以降の安値を更新しており、2018年8月のトルコ通貨危機発生時の安値7.2169リラへ徐々に迫っている。

ただし、株式市場は楽観的な反騰を継続している。イスタンブール100株価指数は4月14日に前日比2.23%高と上昇した。4月2日から4月10日までは欧米株高と同調して7連騰となり、13日は反騰一服だったが14日は戻り高値を更新している。NYダウは4月14日に前日比558.99ドル高と上昇しているが、IMFの大恐慌以来の不況入りという報告よりも、米国での経済活動再開が早まるのではないかとの期待及びコロナショック後の復興需要期待が優先されている。トルコでも通貨安の一方で株高という現象だが、円安で日経平均が上昇するようにトルコリラ安による通貨インフレ的なカサ増しという側面もあるので株高によるトルコリラ上昇期待は持ちがたいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、4月9日夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしてきた。今回のボトム形成期は11日朝から15日朝にかけての間と想定されるので既に反騰警戒期にあるが、14日早朝安値から下げ渋りの横ばいを入れてから一段安しているため、14日早朝安値を直近のサイクルボトムとしてすでに新たな弱気サイクル入りしている可能性もある。このため、14日朝の戻り高値15.90円を超えないうちは一段安余地ありとし、14日朝高値超えからは強気サイクル入りと仮定して15日の日中から16日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月13日朝にかけての下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、新たな安値更新を回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなると注意し、遅行スパン好転からは戻り高値を試しに入るとみる。ただしその場合は先行スパン下限が上値抵抗となりやすいとみる。

60分足の相対力指数は4月14日早朝安値からの一段安に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行気配となっている。このため45ポイント超えからは反騰入りの可能性が高まるとみるが、その際は50ポイント台が戻り抵抗となりやすいとみる。また45ポイントを超えないうちは一段安警戒が続くとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、4月15日早朝安値15.68円を下値支持線、15.80円を上値抵抗線とする。
(2)15.80円以下での推移中は一段安余地ありとし、15日早朝安値割れからは15.50円台前半への下落を想定する。15.55円以下は反騰注意とするが、15.80円割れの状況が続く内は16日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)15.80円超えからは強気転換注意として14日朝高値15.90円試しを想定する。15.90円以上は反落注意とするが、15.80円以上での推移なら16日午前も戻り高値を試す余地ありと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月22日
 16:00 4月消費者信頼感指数 (3月 58.2)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行9.75%、予想 8.5%)
4月24日
 16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
 16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)

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