ドル円見通し 107円を割り込んで4月2日未明安値に迫る(20/4/15)

15日未明には106.98円まで下げて4月2日未明安値に迫った。4月15日朝時点では底割れを回避しているものの余裕に乏しい。

キーワード:

ドル円見通し 107円を割り込んで4月2日未明安値に迫る(20/4/15)

【概況】

ドル円は3月9日安値101.23円からのV字反騰で3月24日高値111.71円まで戻したが、2月20日高値超えには至らずに、4月2日未明安値106.91円まで反落した。V字反騰に対する半値押し=106.47円割れには至らずに4月6日高値109.37円までいったん戻したが、109円台では上値が重くなり、週明けの4月13日には108円を割り込み、15日未明には106.98円まで下げて4月2日未明安値に迫った。4月15日朝時点では底割れを回避しているものの余裕に乏しい。

【IMFは大恐慌時代以来のリセッションを予想】

米ジョンズ・ホプキンス大システム科学工学センター(CSSE)の集計では新型コロナウイルスによ世界の感染者数は197万人、死者は12万人を超えた。米国では感染者60万人、死者25981人(前日比2341人増)となり感染爆発が続いている。欧州の新規感染者増加ペースは鈍り、NY州の死者増加数もピークを超えた印象が出ているものの世界全体への感染拡大には歯止めがかかっていない。

IMF(国際通貨基金)は4月14日のウェブ会見において、2020年の世界成長率はマイナス3.0%と予想した。1929年から1933年にかけての大恐慌以来の「未曽有の危機」に直面するとし、大恐慌時の成長率については「先進国がマイナス16%前後、世界全体がおよそマイナス10%」との推定をした。また英国の予算局は今年の英国成長率をマイナス13%となり過去3世紀で最悪となる可能性があるとした。

しかしNYダウは前日比558.99ドル高と上昇した。IMFによる世界恐慌並みのリセッション入りへの懸念よりも米国での経済活動再開が早まるのではないかとの期待感を優先したようだ。米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は14日のFOXTVのインタビューで、トランプ大統領が一両日中に米国経済の再開について「非常に重要な発表」をすると述べ、「人々を安全にできるだけ早く仕事に復帰させたい」とも語った。
株式市場は3月後半からのリバウンドを継続しており、NYダウはすでに暴落前水準の半値戻しを達成している。世界的な株安にもブレーキがかかっている。欧米の感染爆発が峠を超えた後は経済復興へ向かうとの期待感が先行しており、リーマンショックで大暴落した後の出直りで史上最高値更新へ進んだ経験があるためと思われる。

ドル円は株高にはなびかずにじわじわと円高基調に入っている。4月15日早朝時点では4月2日未明安値(日足では4月1日付け安値)106.91円を割り込んでいないが、仮に割り込む場合には日足チャートにおいては3月24日高値からの下落が4月1日安値までを一段目とし、4月6日からの下げで二段目に入った印象が強まると思われる。日足では下落角度がまだ緩やかだが4月9日からは4日連続の陰線となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月2日未明安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、4月6日高値でサイクルトップを付けて下落に転じた。4月8日午前安値108.50円から下げ渋りの小持ち合いを入れてから一段安に入ったため、現状は4月8日午前安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる弱気サイクルに入って安値を試しているところと思われる。安値形成期は8日午前安値を基準として13日午前から15日午前にかけての間と想定されるので既にサイクルボトムを付けての反騰警戒期にあるので、4月14日午後の戻り高値107.75円を超える場合は強気サイクル入りとして15日の日中から16日にかけての間への上昇を想定するが、14日午後高値を超えないうちは連続的な弱気サイクル入りの可能性もあるとみて一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では、4月9日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。15日朝時点も両スパンそろって悪化しているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からは反騰入りとみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月13日から14日未明への一段安に際しては指数のボトムがやや切り上がる強気逆行気配となっていたが、その後の反落で20ポイントまで下げて強気逆行ラインを割り込んでいる。40ポイント台序盤が抵抗となっているうちは一段安警戒とするが、50ポイントを超えるところからはいったん戻しに入る可能性が高まるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月2日未明安値106.91円を下値支持線、4月14日午後高値107.75円を上値抵抗線とする。
(2)107.75円を超えないうちは一段安余地ありとし、106.91円割れからは106円前後への下落を想定する。106円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、107円以下での推移が続く場合は16日も安値試しを続けやすいとみる。またその際は105円前後へ下値目途が切り下がってゆく可能性にも注意する。
(3)107.75円を超える場合はいったん強気サイクル入りとみて108円台序盤への上昇を想定する。108円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、107.75円を超えた後も107.50円以上での推移が続く場合は16日も戻り高値を試す余地があると考える。

【当面の主な予定】

4/15(水)
韓国総選挙
G20財務相・中央銀行総裁会議(テレビ会議)
IMF・世界銀行の春期会合(16日まで、テレビ会議)
09:30 (豪) 4月 ウエストパック消費者信頼感指数 (3月 91.9)

21:30 (米) 3月 小売売上高・全体 前月比 (2月 -0.5%、予想 -8.0%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車  前月比 (2月 -0.4%、予想 -5.0%)
21:30 (米) 4月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (3月 -21.5、予想 -35.0)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.6%、予想 -4.0%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 77.0%、予想 74.0%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 -0.1%、予想 -0.4%)
23:00 (米) 4月 NAHB住宅市場指数 (3月 72、予想 55)
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演(オンライン)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
29:00 (米) 2月 対米証券投資・全体 (1月 1229億ドル)
29:00 (米) 2月 対米証券投資・短期債除く (1月 209億ドル)

4/16(木)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 2.67万人、予想 -4.00万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 5.1%、予想 5.5%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前月比 (2月 0.1%、予想 0.1%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (2月 1.4%、予想 1.4%)
15:00 (独) 3月 卸売物価指数(WPI) 前月比 (2月 -0.9%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 2.3%、予想 -0.2%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -1.9%、予想 -2.0%)

21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算件数 (2月 159.9万件、予想 130.7万件)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 前月比 (2月 -1.5%)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 146.4万件、予想 130.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 前月比 (2月 -5.5%)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 -12.7、予想 -30.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 660.6万件、予想 460.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 745.5万人)

オーダー/ポジション状況

キーワード:

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る