ドル円見通し 4月2日未明安値と同値から戻すが勢い付かず、底割れからの一段安懸念強まる(20/4/16)

ドル円は4月15日午前安値で106.91円を付けて4月2日未明安値と同値としたが、安値更新をひとまず回避して15日夜には107.84円までいったん戻した。

ドル円見通し 4月2日未明安値と同値から戻すが勢い付かず、底割れからの一段安懸念強まる(20/4/16)

4月2日未明安値と同値から戻すが勢い付かず、底割れからの一段安懸念強まる

【概況】

ドル円は4月15日午前安値で106.91円を付けて4月2日未明安値と同値としたが、安値更新をひとまず回避して15日夜には107.84円までいったん戻した。しかし108円には届かずに107円台前半へ失速している。
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中で、2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円まで急激な円高となったが、ドル資金需給ひっ迫からドルが全面高となる中でV字反騰となり3月24日高値111.71円まで戻した。しかし2月20日高値超えには至らずに4月2日未明安値106.91円まで反落した。4月6日高値109.37円まで戻したものの勢い付かずに4月9日から14日まで4日連続の日足陰線で下げていた。15日は午前安値からやや戻したために小陽線となっているが、4月2日未明安値割れに対する余裕が乏しくなっている。

【コロナショックによる不況感強まる】

4月15日夜に発表されたニューヨーク連銀の4月製造業景況指数はマイナス78.2で前月のマイナス21.5から大幅に悪化した。リーマン・ショック後の2009年2月につけたマイナス34.3を下回り、2001年の同統計開始以降の最低を記録した。
米連銀(FRB)が発表した3月の鉱工業生産は前月比マイナス5.4%で市場予想のマイナス4.0%を下回った。マイナス幅は1946年1月以来74年ぶりの悪さだった。また3月の設備稼働率は72.7%で市場予想の73.8%を下回った。
米商務省が発表した3月の小売売上高3月の小売売上高は前月比マイナス8.7%となり前月のマイナス0.4%から大幅に悪化して市場予想のマイナス8.0%を下回った。マイナス幅は同省が集計を始めた1992年以来で最悪となった。

米経済指標の悪化や大手企業決算の悪さを背景にNYダウは前日比445.41ドル安と下落した。一時は716ドル安まで下げ幅を拡大した。3月23日以降はコロナショックによる暴落がひとまず落ち着いて暴落幅の半値を超えるところまで戻してきたが、3月及び4月の米経済指標は急激に悪化しており、株式市場も想定してきたこととはいえ、実態の悪さを再認識させられている。

株安により米長期債は買われ、10年債利回りは前日比0.13%低下の0.63%まで下げている。NY原油先物は15日の安値で19.20ドルを付けて3月30日安値19.27ドルで付けていた18年ぶり安値を更新した。4月12日にOPECやロシア等の大規模な協調減産が決定され、米国やカナダも協力姿勢という歴史的な協調でもコロナショックによる急激な石油需要の落ち込みは解消されないとして下落基調が続いている。
4月15日はブラジルレアル、南アランドが反落、豪ドルも下落した。新興国通貨安が一服していたもののぶり返し始めた印象もある。このためドルストレートでのドル高が再開し始める一方、クロス円での円高も進んでドル円としても円高に向かいやすい状況に入っているのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月6日高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしてきたが、4月15日朝時点では4月8日午前安値を直近のサイクルボトムとして既に底割れにより新たな弱気サイクルに入っていると考えた。しかし15日午前安値で4月2日未明安値と同値を付けて戻しているため、15日午前安値を直近のサイクルボトムとするが、すでに15日夜高値でサイクルトップを付けている可能性がある。4月15日午前安値割れ回避のうちは16日の日中から17日にかけての上昇余地ありとするが、15日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして4月20日午前から22日午前にかけての間への下落を想定する。

4月2日未明安値と同値から戻すが勢い付かず、底割れからの一段安懸念強まる

60分足の一目均衡表では、4月9日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し、その後は両スパンそろっての悪化が続いてきたが、15日夜の上昇で遅行スパンは好転した。先行スパンが上値抵抗となっているが、15日夜高値を超える場合は先行スパン突破も重なるので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし先行スパンを上抜け切れないうちは下げ再開を警戒し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月15日夜の上昇で70ポイントまで戻したがその後は失速している。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、15日夜高値を上抜くところで指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行とみて反落警戒とする。40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月15日午前安値106.91円を下値支持線、4月15日夜高値107.84円を上値抵抗線とする。
(2)107円台を維持するうちは上昇余地ありとし、15日夜高値を上抜く場合は108.50円前後への上昇を想定するが、108.30円以上は反落警戒とする。
(3)107円割れからは下げ再開を警戒し、106.91円割れからは106円前後への下落を想定する。また17日以降への続落も警戒するが、4月2日未明とのダブルボトムを割り込むことになるため、先行きは105円、104円と段階的に下値目途が切り下がる展開を想定する。

【当面の主な予定】

4/16(木)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 2.67万人、予想 -4.00万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 5.1%、予想 5.5%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前月比 (2月 0.1%、予想 0.1%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (2月 1.4%、予想 1.4%)
15:00 (独) 3月 卸売物価指数(WPI) 前月比 (2月 -0.9%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 2.3%、予想 -0.2%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -1.9%、予想 -2.0%)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算件数 (2月 159.9万件、予想 130.7万件)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 前月比 (2月 -1.5%、予想 -18.7%)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 146.4万件、予想 130.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 前月比 (2月 -5.5%、予想 -10.5%)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 -12.7、予想 -32.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 660.6万件、予想 510.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 745.5万人、予想 1400万人)

4/17(金)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前期比 (前期 1.5%、予想 -10.0%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前年同期比 (前期 6.0%、予想 -6.0%)
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年同月比 (1-2月 -20.5%、予想 -9.5%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 [前年同月比 (1-2月 -13.5%、予想 -5.6%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 0.4%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -4.7%)
13:30 (日) 2月 設備稼働率 前月比 (1月 1.1%)
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 0.8%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 3.6%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年同月比 (1月 6.0%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
23:00 (米) 3月 景気先行指数 前月比 (2月 0.1%、予想 -7.0%)

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