【概況】
トルコリラ円は4月2日早朝に15.89円の安値をつけて3月9日安値16.26円を割り込む一段安となった後は新たな安値更新を回避して16円台序盤での持ち合いを続けていたが、4月9日夜の戻り高値16.41円から下落に転じた。
4月13日夕刻に16円を割り込み、15日未明にはドル円が107円を割り込んだことと対ドルでトルコリラが3日続落となったことで15.68円まで続落した。
4月15日午前にドル円は4月2日未明安値106.91円と同値を付けてから円高一服となったが、その後も対ドルでのトルコリラ安が続いたため、16日早朝には15.46円まで続落して2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込んだ。
【トルコリラも対ドルで2018年8月トルコ通貨危機以来の安値水準に】
トルコリラは対ドルで4月15日に6.9255リラへ下落した。日足は4月10日から4日連続の日足陰線での下落となっているが、月間足では2019年10月から今月で7か月連続の下落であり、2018年8月のトルコ通貨危機でつけた7.2349リラに迫る勢いとなってきた。
トルコリラ安は新興国通貨に対するドル全面高の中で進行している。ブラジルレアルは4月3日に対ドルでの史上最安値を付けた後は下げ一服だったが、4月9日から再び下落基調に入っている。南アランドも4月6日に対ドルでの史上最安値を更新した後は下げ一服となっていたが4月9日からは再び下落に転じており、4月13日から15日まで3日間の続落となっている。4月14日にIMFが今回のコロナショックは大恐慌時代並みとなる可能性を示したことの影響も大きい。
新興国通貨安とともに豪ドルの下落も目立ってきた。豪ドルは3月19日まで暴落的な下落となった後、欧米株の反騰と同調してV字反騰してきたが、4月15日は反落した。NY原油相場が20ドルを割り込んで18年ぶり安値となり、コロナショックによる急激な需要低下と長期不況感が強まったこと、米国の主要経済指標が軒並み最悪の数字となったことが背景だ。
G7によるドル資金供給協調、米連銀の3月中三度の緊急FOMC開催と大規模金融緩和、主要国の金融緩和によりドル全面高及び新興国通貨安には一服感が出ていたが、状況が一挙に好転したわけではなく、新興国通貨危機への警戒感はかえって強まっている。そうした中にトルコリラも置かれているため、ドル円における円高圧力だけではなく、トルコリラそのものの下落がトルコリラ円の下落の主要因となりつつある。
NYダウの反騰に支えられて4月2日からの7連騰等で上昇してきたイスタンブール100株価指数も15日は前日比2.73%安と下落した。トルコ株のこれまでの反騰もあくまでも欧米株の持ち直しに依存したものであり、トルコリラ買いを助長するような強さは見られず、逆に今後の欧米株が下落再開となれば、戻り一巡による急落へと転じかねず、そうなればトルコリラ安に拍車をかける要因となってくるのだろうと思われる。
【トルコの感染拡大ペース衰えず】
4月16日朝時点における新型コロナウイルスによる世界の感染者数は208万人、死者は13.4万人を超えた。米国では感染者64万人(前日比3万178人増)、死者2万8526人(同2479人増)だ。
トルコの感染者数は6万9392人で前日比4281人増、死者は1518人(同115人増)となった。3月31日から新規感染者が日々2千人を超え、4月4日からは増加数が3千人を超え、4月8日からは4000人を超えるペースが続いてきたが15日も増加ペースは衰えない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、4月9日夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしてきたが、14日早朝安値以降の下げ渋り的な横ばいから一段安したため、15日午前時点では14日早朝安値を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れによる新たな弱気サイクルに入っている可能性があるとした。
16日朝へ一段安してから戻しているが、14日早朝からの反発幅を超えているため、16日朝安値を直近のサイクルボトムとする。底割れ回避のうちは16日の日中から17日にかけての間への上昇余地ありとするが、16日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして21日朝から23日朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月13日朝にかけての下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いている。16日朝からの反発により遅行スパンは好転しやすい位置に来ているので遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、遅行スパンがいったん好転した後に再び悪化する場合や好転できずに16日朝安値を割り込む一段安に入る場合は安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月15日夜から16日朝への下落時に指数のボトムが切り上がる小規模の強気逆行を見せて上昇しているので、40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとみるが、60ポイント前後までを抵抗とし、40ポイント割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、4月16日朝安値15.46円を下値支持線、15.70円を上値抵抗線とする。
(2)16日朝安値割れ回避のうちは戻りを試す余地ありとし、15.70円を超える場合は15.80円前後への上昇を想定する。15.75円以上は反落警戒とするが、15.60円以上での推移なら17日午前にかけても高値試しを続けやすいとみる。
(3)4月16日朝安値割れからは15.20円前後への下落を想定する。15.20円以下は反発注意とするが、16日朝安値を割り込んだ後も15.50円以下での推移なら17日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
4月22日
16:00 4月消費者信頼感指数 (3月 58.2)
20:00 トルコ中銀政策金利 (現行9.75%、予想 8.5%)
4月24日
16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)
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